来たぜ! 世界大会!!

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「FFI唯一の女子選手だから有名だよ。それにさっきのスピード、あれは地形や状況が良くてもなかなか出せない。相当特訓してきたって伝わった」

「ありがとうございます!」

「!」


照れるように笑う瑞貴の微笑みに、今度はフィディオが目を見開いて手を差し出す。


「よろしくね!」

「こちらこそ!」

「ケガはないか!? 小僧たち!」


瑞貴とフィディオが握手を交わしていると、老人がトラックから出てきて声をかけた。


「びっくりしたぞ、いきなり飛び出しおって! そこのお嬢ちゃんがお願いとか言っていたが、いったいなんの用だ?」

「あの! このタイヤ貸してもらえませんか!?」

「そんな古タイヤ、なんに使うんだ?」

「サッカーの特訓です!」

「えっ?」


タイヤの目的がサッカーの特訓だと知りフィディオも驚いた。老人は呆れたように言う。


「フッ、物好きな奴だ。タイヤでサッカーの特訓とはな」

「変わっているなぁ、君は」

「ヘヘッ」


褒められていると思った円堂はニカッと笑った。


「覚えておくよ、エンドウ=マモル」

「ああ! 試合で会おうぜ、フィディオ!」


フィディオがボールを両手で差し出すと、円堂もそれに手を添えて笑い合った。その様子に瑞貴も微笑むと、フィディオは瑞貴に顔を向けた。


「もちろん君のことも。ミズキって呼んでいいかな? 俺のこともフィディオでいいよ」

「はい!」


再びフィディオが手を差し出したので、もう一度握手をするかと思った瑞貴は手を重ねると……。


「えっ?」


なんとフィディオはミズキの手を取ったまま片膝を付いた。あまりに自然な動作にミズキは目をパチクリしたのに対し、フィディオは微笑んでいる。


「君のような魅力的な子に会えてよかったよ」


チュ。


「みぎゃ!?」

「なっ!?」


また自然な動作でフィディオは瑞貴の手の甲にキスを落とした。王子様のような行動に瑞貴は一気に顔を赤くし、円堂は驚きのあまりショックを受ける。


「じゃあね!」


手を振って去って行くフィディオに瑞貴と円堂は呆然としていると、老人はこのまま無事に帰れるのか心配になったので、二人をジャパンエリアの宿舎まで送ることを申し出たのだった。



――ジャパンエリアの砂浜で、円堂は一つのヤシの木とタイヤにロープを括り付けてタイヤがぶら下がるようにした。瑞貴と老人も手伝ってくれたおかげで早く終わった。


「よし、これでいいだろう」

「すみません、手伝ってもらっちゃって」

「おかげで助かりました。ありがとうございます」

「これをどうするんだ?」

「こうするんです!」


ドガンッ!!


円堂は力いっぱい片手でタイヤを飛ばした。そのパワーに老人も「ホォ……」と感心する。


「こうやって特訓して、俺は必殺技を身に付けたんです」

「必殺技ねぇ。じゃあ転がってきたタイヤを受け止めたのは?」

「あれは、ゴッドハンドといって、じいちゃんが残してくれた技なんでし。俺が最初に覚えた必殺技……この技を身に付けたから、俺は世界に出ることができた。この技とじいちゃんが、俺を世界に連れてきてくれたんです!」

「……全部じいさんのおかげか」

「えっ?」

「…………」


突然の老人の言葉に円堂は不思議そうに顔を上げる。そばにいる瑞貴は少し眉を下げた。


「お前さんはそれでいいのか? お前自身のサッカーはどこにある?」

「俺の…サッカー……?」


復唱して顔を上げる円堂に、老人はフッと笑って背を向けるとトラックに向かって歩き出す。


「そのタイヤはくれてやるよ。特訓がんばるんだな。お嬢ちゃんもあまりムチャするんじゃないぞ」

「あっ、はい」


老人はそう言い残してトラックに乗り込み、そのまま発進させて浜辺から去って行った。円堂と瑞貴はトラックを見送るが……。


「何言ってんだ、あの人? 訳わかんないや?」

「だぁ!」


ポカンとしている円堂に瑞貴はズッコケた。


「ほ、本当にわからなかったの?」

「何が?」

「……うん。とりあえず自分で考えてみて。タイヤも見つかったことだし、私は先に休むね」

「えっ!? ちょっ、なんのことだよー!」


円堂が慌てて追いかけるも、結局瑞貴は何も言わなかった。
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