目金、立つ!
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「悪いけど、そんなことをしている暇はない」
「私たちはもうすぐ、大事なサッカーの試合があるからね」
「おや、君たちもサッカーをやるのかい?」
「えっ? 『君たちも』って……?」
「僕たちも今、結構大きな大会に出ていてね。えっとー……なんだっけ?」
「――フットボール、なんとか……」
漫画が思い出せないでいると、ビデオゲームをしていた男・芸夢好武が代わりに答えた。
「まさか、フットボールフロンティアか?」
「そーだっけ? 覚えてないな。オイ! 俺のアイテム取るなよ!」
ここまで来てさすがの円堂たちも感づいたらしい。先程とは打って変わった表情でいた。みんなの思考を代表するように風丸が呟く。
「メイド喫茶に入り浸っている、オタク集団……」
「秋葉名戸学園サッカー部って、まさか……」
円堂と目金は驚いたような顔で、瑞貴は普通に野部流と漫画に振り向いた。その二人は顔を見合わせて再び瑞貴たちを不思議そうに見る。
「僕たちのことですが……何か?」
野部流の答えを聞き、瑞貴は耳をすぐに塞ぐ。そして一拍――。
「「「「「ええぇぇぇえええ!!」」」」」
円堂たちの叫び声は地上にある店の外まで聞こえたとか聞こえてないとか。
――メイド喫茶から帰った瑞貴たちは河川敷で練習をすることになった。
「な~にやってる! しっかりトラップしろ!」
「す、すみませ~ん!」
染岡の叱咤に少林寺が慌てて謝罪をする。今練習をしているのは一年組と染岡で、他の二年組はゴールポストの裏で作戦会議をしていた。
「ハァ……。ダメだ。みんな気がゆるんじまってる」
「仕方ないよ。あんな連中が準決勝の相手なんだ」
「ですが、仮にも準決勝を勝ち進んできたチーム。油断は禁物ですよ」
松野の言葉に珍しく目金がマトモなことを言う。しかし松野は「そーかなぁ」と返事する。
「全然強そうには見えなかったぞ」
「人を見かけで判断しちゃダメだよ、真一」
ボールがこぼれた音が聞こえると、染岡が「お前ら! もっと集中しろ!」と怒鳴る。それに対して宍戸は「すみませ~ん」と力ない声で返事をする。その様子に瑞貴と円堂は肩を落とした。
「こんなんで準決勝大丈夫なのかよ……」
「まっ、相手は参加校の中で一番弱いって話だし、なんとかなるんじゃない?」
松野が緊張感もなくそう言うと、瑞貴はどこか遠い目をする。
「……私たちも当初は弱かったんだけどね」
「……そうだな」
そして瑞貴と円堂は顔を見合わせて苦笑した。
☆☆☆☆☆
そして日が経って試合当日になり、秋葉名戸学園で準決勝が行われようとしている。
《さあ! フットボールフロンティア、地区予選準決勝! 雷門中対秋葉名戸学園の一戦がいよいよ始まります!!》
毎度の如く実況をしているのは角馬圭太。すでに雷門中サッカー部専属の実況者になっている気がするのは気のせいではないだろう。
「これを…私に着ろと……?」
手渡されたメイド服に夏未は体を震わすが、秋と春奈は普通にメイド服を受け取る。
「我が校における試合では、マネージャーは全てメイド服着用、という決まりになっておりますぅ」
メイド喫茶で店員をしていたメイドたちが説明する。夏未はあまりにもバカバカしい決まりに顔を赤くして怒った。
「誰がそんな決まり作ったのよ!」
「店長…いえ監督がぁ」
メイドたちが手で示した先にはスイカを食べている男の姿があった。彼が秋葉名戸学園サッカー部の監督・真二屋才人である。
「あの人、メイド喫茶でもスイカを食べてなかった……?」
「あれ、監督だったんだ……」
監督までマニアックな容姿に瑞貴と円堂はこれまた呆れる。そのうしろでは夏未が真二屋を恨めしそうに見ていたのであった。
「そういえば、どうして集合時間より早く着くよう頼んできたんだ?」
「さあ?」
昨日、目金に野部留から『集合時間の二時間前に来てほしい』というメールが来たのだ。特に断る理由もなかったのでそうしたが、その真相は謎のままだ。
「あれ? 瑞貴先輩のメイド服がありませんよ?」
「なっ! あなただけズルくってよ!」
春奈と夏未がそう言うと、瑞貴は得意気に胸を張る。
先日の偵察(?)でメイド服は着たし、今回の決まりはマネージャーであって選手ではない。それに先日メイド服を着せられたのでもう着る必要はない、と思いきや――。
「井上瑞貴様には、特別コスチュームをご用意しておりますぅ」
「……えっ?」
メイドの爆弾発言に瑞貴は凍りついた。しかしすぐに覚醒し逃げようとするが……。
「こちらにどうぞぉ」
「みぎゃああぁぁあああ――……!」
再び出た同じ光景。瑞貴はメイドから有無を言わせずに奥に引っ張り出されたのだ。雷門中サッカー部は最早苦笑するしかなかった。
――控え室に繋がる通路から足音が聞こえ、円堂が振り向くと、それより先に仮沢装と相戸留捜が食いついた。そこには顔を赤くさせて怒っているメイド服を着た夏未の姿があった。
「どうして私がこんな格好を……!」
「「イエーイ!」」
今にも逃げ出したい思いでいる夏未とは対象に秋と春奈はノリノリだ。
三人の周りを仮沢と相戸留がグルグル回って眺め、仮沢は夏未に猫耳カチューシャをつけて満足そうに笑う。
「グー!」
「ンー。目線こっちにお願いなんだナー」
カメラを構えた相戸留に夏未は全力拒否をするが、秋と春奈に腕を回されてされるがままに写真を撮られる。……終わる頃には夏未の魂が抜けていた。対して相戸留は「萌えー!」と喜んでいる。
「……これが準決勝の相手か」
「ああ……」
初めて見る秋葉名戸学園の様子に呆気にとられている豪炎寺の問いに、円堂は肩をすくめて答える。
「そういえば瑞貴は?」
円堂に言われて全員周りを見ると瑞貴の姿がない。時間的にそろそろ戻って来てもいいはずなのだが。
「私たちはもうすぐ、大事なサッカーの試合があるからね」
「おや、君たちもサッカーをやるのかい?」
「えっ? 『君たちも』って……?」
「僕たちも今、結構大きな大会に出ていてね。えっとー……なんだっけ?」
「――フットボール、なんとか……」
漫画が思い出せないでいると、ビデオゲームをしていた男・芸夢好武が代わりに答えた。
「まさか、フットボールフロンティアか?」
「そーだっけ? 覚えてないな。オイ! 俺のアイテム取るなよ!」
ここまで来てさすがの円堂たちも感づいたらしい。先程とは打って変わった表情でいた。みんなの思考を代表するように風丸が呟く。
「メイド喫茶に入り浸っている、オタク集団……」
「秋葉名戸学園サッカー部って、まさか……」
円堂と目金は驚いたような顔で、瑞貴は普通に野部流と漫画に振り向いた。その二人は顔を見合わせて再び瑞貴たちを不思議そうに見る。
「僕たちのことですが……何か?」
野部流の答えを聞き、瑞貴は耳をすぐに塞ぐ。そして一拍――。
「「「「「ええぇぇぇえええ!!」」」」」
円堂たちの叫び声は地上にある店の外まで聞こえたとか聞こえてないとか。
――メイド喫茶から帰った瑞貴たちは河川敷で練習をすることになった。
「な~にやってる! しっかりトラップしろ!」
「す、すみませ~ん!」
染岡の叱咤に少林寺が慌てて謝罪をする。今練習をしているのは一年組と染岡で、他の二年組はゴールポストの裏で作戦会議をしていた。
「ハァ……。ダメだ。みんな気がゆるんじまってる」
「仕方ないよ。あんな連中が準決勝の相手なんだ」
「ですが、仮にも準決勝を勝ち進んできたチーム。油断は禁物ですよ」
松野の言葉に珍しく目金がマトモなことを言う。しかし松野は「そーかなぁ」と返事する。
「全然強そうには見えなかったぞ」
「人を見かけで判断しちゃダメだよ、真一」
ボールがこぼれた音が聞こえると、染岡が「お前ら! もっと集中しろ!」と怒鳴る。それに対して宍戸は「すみませ~ん」と力ない声で返事をする。その様子に瑞貴と円堂は肩を落とした。
「こんなんで準決勝大丈夫なのかよ……」
「まっ、相手は参加校の中で一番弱いって話だし、なんとかなるんじゃない?」
松野が緊張感もなくそう言うと、瑞貴はどこか遠い目をする。
「……私たちも当初は弱かったんだけどね」
「……そうだな」
そして瑞貴と円堂は顔を見合わせて苦笑した。
☆☆☆☆☆
そして日が経って試合当日になり、秋葉名戸学園で準決勝が行われようとしている。
《さあ! フットボールフロンティア、地区予選準決勝! 雷門中対秋葉名戸学園の一戦がいよいよ始まります!!》
毎度の如く実況をしているのは角馬圭太。すでに雷門中サッカー部専属の実況者になっている気がするのは気のせいではないだろう。
「これを…私に着ろと……?」
手渡されたメイド服に夏未は体を震わすが、秋と春奈は普通にメイド服を受け取る。
「我が校における試合では、マネージャーは全てメイド服着用、という決まりになっておりますぅ」
メイド喫茶で店員をしていたメイドたちが説明する。夏未はあまりにもバカバカしい決まりに顔を赤くして怒った。
「誰がそんな決まり作ったのよ!」
「店長…いえ監督がぁ」
メイドたちが手で示した先にはスイカを食べている男の姿があった。彼が秋葉名戸学園サッカー部の監督・真二屋才人である。
「あの人、メイド喫茶でもスイカを食べてなかった……?」
「あれ、監督だったんだ……」
監督までマニアックな容姿に瑞貴と円堂はこれまた呆れる。そのうしろでは夏未が真二屋を恨めしそうに見ていたのであった。
「そういえば、どうして集合時間より早く着くよう頼んできたんだ?」
「さあ?」
昨日、目金に野部留から『集合時間の二時間前に来てほしい』というメールが来たのだ。特に断る理由もなかったのでそうしたが、その真相は謎のままだ。
「あれ? 瑞貴先輩のメイド服がありませんよ?」
「なっ! あなただけズルくってよ!」
春奈と夏未がそう言うと、瑞貴は得意気に胸を張る。
先日の偵察(?)でメイド服は着たし、今回の決まりはマネージャーであって選手ではない。それに先日メイド服を着せられたのでもう着る必要はない、と思いきや――。
「井上瑞貴様には、特別コスチュームをご用意しておりますぅ」
「……えっ?」
メイドの爆弾発言に瑞貴は凍りついた。しかしすぐに覚醒し逃げようとするが……。
「こちらにどうぞぉ」
「みぎゃああぁぁあああ――……!」
再び出た同じ光景。瑞貴はメイドから有無を言わせずに奥に引っ張り出されたのだ。雷門中サッカー部は最早苦笑するしかなかった。
――控え室に繋がる通路から足音が聞こえ、円堂が振り向くと、それより先に仮沢装と相戸留捜が食いついた。そこには顔を赤くさせて怒っているメイド服を着た夏未の姿があった。
「どうして私がこんな格好を……!」
「「イエーイ!」」
今にも逃げ出したい思いでいる夏未とは対象に秋と春奈はノリノリだ。
三人の周りを仮沢と相戸留がグルグル回って眺め、仮沢は夏未に猫耳カチューシャをつけて満足そうに笑う。
「グー!」
「ンー。目線こっちにお願いなんだナー」
カメラを構えた相戸留に夏未は全力拒否をするが、秋と春奈に腕を回されてされるがままに写真を撮られる。……終わる頃には夏未の魂が抜けていた。対して相戸留は「萌えー!」と喜んでいる。
「……これが準決勝の相手か」
「ああ……」
初めて見る秋葉名戸学園の様子に呆気にとられている豪炎寺の問いに、円堂は肩をすくめて答える。
「そういえば瑞貴は?」
円堂に言われて全員周りを見ると瑞貴の姿がない。時間的にそろそろ戻って来てもいいはずなのだが。