一之瀬! 最後のキックオフ‼︎
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「おーい! 瑞貴! 円堂!」
呼ばれたので二人が振り向くと、水着姿でサーフボードを持つ綱海がいた。
「条介!」
「特訓か?」
「まーな。そういうお前らこそ、だろ?」
「うん。明日はいよいよアメリカ戦だからね。仲間だからこそ、全力で戦うのが最高の挨拶であり礼儀だよ」
「ああ。一之瀬たちとぶつかるときは、最高の俺でいたいんだ! だから、やれることはなんでもやる! あいつらと最高の試合をするために!」
ガサッ。
「「「ん?」」」
草の音が聞こえて三人は振り向くがそこには誰もいなかった。
☆☆☆☆☆
さらに翌日。クジャクスタジアムは超満員の観客席から歓声と熱気が上がっていた。
《こちら、クジャクスタジアムは超満員! 日本代表イナズマジャパン対アメリカ代表ユニコーンの試合が、アメリカのケイン大統領が見守る中、始まろうとしています!!》
クジャクスタジアムの特別席で、二人のSPに挟まれてスタジアムを見ている、アメリカ大統領のケイン=ハーバーも試合を楽しみにしていた。
――スタジアムの廊下では、秋が珍しく迷ってしまい、控え室を探していた。
「控え室はどっちだっけ……?」
「――……一之瀬、お前の決意はわかった。お前が決めたんなら、俺は最後まで付き合う」
「えっ?」
聞こえてきた土門の声に秋は立ち止まり、角の道に土門と一之瀬の姿を確認すると思わず身を隠す。
「ありがとう、土門」
「ただ、一つだけ約束してくれ。万が一、試合中プレーができなくなるようなことがあったら……」
「そのときは、グラウンドを出る」
(なんのこと……?)
二人の会話の内容に秋はすぐ理解できなかったが、真剣な表情と声からして只事じゃないと思った。
「俺は、お前の命が大事だ」
(えっ――!?)
「ぶっちゃけ、お前には試合には出ずに今すぐにでも手術をしてもらいたい……。こうしている間にも、成功の確率は下がって――」
タンッ!
「「!?」」
足音に気づいて二人は顔を向けると秋に気づいた。様子からして先ほどのことを聞かれたのだとわかる。一之瀬は眉を下げたが土門はギョッとして声を上げる。
「秋!?」
「一之瀬くん! 手術って何!?」
「…………」
「それに、グラウンドを出るってどういうこと!?」
「…………」
「――あんときの事故の影響で、一之瀬はまた手術を受けなきゃならないんだ」
「っ!」
「えぇっ!?」
黙秘を決めていた一之瀬だが、土門は秋も知るべきだと思って話し始めた。
「しかも、手術の成功は50パーセント。治ってもサッカーさえできるかどうか……」
「そんな……どうして言ってくれなかったの……?」
「…………」
秋が悲しい目をしながら問いかけるも、一之瀬は顔をうつむけるだけで答えない。代わりに土門が再び話し出す。
「これが最後の試合になるかもしれないんだ」
「!」
《まもなく、両チームの選手がグラウンドに入場してきます!》
レビンの実況が聞こえて一之瀬は秋に背を向けて歩き出した。そんな彼を秋は呼び止める。
「一之瀬くん!」
「……秋、円堂には言わないでほしい。本気の勝負をしたいんだ。円堂と……瑞貴と!」
そう言い残して一之瀬は今度こそ出口に向かった。土門は秋の隣に並ぶ。
「一人で抱えきれるモンじゃねぇ……。だから、あいつはある人物に会いに行ったんだよ」
「会いに行ったって、誰に……?」
「瑞貴ちゃんだよ」
「えっ、瑞貴ちゃんに!?」
幼馴染の自分ではなく瑞貴に会ったことに秋は最初驚いたが、すぐに理由がわかった。秋も一之瀬が瑞貴のことを好きだと知っていたからだ。
「本当は言えなかったんだろうけど、瑞貴ちゃんが一之瀬の様子に気づいたから話した」
「瑞貴ちゃん……」
「……気持ちはわかるけど、瑞貴ちゃんを責めないでくれよ。一之瀬が秋に言うなと口止めしたんだ。瑞貴ちゃんはその気持ちを察して秋に言わなかったのさ」
「うん……」
病気を抱える一之瀬の気持ちも、それを黙っていた瑞貴の気持ちも察し、秋は悲しくても小さく頷いた。
土門もグラウンドへ向かうべく、一之瀬が出て行った出口に向かって歩き出す。
「バッカヤローが……!」
一之瀬のことを真剣に考えているからこそ、土門はそう呟いた。
呼ばれたので二人が振り向くと、水着姿でサーフボードを持つ綱海がいた。
「条介!」
「特訓か?」
「まーな。そういうお前らこそ、だろ?」
「うん。明日はいよいよアメリカ戦だからね。仲間だからこそ、全力で戦うのが最高の挨拶であり礼儀だよ」
「ああ。一之瀬たちとぶつかるときは、最高の俺でいたいんだ! だから、やれることはなんでもやる! あいつらと最高の試合をするために!」
ガサッ。
「「「ん?」」」
草の音が聞こえて三人は振り向くがそこには誰もいなかった。
☆☆☆☆☆
さらに翌日。クジャクスタジアムは超満員の観客席から歓声と熱気が上がっていた。
《こちら、クジャクスタジアムは超満員! 日本代表イナズマジャパン対アメリカ代表ユニコーンの試合が、アメリカのケイン大統領が見守る中、始まろうとしています!!》
クジャクスタジアムの特別席で、二人のSPに挟まれてスタジアムを見ている、アメリカ大統領のケイン=ハーバーも試合を楽しみにしていた。
――スタジアムの廊下では、秋が珍しく迷ってしまい、控え室を探していた。
「控え室はどっちだっけ……?」
「――……一之瀬、お前の決意はわかった。お前が決めたんなら、俺は最後まで付き合う」
「えっ?」
聞こえてきた土門の声に秋は立ち止まり、角の道に土門と一之瀬の姿を確認すると思わず身を隠す。
「ありがとう、土門」
「ただ、一つだけ約束してくれ。万が一、試合中プレーができなくなるようなことがあったら……」
「そのときは、グラウンドを出る」
(なんのこと……?)
二人の会話の内容に秋はすぐ理解できなかったが、真剣な表情と声からして只事じゃないと思った。
「俺は、お前の命が大事だ」
(えっ――!?)
「ぶっちゃけ、お前には試合には出ずに今すぐにでも手術をしてもらいたい……。こうしている間にも、成功の確率は下がって――」
タンッ!
「「!?」」
足音に気づいて二人は顔を向けると秋に気づいた。様子からして先ほどのことを聞かれたのだとわかる。一之瀬は眉を下げたが土門はギョッとして声を上げる。
「秋!?」
「一之瀬くん! 手術って何!?」
「…………」
「それに、グラウンドを出るってどういうこと!?」
「…………」
「――あんときの事故の影響で、一之瀬はまた手術を受けなきゃならないんだ」
「っ!」
「えぇっ!?」
黙秘を決めていた一之瀬だが、土門は秋も知るべきだと思って話し始めた。
「しかも、手術の成功は50パーセント。治ってもサッカーさえできるかどうか……」
「そんな……どうして言ってくれなかったの……?」
「…………」
秋が悲しい目をしながら問いかけるも、一之瀬は顔をうつむけるだけで答えない。代わりに土門が再び話し出す。
「これが最後の試合になるかもしれないんだ」
「!」
《まもなく、両チームの選手がグラウンドに入場してきます!》
レビンの実況が聞こえて一之瀬は秋に背を向けて歩き出した。そんな彼を秋は呼び止める。
「一之瀬くん!」
「……秋、円堂には言わないでほしい。本気の勝負をしたいんだ。円堂と……瑞貴と!」
そう言い残して一之瀬は今度こそ出口に向かった。土門は秋の隣に並ぶ。
「一人で抱えきれるモンじゃねぇ……。だから、あいつはある人物に会いに行ったんだよ」
「会いに行ったって、誰に……?」
「瑞貴ちゃんだよ」
「えっ、瑞貴ちゃんに!?」
幼馴染の自分ではなく瑞貴に会ったことに秋は最初驚いたが、すぐに理由がわかった。秋も一之瀬が瑞貴のことを好きだと知っていたからだ。
「本当は言えなかったんだろうけど、瑞貴ちゃんが一之瀬の様子に気づいたから話した」
「瑞貴ちゃん……」
「……気持ちはわかるけど、瑞貴ちゃんを責めないでくれよ。一之瀬が秋に言うなと口止めしたんだ。瑞貴ちゃんはその気持ちを察して秋に言わなかったのさ」
「うん……」
病気を抱える一之瀬の気持ちも、それを黙っていた瑞貴の気持ちも察し、秋は悲しくても小さく頷いた。
土門もグラウンドへ向かうべく、一之瀬が出て行った出口に向かって歩き出す。
「バッカヤローが……!」
一之瀬のことを真剣に考えているからこそ、土門はそう呟いた。