フユッペの秘密
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「瑞貴はどうするんだ?」
「特に考えてないなぁ。部屋で読書でもしてようかな」
「――マモルくん、瑞貴ちゃん」
「「ん?」」
二人が振り向くと冬花が駆け寄って来た。
「買い出しの量が多いから、よかったら手伝ってくれないかな?」
「ああ、いいぜ」
「えっと……」
即答する円堂と違って瑞貴はどうするか思案していた。冬花が円堂に好意を持っているのは知っているし、自分はお邪魔だと理解すると同時に複雑な思いをする。
「ごめん、私は――」
「来てくれないの?」
「来ないのか?」
「ウッ……」
冬花と円堂が二人そろってウルウルと目を潤ませるので、瑞貴は気を利かせるどころか罪悪感が出てくる。
「……わかった」
「「やった!」」
ついに負けてしまった。さっきと打って変わって喜んでる二人を見て、作戦でも立てていたのではないかと心底瑞貴は思った。
――円堂と瑞貴はジャージに着替えて、冬花と一緒にジャパンエリアの行き着けの店で買い出しをしていく。円堂と瑞貴の両手には一袋ずつ買い物袋を持ってあった。
「ありがとう、買い出し手伝ってくれて」
「いや、俺も部屋でジッとしていられなかったし」
「私も楽しかったよ」
瑞貴も初めは居たたまれないと思ったが、円堂と冬花と過ごすのは心から楽しかった。
「でも、久遠監督はスゴいよな。あの『練習中止』のひと言で目が覚めた。影山は関係ない。俺たちは俺たちのサッカーをやるだけだって思い出させてくれたんだから」
「あのままだったら韓国戦の二の舞だったかもね」
「面目ない……」
グサリと心に突き刺さったのか円堂は顔をうつむける。その様子に瑞貴と冬花は顔を見合わせてクスクスと笑っていた。
「お父さん、サッカーにはいつも真剣。だからどうすればいいのかわかるのかも」
「時には言葉で、時には行動で、私たちの成長を自分自身で見つけてくれる姿勢がスゴいよね。大人の男って感じでステキだなぁ」
「えっ!?」
瑞貴のひと言で円堂はギョッとし、曲がり角で足を止めてふと思いついたように言う。
「そ、そういえば久遠監督が笑ったのって見たことないよなぁ。まさか笑ったことないとか?」
「まさか。笑ったことくらいある――……あれ? どうだっけ?」
「フユッペ……冗談だろ?」
「あるよ。久遠監督が笑ったこと」
「「えぇっ!?」」
娘の冬花も思い出せないのに瑞貴はアッサリと言った。そのおかげで円堂と冬花は驚いて詰め寄ると、逆に瑞貴はびっくりして一歩下がった。
「いつ!? いつだ!?」
「お父さんが確かに笑ったの!?」
「う、うん。私が見た限りでは韓国戦とイギリス戦だったかな。笑ってたというより、微笑んでいたのが見えたんだ」
「俺も見たかったなぁ」
「瑞貴ちゃんがお父さんのことをそんなに見てくれたなんて……! やっぱりお父さんとけっ――」
「わ――っ!!」
「なんだ?」
「聞かなくていいから!」
朝と同じキラキラした瞳の冬花が何を言おうとしたのか察して瑞貴は大声で遮った。おかげで円堂は聞き取れなかったようだ。
キキ――ッ!!
「!」
「「危ない!!」」
パンクしたトラックが突っ込んで来たので円堂と瑞貴は冬花の手を引いて元来た道へ避難する。トラックは瑞貴たちがいた向かい側の柵に突っ込み、その広場で横転した。
現場はあっという間に野次馬ができた。円堂が様子を見ている間、瑞貴は精神不安定な冬花を抱きしめている。
「誰も巻き込まれていない!」
「運転手は無事だ!」
人々の声から円堂はホッとすると瑞貴と冬花に振り向く。
「大丈夫か? 瑞貴、フユッペ」
「私は大丈夫だけど、冬花ちゃんが……」
「フユッペ?」
「っ……!」
「冬花ちゃん!」
「フユッペ!」
気を失った冬花の体が一気に膝から崩れたので、瑞貴は慌てて支えると円堂も駆け寄る。ただ事じゃなかったのですぐに救急車を呼んだ。
「特に考えてないなぁ。部屋で読書でもしてようかな」
「――マモルくん、瑞貴ちゃん」
「「ん?」」
二人が振り向くと冬花が駆け寄って来た。
「買い出しの量が多いから、よかったら手伝ってくれないかな?」
「ああ、いいぜ」
「えっと……」
即答する円堂と違って瑞貴はどうするか思案していた。冬花が円堂に好意を持っているのは知っているし、自分はお邪魔だと理解すると同時に複雑な思いをする。
「ごめん、私は――」
「来てくれないの?」
「来ないのか?」
「ウッ……」
冬花と円堂が二人そろってウルウルと目を潤ませるので、瑞貴は気を利かせるどころか罪悪感が出てくる。
「……わかった」
「「やった!」」
ついに負けてしまった。さっきと打って変わって喜んでる二人を見て、作戦でも立てていたのではないかと心底瑞貴は思った。
――円堂と瑞貴はジャージに着替えて、冬花と一緒にジャパンエリアの行き着けの店で買い出しをしていく。円堂と瑞貴の両手には一袋ずつ買い物袋を持ってあった。
「ありがとう、買い出し手伝ってくれて」
「いや、俺も部屋でジッとしていられなかったし」
「私も楽しかったよ」
瑞貴も初めは居たたまれないと思ったが、円堂と冬花と過ごすのは心から楽しかった。
「でも、久遠監督はスゴいよな。あの『練習中止』のひと言で目が覚めた。影山は関係ない。俺たちは俺たちのサッカーをやるだけだって思い出させてくれたんだから」
「あのままだったら韓国戦の二の舞だったかもね」
「面目ない……」
グサリと心に突き刺さったのか円堂は顔をうつむける。その様子に瑞貴と冬花は顔を見合わせてクスクスと笑っていた。
「お父さん、サッカーにはいつも真剣。だからどうすればいいのかわかるのかも」
「時には言葉で、時には行動で、私たちの成長を自分自身で見つけてくれる姿勢がスゴいよね。大人の男って感じでステキだなぁ」
「えっ!?」
瑞貴のひと言で円堂はギョッとし、曲がり角で足を止めてふと思いついたように言う。
「そ、そういえば久遠監督が笑ったのって見たことないよなぁ。まさか笑ったことないとか?」
「まさか。笑ったことくらいある――……あれ? どうだっけ?」
「フユッペ……冗談だろ?」
「あるよ。久遠監督が笑ったこと」
「「えぇっ!?」」
娘の冬花も思い出せないのに瑞貴はアッサリと言った。そのおかげで円堂と冬花は驚いて詰め寄ると、逆に瑞貴はびっくりして一歩下がった。
「いつ!? いつだ!?」
「お父さんが確かに笑ったの!?」
「う、うん。私が見た限りでは韓国戦とイギリス戦だったかな。笑ってたというより、微笑んでいたのが見えたんだ」
「俺も見たかったなぁ」
「瑞貴ちゃんがお父さんのことをそんなに見てくれたなんて……! やっぱりお父さんとけっ――」
「わ――っ!!」
「なんだ?」
「聞かなくていいから!」
朝と同じキラキラした瞳の冬花が何を言おうとしたのか察して瑞貴は大声で遮った。おかげで円堂は聞き取れなかったようだ。
キキ――ッ!!
「!」
「「危ない!!」」
パンクしたトラックが突っ込んで来たので円堂と瑞貴は冬花の手を引いて元来た道へ避難する。トラックは瑞貴たちがいた向かい側の柵に突っ込み、その広場で横転した。
現場はあっという間に野次馬ができた。円堂が様子を見ている間、瑞貴は精神不安定な冬花を抱きしめている。
「誰も巻き込まれていない!」
「運転手は無事だ!」
人々の声から円堂はホッとすると瑞貴と冬花に振り向く。
「大丈夫か? 瑞貴、フユッペ」
「私は大丈夫だけど、冬花ちゃんが……」
「フユッペ?」
「っ……!」
「冬花ちゃん!」
「フユッペ!」
気を失った冬花の体が一気に膝から崩れたので、瑞貴は慌てて支えると円堂も駆け寄る。ただ事じゃなかったのですぐに救急車を呼んだ。