フユッペの秘密
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「吹雪さん、瑞貴ちゃんから離れてください」
「冬花さんこそ、僕と瑞貴ちゃんの再会の邪魔をしないでくれるかな?」
バチバチと火花が飛び散っているが、『冬』や『吹雪』の名前があるせいかブリザードのような冷ややかな空気が出ている。その迫力に思わず全員一歩下がったが、二人の間にいる瑞貴は動けないので居たたまれなかった。
それをなんとかするため、円堂が吹雪に声をかける。
「け、怪我はもういいのか?」
「すっかり治ったよ」
「よかったな~!」
円堂の問いに吹雪は瑞貴に抱きついたままだが、いつもの表情を向けて応える。空気が和らいだことに吹雪と冬花以外は心の中でホッとした。
「ん? ってことは……」
「うん。久遠監督に呼ばれたんだ。――代表に復帰しろって」
「そうか!」
「吹雪さんが戻って来てくれたら、イナズマジャパンはもーっと強くなるっス!」
「喜んでる場合かよ。吹雪が代表に戻るってことは、誰かが代表に落とされるってことだぜ」
「「「「「!」」」」」
不動明王の言葉に全員がハッとする。追加代表メンバーは『誰かと入れ替わる』ことで入団できるのだ。
「その通りだ」
そして久遠とシンが来たので、全員背筋を伸ばして向き合う。もちろん吹雪も冬花も瑞貴から離れた。
「吹雪な代わって代表から外れるのは――栗松だ」
「っ!」
「栗松っスか!?」
「これは世界に勝ち抜くために僕らで判断したんだよ」
指名された栗松は目を見開いてショックで顔をうつむけ、壁山や立向居や春奈は抗議する。
「監督、神崎さん、栗松はアルゼンチン戦でスゴくがんばったっス!」
「俺が魔王・ザ・ハンドを完成させることができたのも、栗松の協力があったからです!」
「そうですよ! 本当なんです!」
「すでに決定したことだ」
「栗松くん、帰国の準備をしてね」
「「「「監督! 神崎さん!」」」」
栗松を除く一年組が声を上げるも、久遠もシンも背を向けて去って行った。
「栗松、お前からも頼むっス!」
「――やめろ!」
「「!?」」
壁山が栗松に言った途端声が上がった。その主は染岡だった。
「栗松に必要なのは同情じゃねぇ。とっとと日本へ帰ることだ」
「「えぇっ!?」」
「染岡……」
「そうか……竜吾は……」
「さあ、練習始めようぜ!」
壁山と栗松は驚いたが円堂と瑞貴は気づいたようだ。みんなの輪を抜けて走って行く染岡を壁山は信じられないように言う。
「染岡さん、どうしてそんな冷たいこと言えるんスか?」
「竜吾だから言えるんだよ。一度身を持って経験したことがあるから厳しい言葉も言える」
「えっ?」
「染岡は、アジア予選の代表に選ばれなかったろ。スゴく悔しかったと思う……。でも、あきらめないで必死で練習して、そしてレベルアップした。それが監督に認められたからこそ、代表に呼ばれたんだ」
「!」
円堂の言葉に栗松はハッとしてボールを足で押さえる染岡を見る。
「とっとと日本へ帰れ……早く日本に戻って特訓しろ…時間を1秒もムダにするなってことでヤンスか……!」
(俺も一度落とされた。だが、今ここにいる! あきらめるな、自分の力で這い上がって来い!)
「わかったでヤンス! 俺もレベルアップして戻って来るでヤンス!」
染岡の伝えたいことがわかり、栗松は帰国を決意した。がんばって練習して、再び代表に戻れるように。
――夕方になると栗松はその便で帰国することになった。空港からはイナズマジャパン全員が見送りに来て、空へ飛び立つイナズマジェットに乗る栗松に別れを惜しんでいる。特に交代で代表入りする吹雪は情が深いだろう。
「栗松くん。君の思い、僕が引き継ぐからね」
「へぇ。なかなかの去り際じゃないか。まっ、足の怪我も軽くみたいだしな」
「気づいていたのか、不動」
「フッ」
栗松はアルゼンチン戦でアンデスのありじごくを攻略する際に足を痛めてしまった。それが今日の練習にも響いているのを不動も鬼道有人も気づいていた。
同じように気づいていた瑞貴と円堂は顔を見合わせ、無言のまま真剣な表情で頷いた。栗松がまずやるべきことは足の治療をすることだ。
☆☆☆☆☆
翌日。今日はオルフェウス対ナイツオブクイーンの試合がありなでイナズマジャパンはデータ収集を兼ねて試合をミーティングルームのテレビで見ている。
開始早々にナイツオブクイーンは無敵の槍の体勢に入り、DFを突破したあとキャプテンのエドガー=バルチナスがパラディンストライクで先取点を決めた。
「イギリスは、俺たちとやったときより強くなってる……」
「特訓を重ねて強くなったのは、私たちだけじゃないってことね……」
「っ!」
円堂と瑞貴がナイツオブクイーンについて会話する中、鬼道はオルフェウスのベンチに座る影山零治が映ると眉をしかめた。そして前半が終了した。
「冬花さんこそ、僕と瑞貴ちゃんの再会の邪魔をしないでくれるかな?」
バチバチと火花が飛び散っているが、『冬』や『吹雪』の名前があるせいかブリザードのような冷ややかな空気が出ている。その迫力に思わず全員一歩下がったが、二人の間にいる瑞貴は動けないので居たたまれなかった。
それをなんとかするため、円堂が吹雪に声をかける。
「け、怪我はもういいのか?」
「すっかり治ったよ」
「よかったな~!」
円堂の問いに吹雪は瑞貴に抱きついたままだが、いつもの表情を向けて応える。空気が和らいだことに吹雪と冬花以外は心の中でホッとした。
「ん? ってことは……」
「うん。久遠監督に呼ばれたんだ。――代表に復帰しろって」
「そうか!」
「吹雪さんが戻って来てくれたら、イナズマジャパンはもーっと強くなるっス!」
「喜んでる場合かよ。吹雪が代表に戻るってことは、誰かが代表に落とされるってことだぜ」
「「「「「!」」」」」
不動明王の言葉に全員がハッとする。追加代表メンバーは『誰かと入れ替わる』ことで入団できるのだ。
「その通りだ」
そして久遠とシンが来たので、全員背筋を伸ばして向き合う。もちろん吹雪も冬花も瑞貴から離れた。
「吹雪な代わって代表から外れるのは――栗松だ」
「っ!」
「栗松っスか!?」
「これは世界に勝ち抜くために僕らで判断したんだよ」
指名された栗松は目を見開いてショックで顔をうつむけ、壁山や立向居や春奈は抗議する。
「監督、神崎さん、栗松はアルゼンチン戦でスゴくがんばったっス!」
「俺が魔王・ザ・ハンドを完成させることができたのも、栗松の協力があったからです!」
「そうですよ! 本当なんです!」
「すでに決定したことだ」
「栗松くん、帰国の準備をしてね」
「「「「監督! 神崎さん!」」」」
栗松を除く一年組が声を上げるも、久遠もシンも背を向けて去って行った。
「栗松、お前からも頼むっス!」
「――やめろ!」
「「!?」」
壁山が栗松に言った途端声が上がった。その主は染岡だった。
「栗松に必要なのは同情じゃねぇ。とっとと日本へ帰ることだ」
「「えぇっ!?」」
「染岡……」
「そうか……竜吾は……」
「さあ、練習始めようぜ!」
壁山と栗松は驚いたが円堂と瑞貴は気づいたようだ。みんなの輪を抜けて走って行く染岡を壁山は信じられないように言う。
「染岡さん、どうしてそんな冷たいこと言えるんスか?」
「竜吾だから言えるんだよ。一度身を持って経験したことがあるから厳しい言葉も言える」
「えっ?」
「染岡は、アジア予選の代表に選ばれなかったろ。スゴく悔しかったと思う……。でも、あきらめないで必死で練習して、そしてレベルアップした。それが監督に認められたからこそ、代表に呼ばれたんだ」
「!」
円堂の言葉に栗松はハッとしてボールを足で押さえる染岡を見る。
「とっとと日本へ帰れ……早く日本に戻って特訓しろ…時間を1秒もムダにするなってことでヤンスか……!」
(俺も一度落とされた。だが、今ここにいる! あきらめるな、自分の力で這い上がって来い!)
「わかったでヤンス! 俺もレベルアップして戻って来るでヤンス!」
染岡の伝えたいことがわかり、栗松は帰国を決意した。がんばって練習して、再び代表に戻れるように。
――夕方になると栗松はその便で帰国することになった。空港からはイナズマジャパン全員が見送りに来て、空へ飛び立つイナズマジェットに乗る栗松に別れを惜しんでいる。特に交代で代表入りする吹雪は情が深いだろう。
「栗松くん。君の思い、僕が引き継ぐからね」
「へぇ。なかなかの去り際じゃないか。まっ、足の怪我も軽くみたいだしな」
「気づいていたのか、不動」
「フッ」
栗松はアルゼンチン戦でアンデスのありじごくを攻略する際に足を痛めてしまった。それが今日の練習にも響いているのを不動も鬼道有人も気づいていた。
同じように気づいていた瑞貴と円堂は顔を見合わせ、無言のまま真剣な表情で頷いた。栗松がまずやるべきことは足の治療をすることだ。
☆☆☆☆☆
翌日。今日はオルフェウス対ナイツオブクイーンの試合がありなでイナズマジャパンはデータ収集を兼ねて試合をミーティングルームのテレビで見ている。
開始早々にナイツオブクイーンは無敵の槍の体勢に入り、DFを突破したあとキャプテンのエドガー=バルチナスがパラディンストライクで先取点を決めた。
「イギリスは、俺たちとやったときより強くなってる……」
「特訓を重ねて強くなったのは、私たちだけじゃないってことね……」
「っ!」
円堂と瑞貴がナイツオブクイーンについて会話する中、鬼道はオルフェウスのベンチに座る影山零治が映ると眉をしかめた。そして前半が終了した。