全力の友情! 一之瀬VS円堂‼︎
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
☆☆☆☆☆
一方、トイレを見つけた円堂はすぐに駆け込もうとすると……。
「――大丈夫なの? 一之瀬くん」
「ん?」
別の方向から秋の声が聞こえて円堂は立ち止まった。その声音がいつもと違うので気になって駆け出す。
「こうしている間にも、手術の成功は難しくなってるんでしょ?」
「大丈夫だよ、秋。心配いらないって」
円堂が声を辿っていくと角の道で一之瀬と秋の姿を発見するが、雰囲気がおかしいと感じて身を隠しながら聞き耳を立てる。
「もお~。土門の奴、少し大げさなんだよ」
「それでも! ……ムチャよ」
「秋……」
「なんで……? なんで一之瀬くんにばかり…こんな……」
「さあね……。だけど、それを悩んだ所で何も変わりはしないよ。だったら、今の俺にできることは力いっぱいやってみたい。俺は戦うよ、たとえ――最後の試合になるとしてもね」
「……どういうことだ、一之瀬」
「あっ!」
「円堂!?」
その言葉に円堂は驚いて姿を現した。それで秋も一之瀬も円堂の存在に気づいて振り向く。
「最後の試合って……なんなんだよ!?」
「…………」
一之瀬は円堂もいずれ知ることになるので全部話した。自分の体のこと、手術のことを。もちろん円堂はとても驚いた。
「そんな……! 二度と…サッカーができなくなるかもしれないなんて……嘘だろ!?」
「嘘じゃない。君と…君たちと戦うこの試合が――」
「最後なのか……?」
「…………」
一之瀬は何も答えないが、逆にそれは肯定の意味を表していた。
「一之瀬……。今日のお前のプレー、その覚悟があったからなのか?」
「ああ。俺はこの試合に全てを懸けている。チームを決勝に行かせるために……そして、俺の想いの強さを伝えるために」
「想い……?」
「俺はこの間、瑞貴に告白した」
「「えぇっ!?」」
円堂と秋は声をそろえて驚いた。円堂はともかく、秋も土門から一之瀬が体のことを瑞貴に伝えたことしか知らなかったからだ。
「前の入院のときも、彼女の存在がサッカーと同じくらい俺に力を与えてくれた。俺はいつか瑞貴をアメリカに連れて行こうと思っている。いや――連れて行きたい。そのことも伝えた」
「瑞貴を…アメリカに……」
「彼女は不思議な魅力がある。……だからこそ、心から愛しく想っている。誰にも譲るつもりはない」
「!」
円堂はその言葉に聞き覚えがあった。アジア予選決勝の前に豪炎寺から同じことを告げられたからだ。
『俺は瑞貴を譲るつもりはない。誰にも、お前でも譲れない』
一之瀬が豪炎寺と同じ気持ちなのだと、ここまで言われたら円堂がいくら鈍感でもわかった。
「瑞貴はこの試合に全力で戦う俺に、全力で応えると誓ってくれた。前半のプレーでそれがわかる。――円堂、お前も全力で戦ってほしい!」
円堂は瞳を揺らすが、一度目を閉じて真っ直ぐ一之瀬を見る。
「わかった。遠慮はしないぞ!」
「円堂なら、そう言ってくれると思っていた」
一之瀬は歩み出すと擦れ違い様に円堂の隣に並び、力強い声で伝える。
「後半、楽しみにしてるよ!」
「一之瀬くん……」