フユッペの秘密
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ジ・エンパイア戦でイナズマジャパンは負けてしまったが、残りの試合に全勝すれば決勝トーナメントに行ける可能性がある。その希望を持って練習に励んでいた。
ある日の深夜。井上瑞貴は目が覚めると体が水分を欲していることに気づき、キッチンで水を飲んで部屋に戻ろうとすると……。
「……うっ…くっ……うぅ……」
「ん?」
ある部屋の前でうなされている声が聞こえて足を止めた。その部屋の主は久遠冬花だ。
「冬花ちゃん?」
「何をしている」
「っ!?」
久遠道也の声に驚いて思わず声を上げそうになった瑞貴。だけど同時にちょうどいいと思って冬花の部屋を指差すと、久遠も冬花の異変に気づいた。
「……このことは他言無用だ、お前も早く寝ろ」
久遠は小さな声でそう言うと、冬花のうなされた声が止まった直後去って行った。だが、瑞貴は冬花のことが気になり思い切ってノックする。
コンコン。
「冬花ちゃん、起きてる?」
「瑞貴…ちゃん……?」
扉を開けた冬花の顔には汗が流れていた。よほど強くうなされていたらしい。
「どうしたの?」
「水を飲みに行ったら冬花ちゃんの声が聞こえて……。汗がヒドいけど、大丈夫?」
「嫌な夢を見ていた気がするの……。でも…思い出せなくて……」
顔をうつむける冬花の表情は廊下の明かりでもあまり見えないが、おもわしくないと知った瑞貴は冬花の頭を優しく撫でる。
「瑞貴ちゃん……?」
「ムリに思い出す必要はないよ。ちょっと食堂に行ってて。私もすぐに行くから」
「えっ?」
瑞貴はその場を離れて部屋に戻ると何かを取り出し、食堂に行くと言った通り冬花が待っていた。
そしてキッチンでお湯を沸かしている間にティーポットとティーカップを取り出し、テキパキと作業していく。その慣れた手つきに冬花はしばし見惚れていた。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。わぁ、いい匂い……」
「カモミールティーだよ。エドガーからもらったんだ。リラックス効果があってよく眠れるって」
出されたティーカップからはカモミールの香りがして、冬花は引き込まれるように一口飲む。
「おいしい!」
「よかった。それ飲んだら寝ようね。明日も練習があるし、冬花ちゃんだってマネージャー業が大変なんだから」
「……なんか瑞貴ちゃん、お母さんみたい」
「お、お母さん!?」
同い年の女の子から『お母さん』と呼ばれ、瑞貴はガクッと肩を落とした。綱海条介にも言われて以来だから、久々だとやっぱり効くものがある。
「あっ、ごめん。気に障った?」
「ううん……大丈夫……。でも急にどうしたの?」
「私、お父さんしかいないから、お母さんってどんな感じかわからなくて……」
寂しそうに呟く冬花に瑞貴はハッとした。今まで久遠と過ごしていたから『女』として頼れる相手が冬花にはいなかったかもしれない。先ほどの言葉を気にすることはやめ、瑞貴はもう一度冬花の頭を撫でた。
「今日は一緒に寝る? ベッドは一人用だから少し狭いかもしれないけど……」
「っ、うん!」
顔を上げた冬花は嬉しそうに頷いた。普段冬花は大人びているがときどき年相応の可愛らしい表情を見せる。それを隠すことなくさらけ出してくれて瑞貴にとっても嬉しかった。
片付けもキチンと済ませ、冬花が自分の部屋から枕を持って二人は瑞貴の部屋で寝ることになった。
☆☆☆☆☆
朝になって瑞貴はいつものランニングを済ませて宿舎に帰ると、庭で大量のタオルを干した冬花の姿を見つけた。
「よしっと」
「おはよう、冬花ちゃん」
「瑞貴ちゃん! おはよう!」
瑞貴に気づいた冬花が笑顔で駆け寄って来る。日課があるため瑞貴は先に起き、そのとき見た冬花は気持ちよさそうに眠っていたが、目覚めも良好だったようだ。
「瑞貴ちゃんのおかげでよく眠れたの。ありがとう」
「それならよかった。私でよければまた眠れないときにいつでも部屋においで。またカモミールティーを淹れてあげるし、一緒に寝よう」
昨夜の名残りのせいか瑞貴はもう一度冬花の頭を撫でる。それに冬花は気持ちいいのかくすぐったそうに笑っていた。
「やっぱり瑞貴ちゃんに撫でてもらうと安心する」
「ホント? これぐらいお安いご用だよ。私にできることならなんでも言って」
「……じゃあ、一つお願い言っていい?」
「何?」
「ねぇ、瑞貴ちゃん。――お父さんと結婚して私のお母さんになって!」
「……ハッ?」
冬花の口から突拍子のない言葉が出て、瑞貴は撫でていた手をピタリと止めて硬直する。
聞き間違いかと思って手を離すと、キラキラと期待した眼差しを向ける冬花がいたので思わず一歩引いた。悪気があって言ってるわけではのでないから余計質(タチ)が悪い。
ある日の深夜。井上瑞貴は目が覚めると体が水分を欲していることに気づき、キッチンで水を飲んで部屋に戻ろうとすると……。
「……うっ…くっ……うぅ……」
「ん?」
ある部屋の前でうなされている声が聞こえて足を止めた。その部屋の主は久遠冬花だ。
「冬花ちゃん?」
「何をしている」
「っ!?」
久遠道也の声に驚いて思わず声を上げそうになった瑞貴。だけど同時にちょうどいいと思って冬花の部屋を指差すと、久遠も冬花の異変に気づいた。
「……このことは他言無用だ、お前も早く寝ろ」
久遠は小さな声でそう言うと、冬花のうなされた声が止まった直後去って行った。だが、瑞貴は冬花のことが気になり思い切ってノックする。
コンコン。
「冬花ちゃん、起きてる?」
「瑞貴…ちゃん……?」
扉を開けた冬花の顔には汗が流れていた。よほど強くうなされていたらしい。
「どうしたの?」
「水を飲みに行ったら冬花ちゃんの声が聞こえて……。汗がヒドいけど、大丈夫?」
「嫌な夢を見ていた気がするの……。でも…思い出せなくて……」
顔をうつむける冬花の表情は廊下の明かりでもあまり見えないが、おもわしくないと知った瑞貴は冬花の頭を優しく撫でる。
「瑞貴ちゃん……?」
「ムリに思い出す必要はないよ。ちょっと食堂に行ってて。私もすぐに行くから」
「えっ?」
瑞貴はその場を離れて部屋に戻ると何かを取り出し、食堂に行くと言った通り冬花が待っていた。
そしてキッチンでお湯を沸かしている間にティーポットとティーカップを取り出し、テキパキと作業していく。その慣れた手つきに冬花はしばし見惚れていた。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。わぁ、いい匂い……」
「カモミールティーだよ。エドガーからもらったんだ。リラックス効果があってよく眠れるって」
出されたティーカップからはカモミールの香りがして、冬花は引き込まれるように一口飲む。
「おいしい!」
「よかった。それ飲んだら寝ようね。明日も練習があるし、冬花ちゃんだってマネージャー業が大変なんだから」
「……なんか瑞貴ちゃん、お母さんみたい」
「お、お母さん!?」
同い年の女の子から『お母さん』と呼ばれ、瑞貴はガクッと肩を落とした。綱海条介にも言われて以来だから、久々だとやっぱり効くものがある。
「あっ、ごめん。気に障った?」
「ううん……大丈夫……。でも急にどうしたの?」
「私、お父さんしかいないから、お母さんってどんな感じかわからなくて……」
寂しそうに呟く冬花に瑞貴はハッとした。今まで久遠と過ごしていたから『女』として頼れる相手が冬花にはいなかったかもしれない。先ほどの言葉を気にすることはやめ、瑞貴はもう一度冬花の頭を撫でた。
「今日は一緒に寝る? ベッドは一人用だから少し狭いかもしれないけど……」
「っ、うん!」
顔を上げた冬花は嬉しそうに頷いた。普段冬花は大人びているがときどき年相応の可愛らしい表情を見せる。それを隠すことなくさらけ出してくれて瑞貴にとっても嬉しかった。
片付けもキチンと済ませ、冬花が自分の部屋から枕を持って二人は瑞貴の部屋で寝ることになった。
☆☆☆☆☆
朝になって瑞貴はいつものランニングを済ませて宿舎に帰ると、庭で大量のタオルを干した冬花の姿を見つけた。
「よしっと」
「おはよう、冬花ちゃん」
「瑞貴ちゃん! おはよう!」
瑞貴に気づいた冬花が笑顔で駆け寄って来る。日課があるため瑞貴は先に起き、そのとき見た冬花は気持ちよさそうに眠っていたが、目覚めも良好だったようだ。
「瑞貴ちゃんのおかげでよく眠れたの。ありがとう」
「それならよかった。私でよければまた眠れないときにいつでも部屋においで。またカモミールティーを淹れてあげるし、一緒に寝よう」
昨夜の名残りのせいか瑞貴はもう一度冬花の頭を撫でる。それに冬花は気持ちいいのかくすぐったそうに笑っていた。
「やっぱり瑞貴ちゃんに撫でてもらうと安心する」
「ホント? これぐらいお安いご用だよ。私にできることならなんでも言って」
「……じゃあ、一つお願い言っていい?」
「何?」
「ねぇ、瑞貴ちゃん。――お父さんと結婚して私のお母さんになって!」
「……ハッ?」
冬花の口から突拍子のない言葉が出て、瑞貴は撫でていた手をピタリと止めて硬直する。
聞き間違いかと思って手を離すと、キラキラと期待した眼差しを向ける冬花がいたので思わず一歩引いた。悪気があって言ってるわけではのでないから余計質(タチ)が悪い。