ムゲン・ザ・ハンドを超えろ!
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さらに翌日の早朝。瑞貴は水着に着替えて予定通り綱海と合流した。
「ほら、予備のサーフボードだ」
「ありがとう。サーフィンは久々だから大丈夫かな?」
「気を引き締めろ! 気持ちから負けたら乗れる波も乗れないぜ!」
「うん!」
さすが南の島というべきか、サーフィンにピッタリの波がどんどん来ている。久しぶりなので最初はうまくできなかった瑞貴も、今ではうまく波に乗れている。
「やるじゃねぇか瑞貴!」
「条介の指導がいいからだよ!」
「綱海さ――ん!! 瑞貴先ぱ――い!!」
「「ん?」」
波に乗っていると春奈の声が聞こえた。目を向ければ小さなサッカーコートで一年組が集まっている。
「よぉ! おわっ!?」
「条介!?」
返事のために手を上げた綱海だが、そのせいでバランスを崩して海に落ちた。
瑞貴はパーカーとジャージのズボンを着たが、綱海は水着のままで春奈たちがいるコートに行くと、立向居が自分だけの新必殺技を作るために一年組が協力していることを聞いた。
「よしっ! 立向居の気持ちはよーくわかった! 俺様の必殺シュート、とーんと撃って強くなれ!」
「私も協力するよ!」
「「「「「ありがとうございます!」」」」」
一年組が一斉にお礼を言うと喜び合うが、綱海は涙ぐみ始めた。
「くぅ~! それにしてもお前ら一年が、立向居のためにこんな朝っぱらからよ~!」
「綱海さんこそ、こんな朝から」
「ああ、俺か? 俺の朝はサーフィンから始まるんだ! まっ、これから当分お前たちの特訓に付き合うぜ」
「瑞貴姉もサーフィンしてたの?」
「今日は条介に誘われたんだ」
「ということは……その服の下には水着を着ているんですね! 見せてください!」
「「「ブフォ!」」」
春奈が期待を込めて言うと、立向居と壁山と栗松が顔を真っ赤にして吹き出した。瑞貴は驚きのあまり目をパチクリする。
「あの、なんで?」
「もちろん撮影……ゴホン。ちょっとした好奇心ですよ」
咳払いで誤魔化した春奈だが、瑞貴は自分の身の危険を感じて話を逸らすことにした。
「そ、それより勇気のことだよ」
「そ、そうだな! で、ムゲン・ザ・ハンドよりスゲー必殺技編み出すんだろ? 名前決めたのか?」
「いえ……まだ……」
「おいおい。頭ん中にイメージがなくて、何が必殺技だよ。無限を超えた先にあるのはズバリ――魔王だ! 魔王をイメージするんだ!」
「魔王・ザ・ハンド……」
「そうよ! 魔王・ザ・ハンド!」
綱海が人差し指を立向居の眉間に当てながらアドバイスすると、イメージから必殺技の名前まで決まった。
「はい! カッコいいですね!」
「強そうっス!」
「どんなシュートも止められそうでヤンスね!」
「さすが綱海さん!」
「よっしゃ! 決まり!」
綱海の提案に、立向居も壁山も栗松も春奈も賛同したことで決定した。
「無限を超えるのが、魔王?」
「違うような……合っているような……」
木暮と瑞貴の義姉弟は両腕を組みながら微妙な顔をして見合わせていた。