目金、立つ!
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「瑞貴ちゃん可愛いね。写メとって音無さんに送ろっと」
「やめろ! って、撮るんじゃなーい! ――ん?」
勝手に土門に写メを取られて食いかかると、視界に半田と風丸と染岡と一年組が手で鼻を押さえながらボタボタと血を滴らせていた。恐らくというか確実に鼻血。
「ちょっ! 真一たち何鼻血出してんの!」
「汚いよみんな」
「「「うるせぇ……」」」
松野の冷めた視線にも怒鳴り返す気力がないのだった。
「ほら、ティシュティシュ!」
「「「すまねぇ/ない……」」」
「「「「ありがとうございます/っス/でヤンス……」」」」
「――君たち見どころがあるね」
半田たちを介抱している間、突然声を掛けられたので瑞貴と目金は振り向くと、他校の制服を着ているぽっちゃり系とベレー帽をかぶった男子生徒が二人いた。
「君たちは?」
「君たちに見せたいものがあるんだ。ついてきたまえ」
目金が質問すると一人の男子生徒は答えず、ついてくるように促した。
雷門中サッカー部は男子生徒たちと店の奥にあるエレベーターに乗り地下へ向かう。ちなみに狭いエレベーターなのに、瑞貴の周りだけ妙に間があった。
瑞貴はそれを不審に思い、顔を巡らせると、全員顔を真っ赤にさせてそっぽを向き誰一人瑞貴と目を合わせなかった。目金と男子学生たちは例外として。
(なんで?)
(((((か、可愛すぎだろ……)))))
仲間たちの態度に瑞貴は首を傾げ、頭を悩ますしかなかった。――もちろんそれは瑞貴のメイド姿を直視できないからなのだが。地下三階に着くとエレベーターが開いた。
「さあ、入ってくれ」
ぽっちゃりした男子生徒はみんなを促す。中には先ほどの二人と同じ制服を着ている男子生徒がいた。
個室のようなスペースでロボットにニスを塗る者、アーケードゲームをする者、ビデオゲームをする者、鉄道模型を組み立てる者、ネットをしている者、ヒーローのフィギュアを手入れしている者、コスプレ衣裳を作っている者、パソコンを組み立てている者、アイドル番組を見ている者がいる。目金はその様子を見て一目散に飛び出す。
目金はマイナーなロボットや、スイッチバックを再現した鉄道模型の良さや、まったく売れなかったゲーム機までわかっている。その行動に男子生徒の目が変わった。
「お前、スッゲ詳しいんだな……」
「しかもジャンル問わずに……」
「僕に知らないことはありませんよ」
円堂と瑞貴が唖然としていると、目金は得意気にクイッと眼鏡を上げた。
「やはり君なら、ここにある物の価値がわかってくれると思ったよ」
「僕たちと同じ、オタク魂を感じたんでね」
連れてきた男子生徒たちは目金の反応にとても満足して、眼鏡を光らす。
「フフッ。なかなかいい品揃えだと言えるでしょう」
そして目金も眼鏡を同じように光らせた。
「ついていけねー……」
「同感」
三人の会話を聞いていた半田の呟きに、尾刈斗中が負けた理由の想像がついたので瑞貴は深く頷くと、目金以外の雷門中サッカー部から驚かれた顔をされた。
「どうしたの?」
「だって瑞貴も『見どころがある』とか言われてただろ」
「てっきり、お前も目金と同種かと……イッテェ!」
風丸の言葉の続きを言った染岡に瑞貴は肘鉄をくらわせ、染岡は脇腹を押さえながら唸る。その様子に何人かが合掌したとか。
すると会話を聞いたぽっちゃり系の男子生徒が説明をする。
「ああ。彼女は『サクラ姫』と瓜二つなんだ!」
「「「「「サクラ姫?」」」」」
「説明しましょう!」
瑞貴を含む部員一同が声をそろえて言うと、目金がすかさず言ってきた。
「サクラ姫とは、史上最高の萌えゲーム、『フラワーファンタジー』に登場する神の国・スプリング王国のお姫様なのです。人前では清楚可憐なのですが、本来の性格はおてんばで母性愛が満ちています! しかも、見た者を虜にしてしまう可愛い笑顔を持っている不思議なお姫様なのです!」
胸を張って目金が解説すると、雷門メンバーは全員「当たっている……」と思った。
瑞貴は初対面の相手には敬語を使っているので『大人しい女の子』というイメージがあった。だけどサッカー部に入ってからの行動を見て、『男勝りだけど面倒見の良い女の子』と変わった。
だが顔は可愛い方なので、彼女の笑顔を見て赤くしない者は少ないだろう。
「その顔! その声! そして先程写メを撮った彼に怒る口調!」
「そう! 君はプリンセス・サクラの生まれ変わりだ!」
「……ハァ?」
ビシィッと指をつきつけた二人の男子生徒に、瑞貴は呆気に取られた。
「あ、あれは……!」
突然目金はあるブースに入り、棚にあるマンガを驚いた目で見る。
「まさか……『マジカルプリンセスシルキー・ナナ』の全巻セット!」
「なんですかー? それ」
「原作・野部流来人先生、ペン・漫画萌先生が手がけられた史上最強の萌え漫画です!」
首を傾げる少林寺に目金は熱く答えた。
「嬉しいねぇ。我々の作品をそこまで褒めてもらえると」
「我々……!?」
「そう。私が原作者の野部流来人」
「僕が漫画萌さ」
憧れの人物が目の前にいることに、目金はキラキラと瞳を輝かせる。
「まさか! 伝説のお二人にお会いできるなんて……!」
「我々も、君のようなファンと会えて嬉しいよ」
「今日はじっくり語り合おう」
野部流来人と漫画萌が手を差し出し、目金がそれを握り返そうとすると――。
「ちょーっとストップストップ!」
円堂が三人の間に割り込んできて会話を阻止したのだ。非常に良いタイミングだったので瑞貴は心の中で拍手を送って円堂の隣に移動する。
「やめろ! って、撮るんじゃなーい! ――ん?」
勝手に土門に写メを取られて食いかかると、視界に半田と風丸と染岡と一年組が手で鼻を押さえながらボタボタと血を滴らせていた。恐らくというか確実に鼻血。
「ちょっ! 真一たち何鼻血出してんの!」
「汚いよみんな」
「「「うるせぇ……」」」
松野の冷めた視線にも怒鳴り返す気力がないのだった。
「ほら、ティシュティシュ!」
「「「すまねぇ/ない……」」」
「「「「ありがとうございます/っス/でヤンス……」」」」
「――君たち見どころがあるね」
半田たちを介抱している間、突然声を掛けられたので瑞貴と目金は振り向くと、他校の制服を着ているぽっちゃり系とベレー帽をかぶった男子生徒が二人いた。
「君たちは?」
「君たちに見せたいものがあるんだ。ついてきたまえ」
目金が質問すると一人の男子生徒は答えず、ついてくるように促した。
雷門中サッカー部は男子生徒たちと店の奥にあるエレベーターに乗り地下へ向かう。ちなみに狭いエレベーターなのに、瑞貴の周りだけ妙に間があった。
瑞貴はそれを不審に思い、顔を巡らせると、全員顔を真っ赤にさせてそっぽを向き誰一人瑞貴と目を合わせなかった。目金と男子学生たちは例外として。
(なんで?)
(((((か、可愛すぎだろ……)))))
仲間たちの態度に瑞貴は首を傾げ、頭を悩ますしかなかった。――もちろんそれは瑞貴のメイド姿を直視できないからなのだが。地下三階に着くとエレベーターが開いた。
「さあ、入ってくれ」
ぽっちゃりした男子生徒はみんなを促す。中には先ほどの二人と同じ制服を着ている男子生徒がいた。
個室のようなスペースでロボットにニスを塗る者、アーケードゲームをする者、ビデオゲームをする者、鉄道模型を組み立てる者、ネットをしている者、ヒーローのフィギュアを手入れしている者、コスプレ衣裳を作っている者、パソコンを組み立てている者、アイドル番組を見ている者がいる。目金はその様子を見て一目散に飛び出す。
目金はマイナーなロボットや、スイッチバックを再現した鉄道模型の良さや、まったく売れなかったゲーム機までわかっている。その行動に男子生徒の目が変わった。
「お前、スッゲ詳しいんだな……」
「しかもジャンル問わずに……」
「僕に知らないことはありませんよ」
円堂と瑞貴が唖然としていると、目金は得意気にクイッと眼鏡を上げた。
「やはり君なら、ここにある物の価値がわかってくれると思ったよ」
「僕たちと同じ、オタク魂を感じたんでね」
連れてきた男子生徒たちは目金の反応にとても満足して、眼鏡を光らす。
「フフッ。なかなかいい品揃えだと言えるでしょう」
そして目金も眼鏡を同じように光らせた。
「ついていけねー……」
「同感」
三人の会話を聞いていた半田の呟きに、尾刈斗中が負けた理由の想像がついたので瑞貴は深く頷くと、目金以外の雷門中サッカー部から驚かれた顔をされた。
「どうしたの?」
「だって瑞貴も『見どころがある』とか言われてただろ」
「てっきり、お前も目金と同種かと……イッテェ!」
風丸の言葉の続きを言った染岡に瑞貴は肘鉄をくらわせ、染岡は脇腹を押さえながら唸る。その様子に何人かが合掌したとか。
すると会話を聞いたぽっちゃり系の男子生徒が説明をする。
「ああ。彼女は『サクラ姫』と瓜二つなんだ!」
「「「「「サクラ姫?」」」」」
「説明しましょう!」
瑞貴を含む部員一同が声をそろえて言うと、目金がすかさず言ってきた。
「サクラ姫とは、史上最高の萌えゲーム、『フラワーファンタジー』に登場する神の国・スプリング王国のお姫様なのです。人前では清楚可憐なのですが、本来の性格はおてんばで母性愛が満ちています! しかも、見た者を虜にしてしまう可愛い笑顔を持っている不思議なお姫様なのです!」
胸を張って目金が解説すると、雷門メンバーは全員「当たっている……」と思った。
瑞貴は初対面の相手には敬語を使っているので『大人しい女の子』というイメージがあった。だけどサッカー部に入ってからの行動を見て、『男勝りだけど面倒見の良い女の子』と変わった。
だが顔は可愛い方なので、彼女の笑顔を見て赤くしない者は少ないだろう。
「その顔! その声! そして先程写メを撮った彼に怒る口調!」
「そう! 君はプリンセス・サクラの生まれ変わりだ!」
「……ハァ?」
ビシィッと指をつきつけた二人の男子生徒に、瑞貴は呆気に取られた。
「あ、あれは……!」
突然目金はあるブースに入り、棚にあるマンガを驚いた目で見る。
「まさか……『マジカルプリンセスシルキー・ナナ』の全巻セット!」
「なんですかー? それ」
「原作・野部流来人先生、ペン・漫画萌先生が手がけられた史上最強の萌え漫画です!」
首を傾げる少林寺に目金は熱く答えた。
「嬉しいねぇ。我々の作品をそこまで褒めてもらえると」
「我々……!?」
「そう。私が原作者の野部流来人」
「僕が漫画萌さ」
憧れの人物が目の前にいることに、目金はキラキラと瞳を輝かせる。
「まさか! 伝説のお二人にお会いできるなんて……!」
「我々も、君のようなファンと会えて嬉しいよ」
「今日はじっくり語り合おう」
野部流来人と漫画萌が手を差し出し、目金がそれを握り返そうとすると――。
「ちょーっとストップストップ!」
円堂が三人の間に割り込んできて会話を阻止したのだ。非常に良いタイミングだったので瑞貴は心の中で拍手を送って円堂の隣に移動する。