一之瀬! 最後のキックオフ‼︎
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「……俺がアドバイスできるとしたら……そうだね」
「?」
「一之瀬の告白を、逃げ道にするなよ」
「えっ……」
意外なアドバイスだったのか瑞貴は目を大きく見開き、土門は優しく微笑んで言葉を続ける。
「あいつは真剣なんだ。瑞貴ちゃんに告白したのもその真剣さ故だ。瑞貴ちゃんはサッカーでいつも全力で戦う相手に対して、全力で返している。それは今回の告白も同じだよ」
「同じ……」
「ああ。ちゃんと自分で答えを見つけて一之瀬に返事するんだ。それともう一つ」
「?」
土門が人差し指を立てると瑞貴は首を傾げた。
「自分を抑えると本当の自分は出せない。プレーのようにね。瑞貴ちゃんは周りに遠慮し過ぎなんだ。たまにはワガママを出さないと」
「でも……」
「瑞貴ちゃんは身を引けばいいと思っているけど、それは同じ相手を好きになった友達も心から信じてないってことだよ? そんなヤワな関係だったのかな?」
「!」
秋に冬花に雷門夏未……みんな瑞貴が心から大好きで友達と思っている。それは瑞貴も同じ。男子ばかりのチームの中で数少ない女仲間というのもあるが理由はそれだけではない。もっと深く、もっと大きい、男子が相手では結べない絆を持っている。
そんな彼女たちに瑞貴は遠慮という名の一線を引いていた。知られたとしても責める人たちではない。なのに心のどこかで信じていなかったのだろう。
「……私、自分にも秋ちゃんたちにもずっと失礼な態度を取っていたんだね」
「ハハッ、やっと気づいたんだ。とりあえず今は、その気持ちを大切にしなよ。そこまで人を好きになれるなんて早々ないんだから。話すにしても、あきらめるにしても、気持ちを抱くことはバチが当たらないからね」
「うん!」
瑞貴の瞳にはもう迷いがなかった。全てに答えを見つけたからだ。土門はそれを感じてベンチから立ち上がると軽く背伸びをする。
「瑞貴ちゃんが元気になってよかったよ。次の試合は俺にとっても大切な一戦だからな」
「飛鳥、ごめんね。それと本当にありがとう」
「いいよ。じゃ、次に会うのはフィールドだな」
「うん!」
瑞貴も立ち上がって土門に礼と同時に試合への意気込みも込めてガッチリ握手を交わした。
そして瑞貴が立ち去ってその姿が見えなくなると、土門は苦笑して空を見上げる。
「……やっぱり、俺じゃダメだったんだな。失恋、か……」
薄々わかっていたが、瑞貴が相談しに来たことでハッキリした。
一之瀬の幼馴染に相談したいのなら同じイナズマジャパンで女同士の秋がいい。だけど瑞貴は秋が円堂に好意があるとわかっているから、相談すると気づかれる恐れもあるので土門の元へ来たのだ。
『俺が飛鳥の帰る場所になってやる。――絶対に』
自分が帝国学園のスパイと知ったときに同じスパイだった冬海卓に向かって放った言葉……豪炎寺から聞いたときは涙が出そうになったのを今でも覚えている。
……自分にはあの言葉で充分だ。
「だけど……幸せを願うことはいいよな」
土門の呟きは風に乗って消えていく。その頬には一筋の涙が伝っていた。
一方、ジャパンエリア行きのバスに乗って景色を見る瑞貴。その表情はアメリカエリアに来たときよりも晴れ晴れしかった。
(私、守のことが好きなんだ)
瑞貴はとうとう円堂への想いを心から自覚した。
☆☆☆☆☆
翌日の早朝。瑞貴は明日のユニコーン戦に向けて砂浜で日課のランニングをしている。するといつもの場所で円堂がタイヤ特訓をしていた。
「おはよう、守!」
「おっ、瑞貴! おはよう!」
ニカッと笑う円堂に瑞貴も笑顔を返す。昨日土門に相談して自分の気持ちを認めたせいか、戸惑うことなく挨拶も清々しくできる。
「相変わらず気合い入ってるな」
「守こそ。でも明日は試合なんだから怪我しないようにね」
「わかってるって!」
円堂の笑顔を見る度に、瑞貴は胸が高鳴ると同時に安心するような気持ちになっていた。
「?」
「一之瀬の告白を、逃げ道にするなよ」
「えっ……」
意外なアドバイスだったのか瑞貴は目を大きく見開き、土門は優しく微笑んで言葉を続ける。
「あいつは真剣なんだ。瑞貴ちゃんに告白したのもその真剣さ故だ。瑞貴ちゃんはサッカーでいつも全力で戦う相手に対して、全力で返している。それは今回の告白も同じだよ」
「同じ……」
「ああ。ちゃんと自分で答えを見つけて一之瀬に返事するんだ。それともう一つ」
「?」
土門が人差し指を立てると瑞貴は首を傾げた。
「自分を抑えると本当の自分は出せない。プレーのようにね。瑞貴ちゃんは周りに遠慮し過ぎなんだ。たまにはワガママを出さないと」
「でも……」
「瑞貴ちゃんは身を引けばいいと思っているけど、それは同じ相手を好きになった友達も心から信じてないってことだよ? そんなヤワな関係だったのかな?」
「!」
秋に冬花に雷門夏未……みんな瑞貴が心から大好きで友達と思っている。それは瑞貴も同じ。男子ばかりのチームの中で数少ない女仲間というのもあるが理由はそれだけではない。もっと深く、もっと大きい、男子が相手では結べない絆を持っている。
そんな彼女たちに瑞貴は遠慮という名の一線を引いていた。知られたとしても責める人たちではない。なのに心のどこかで信じていなかったのだろう。
「……私、自分にも秋ちゃんたちにもずっと失礼な態度を取っていたんだね」
「ハハッ、やっと気づいたんだ。とりあえず今は、その気持ちを大切にしなよ。そこまで人を好きになれるなんて早々ないんだから。話すにしても、あきらめるにしても、気持ちを抱くことはバチが当たらないからね」
「うん!」
瑞貴の瞳にはもう迷いがなかった。全てに答えを見つけたからだ。土門はそれを感じてベンチから立ち上がると軽く背伸びをする。
「瑞貴ちゃんが元気になってよかったよ。次の試合は俺にとっても大切な一戦だからな」
「飛鳥、ごめんね。それと本当にありがとう」
「いいよ。じゃ、次に会うのはフィールドだな」
「うん!」
瑞貴も立ち上がって土門に礼と同時に試合への意気込みも込めてガッチリ握手を交わした。
そして瑞貴が立ち去ってその姿が見えなくなると、土門は苦笑して空を見上げる。
「……やっぱり、俺じゃダメだったんだな。失恋、か……」
薄々わかっていたが、瑞貴が相談しに来たことでハッキリした。
一之瀬の幼馴染に相談したいのなら同じイナズマジャパンで女同士の秋がいい。だけど瑞貴は秋が円堂に好意があるとわかっているから、相談すると気づかれる恐れもあるので土門の元へ来たのだ。
『俺が飛鳥の帰る場所になってやる。――絶対に』
自分が帝国学園のスパイと知ったときに同じスパイだった冬海卓に向かって放った言葉……豪炎寺から聞いたときは涙が出そうになったのを今でも覚えている。
……自分にはあの言葉で充分だ。
「だけど……幸せを願うことはいいよな」
土門の呟きは風に乗って消えていく。その頬には一筋の涙が伝っていた。
一方、ジャパンエリア行きのバスに乗って景色を見る瑞貴。その表情はアメリカエリアに来たときよりも晴れ晴れしかった。
(私、守のことが好きなんだ)
瑞貴はとうとう円堂への想いを心から自覚した。
☆☆☆☆☆
翌日の早朝。瑞貴は明日のユニコーン戦に向けて砂浜で日課のランニングをしている。するといつもの場所で円堂がタイヤ特訓をしていた。
「おはよう、守!」
「おっ、瑞貴! おはよう!」
ニカッと笑う円堂に瑞貴も笑顔を返す。昨日土門に相談して自分の気持ちを認めたせいか、戸惑うことなく挨拶も清々しくできる。
「相変わらず気合い入ってるな」
「守こそ。でも明日は試合なんだから怪我しないようにね」
「わかってるって!」
円堂の笑顔を見る度に、瑞貴は胸が高鳴ると同時に安心するような気持ちになっていた。