立向居勇気の魔王・ザ・ハンドの完成のために井上瑞貴と綱海条介と一年組が協力していた同時刻。鬼道有人と佐久間次郎はジャパンエリアとは別の場所で特訓をしていた。

鬼道が上げたボールを佐久間がヘディングで再び鬼道に返す。


｢｢ツイン……｣｣

「ブースト！」


ドーナツのように円の中心が開いた彫刻の中心を通り抜け、バスケット用のゴールに見事シュートが入った。文句なしのコントロールに二人はハイタッチを交わした。

練習に区切りがついて、佐久間と鬼道はジャパンエリアに戻るべく街を歩く。


「鬼道、またお前と一緒のチームで戦えて嬉しいよ」

「俺もだ、佐久間」

「影山が帝国学園を去ったあと、俺たちは俺たちのサッカーで頂点の座をつかむと誓った。あの夢を今度こそ実現させよう。このフットボールフロンティアインターナショナルで世界一になるんだ！」

「ああ！」


佐久間と固い握手を交わす中、鬼道はふと道路を挟んだ反対側を見ると二人の人物が目に入った。


「あれは……！」

「どうした？」


鬼道の視線を追って佐久間も顔を向けると、そこには不動明王がいた。


「不動？　奴がどうかしたのか？」

「いや、不動の前にいる男……」


鬼道の言う通り不動から視線を変えると、高級車に乗ろうとする金色の長髪でサングラスをかけた男が目に入った。だがそのときに浮かべた笑みは佐久間たちもよく知る――影山零治と姿が重なる。


「まさか！」

「っ！」


プァ――ッ!!


確かめるべく鬼道は飛び出そうとしたが、急ブレーキしたバスに阻まれてしまった。発進したので再び同じ場所を見ると、すでに男も車も不動もいなかった。