目金、立つ!
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「……だ!」
「ん? 今、瑞貴の声が聞こえなかったか?」
半田がそう言うと全員先程夏未たちが出てきた通路を見る。「やだー!」とか「離してくださーい!」とかいう叫び声が聞こえてきた。
声がだんだん大きくなっていく所を見ると、またメイドたちに連行されているのだろう。
「お待たせしましたぁ」
先頭のメイドが円堂たちにそう言ってその場をどくと――。
「「「「「ええっ!?」」」」」
そこには童話やおとぎ話に出てくるようなお姫様の格好をしている瑞貴の姿があった。
髪は下ろしてゆるく巻かれ、ティアラやネックレスやイヤリングなどのアクセサリーも付けられ、化粧も薄く施してある今の瑞貴は、どこからどう見ても完璧なお姫様だった。いつもと違う姿に雷門中サッカー部一同は顔を赤くする。
「きゃー! 瑞貴先輩とってもステキです!」
「瑞貴ちゃん可愛い!」
「あら、なかなか良いじゃない」
「穴があったら入りたい……」
マネージャーたちに褒め言葉を与えられるが、瑞貴は羞恥でいっぱいなので素直に喜べなかった。
さらに円堂たちが声をかける前に、秋葉名戸学園サッカー部が瑞貴の周りに集まる。
「素晴らしい!」
「まさに1/1スケールのサクラ姫だ!」
「姫、私が悪の手から守って差し上げましょう!」
自作派流と御良一輝と無敵英雄が瑞貴に膝を付いて感動している。
「こっちに向かって笑ってほしいんだナー」
相戸留の言葉につい瑞貴はその方向を見て微笑んでしまった。その微笑みを見た秋葉名戸学園は「萌えー!」と言って叫び、次々と写真を撮っていく。
「秋葉名戸学園が時間前に来いって言った理由、これだったんスね……」
「しかも音無さんや土門さんまで便乗して写真を撮ってるでヤンス……」
「なんだか瑞貴先輩もだんだんヤケになってるし……」
「こんなんで試合大丈夫かな……」
すでに撮影会になっている様子に、壁山と栗松と宍戸と少林寺が口々と呟く。しかし瑞貴に好意を寄せる男共はあとでその写真をもらえないか交渉しようと思っていた。
撮影会が終わった瑞貴は試合前なのに一気に疲れが出てきた。もう着替えようと思って歩き出すとドレスの裾を踏んでしまい、前に倒れる。
「わっ……!」
「危ない!」
倒れる寸前で円堂が瑞貴を抱き止めた。
「あ、ありがとう守。助かったよ」
「い、いや大丈夫だ……」
「ドレスって動きにくいしヒールも歩きにくいんだよね。こんなの私が着て似合うはずがないのに……」
「そんなことない!」
「えっ?」
突然声を上げた円堂に瑞貴は驚いて顔を向ける。円堂はしまったというような顔をし、誤魔化そうとするが観念して答える。
「そ、その、だ、だって俺、本物のお姫様がいると思ったし……」
「あ、ありがとう……」
直球の褒め言葉に、瑞貴は先程とは違う別の意味で恥ずかしくなり頬を染めながら言う。
そんな初々しいカップルのような雰囲気を許す男共はもちろんいるわけで、神業の如く素晴らしい速さで二人の間に入る。
「よく似合っているぞ瑞貴!」
「ああ。綺麗だ」
「まっ、今回はあいつらに感謝かもねー。瑞貴のこんな姿が見れたわけだし」
「それにスッゲー可愛いぜ!」
「ありがとう!」
風丸と豪炎寺と松野と半田が褒めてきたので瑞貴は笑顔を向ける。それを見た男子たちは雷門中や秋葉名戸学園関係なく、再び耳まで顔を赤く染めた。
――撮影会も終わり瑞貴はユニフォームに着替えた。その疲れ切った表情に誰もが心配したが、瑞貴は大丈夫だと伝える。
円堂と瑞貴はベンチに座ってフォーメーションを確認する。今回は豪炎寺がいないので誰かが代わりにFWに上がらなければならない。
「豪炎寺の代わりは……」
全員を見渡して土門を見る。土門もその視線に気づき笑って頷く。
「はいよ。俺ね」
「ここは切り札の出番でしょう」
「切り札?」
突然目金がそう言って円堂と瑞貴に近づき、眼鏡をクイッと上げる。
「メイド喫茶に行ったおかげで、彼らのサッカーが理解できました。僕が必ずチームを勝利に導いてあげましょう!」
自信満々に言う目金だが、円堂を除くメンバーは不安そうな顔をしてざわめく。
「いいんじゃないか。目金で」
「……そうだね。やる気満々みたいだし、なんとかなるんじゃねぇの?」
豪炎寺が鶴の一声を出し、土門もそれに便乗して言葉を付け加える。瑞貴は仕方ないというような顔をしていたが、円堂はしっかりと頷く。
「よし! 今日はお前がFWだ。頼んだぞ!」
「ちょっと待って!」
円堂の言葉を止めたのは夏未だった。もう慣れたのかあきらめたのか、メイド服を着たまま腕を組んで前に出る。
「彼が豪炎寺くんの代わりで大丈夫なの? あまりにも危険な賭けじゃない」
「そうっスよ。帝国戦のときみたいに、またいつ逃げ出すか」
壁山の言葉に宍戸と栗松も賛成するように深く頷く。しかし円堂がそれを否定する。
「今日のこいつのやる気は本物だ。俺にはわかる。本気でやる気になっている奴が、ここ一番で頼りになるんだ! 俺は目金のやる気に賭けるぜ!」
瞳に炎を灯しながら円堂がそう言うと、目金は得意気に笑う。
「大船に乗ったつもりでいてください」
「……むしろ泥舟に乗った気分だ」
ボソリと瑞貴が呟いた言葉に頷く者は少なくなかった。
「ん? 今、瑞貴の声が聞こえなかったか?」
半田がそう言うと全員先程夏未たちが出てきた通路を見る。「やだー!」とか「離してくださーい!」とかいう叫び声が聞こえてきた。
声がだんだん大きくなっていく所を見ると、またメイドたちに連行されているのだろう。
「お待たせしましたぁ」
先頭のメイドが円堂たちにそう言ってその場をどくと――。
「「「「「ええっ!?」」」」」
そこには童話やおとぎ話に出てくるようなお姫様の格好をしている瑞貴の姿があった。
髪は下ろしてゆるく巻かれ、ティアラやネックレスやイヤリングなどのアクセサリーも付けられ、化粧も薄く施してある今の瑞貴は、どこからどう見ても完璧なお姫様だった。いつもと違う姿に雷門中サッカー部一同は顔を赤くする。
「きゃー! 瑞貴先輩とってもステキです!」
「瑞貴ちゃん可愛い!」
「あら、なかなか良いじゃない」
「穴があったら入りたい……」
マネージャーたちに褒め言葉を与えられるが、瑞貴は羞恥でいっぱいなので素直に喜べなかった。
さらに円堂たちが声をかける前に、秋葉名戸学園サッカー部が瑞貴の周りに集まる。
「素晴らしい!」
「まさに1/1スケールのサクラ姫だ!」
「姫、私が悪の手から守って差し上げましょう!」
自作派流と御良一輝と無敵英雄が瑞貴に膝を付いて感動している。
「こっちに向かって笑ってほしいんだナー」
相戸留の言葉につい瑞貴はその方向を見て微笑んでしまった。その微笑みを見た秋葉名戸学園は「萌えー!」と言って叫び、次々と写真を撮っていく。
「秋葉名戸学園が時間前に来いって言った理由、これだったんスね……」
「しかも音無さんや土門さんまで便乗して写真を撮ってるでヤンス……」
「なんだか瑞貴先輩もだんだんヤケになってるし……」
「こんなんで試合大丈夫かな……」
すでに撮影会になっている様子に、壁山と栗松と宍戸と少林寺が口々と呟く。しかし瑞貴に好意を寄せる男共はあとでその写真をもらえないか交渉しようと思っていた。
撮影会が終わった瑞貴は試合前なのに一気に疲れが出てきた。もう着替えようと思って歩き出すとドレスの裾を踏んでしまい、前に倒れる。
「わっ……!」
「危ない!」
倒れる寸前で円堂が瑞貴を抱き止めた。
「あ、ありがとう守。助かったよ」
「い、いや大丈夫だ……」
「ドレスって動きにくいしヒールも歩きにくいんだよね。こんなの私が着て似合うはずがないのに……」
「そんなことない!」
「えっ?」
突然声を上げた円堂に瑞貴は驚いて顔を向ける。円堂はしまったというような顔をし、誤魔化そうとするが観念して答える。
「そ、その、だ、だって俺、本物のお姫様がいると思ったし……」
「あ、ありがとう……」
直球の褒め言葉に、瑞貴は先程とは違う別の意味で恥ずかしくなり頬を染めながら言う。
そんな初々しいカップルのような雰囲気を許す男共はもちろんいるわけで、神業の如く素晴らしい速さで二人の間に入る。
「よく似合っているぞ瑞貴!」
「ああ。綺麗だ」
「まっ、今回はあいつらに感謝かもねー。瑞貴のこんな姿が見れたわけだし」
「それにスッゲー可愛いぜ!」
「ありがとう!」
風丸と豪炎寺と松野と半田が褒めてきたので瑞貴は笑顔を向ける。それを見た男子たちは雷門中や秋葉名戸学園関係なく、再び耳まで顔を赤く染めた。
――撮影会も終わり瑞貴はユニフォームに着替えた。その疲れ切った表情に誰もが心配したが、瑞貴は大丈夫だと伝える。
円堂と瑞貴はベンチに座ってフォーメーションを確認する。今回は豪炎寺がいないので誰かが代わりにFWに上がらなければならない。
「豪炎寺の代わりは……」
全員を見渡して土門を見る。土門もその視線に気づき笑って頷く。
「はいよ。俺ね」
「ここは切り札の出番でしょう」
「切り札?」
突然目金がそう言って円堂と瑞貴に近づき、眼鏡をクイッと上げる。
「メイド喫茶に行ったおかげで、彼らのサッカーが理解できました。僕が必ずチームを勝利に導いてあげましょう!」
自信満々に言う目金だが、円堂を除くメンバーは不安そうな顔をしてざわめく。
「いいんじゃないか。目金で」
「……そうだね。やる気満々みたいだし、なんとかなるんじゃねぇの?」
豪炎寺が鶴の一声を出し、土門もそれに便乗して言葉を付け加える。瑞貴は仕方ないというような顔をしていたが、円堂はしっかりと頷く。
「よし! 今日はお前がFWだ。頼んだぞ!」
「ちょっと待って!」
円堂の言葉を止めたのは夏未だった。もう慣れたのかあきらめたのか、メイド服を着たまま腕を組んで前に出る。
「彼が豪炎寺くんの代わりで大丈夫なの? あまりにも危険な賭けじゃない」
「そうっスよ。帝国戦のときみたいに、またいつ逃げ出すか」
壁山の言葉に宍戸と栗松も賛成するように深く頷く。しかし円堂がそれを否定する。
「今日のこいつのやる気は本物だ。俺にはわかる。本気でやる気になっている奴が、ここ一番で頼りになるんだ! 俺は目金のやる気に賭けるぜ!」
瞳に炎を灯しながら円堂がそう言うと、目金は得意気に笑う。
「大船に乗ったつもりでいてください」
「……むしろ泥舟に乗った気分だ」
ボソリと瑞貴が呟いた言葉に頷く者は少なくなかった。