そのまま不動がゴール前まで持ち込むが――なんと寸前でバックにボールを上げた。これまで通りに自分でシュートを撃つと思っていたウミャンもドゥユンも驚いた。


「いくぞ壁山！」

「はいっス！」


そのうしろには風丸と壁山が走ってきてボールを追って飛び、ウミャンとドゥユンも遅れながらも飛ぶがそれに関わらずウミャンたちが高い。

勝てる、と思った二人だが風丸が笑っていたことに驚く。なんと壁山が足を上に上げるように体を逸らし、風丸はその足に合わせてバネの原理で高く飛んで、そのままオーバーヘッドでボールをゴールへ叩き込む。


「たああぁぁあああ！」

「大爆発張り手！」


ジョンスが大爆発張り手で対抗するも、勢いを殺しきれずボールは見事ゴールに入った。


《ゴォ――ルッ!!　風丸、壁山の連携シュート炸裂！　イナズマジャパン、ついに同点!!》

｢｢｢｢｢やった――っ!!｣｣｣｣｣


風丸と壁山を中心にイナズマジャパンが集まって喜びの声を上げた。目金も再び必殺技に命名する。


「名付けて、竜巻落とし！」

「今の、綱海さんが壁山くんと練習してた技じゃ……」

「関係ねぇってそんなの！　ホントによく決めてくれたぜ！」


音無春奈が尋ねると、綱海は壁山と練習していたのにも関わらず、土方と肩を組み合って喜びの声を上げる。


「やりましたね！　不動くん！」

「なっ!?」

「あっ！　ア、アハハハ……」


瑞貴は感極まって不動に抱きついたが、すぐに我に返って離れると苦笑を浮かべる。


「……フンッ」

「！」


なんと不動は瑞貴の頭に手を置いてポンポンと叩いた。しかも優しくて安心できる心地良さだ。顔はそっぽを向いたままだが、瑞貴は嬉しくて笑顔を浮かべた。

すると風丸が壁山と共に不動と向かい合う。だけど今までと違って清々しい表情だった。


「最高のタイミングだったよ」

「……俺が欲しいのは勝利だけだ」


そう言って不動はその場を去って行った。てっきり嫌味の一つでも言うか、何か喜びの言葉を言うかと思ったので、意外な態度に風丸も少々面食らう。


「なんだ？　あの態度……」

「フッ、あれが不動明王なのさ」

「だな」

「はいっス！」


鬼道の言葉に風丸も壁山も笑顔で答えると、不動もまた人知れず微笑んでいた。……今は完全に理解することはできなくても、これから少しずつわかっていけばいいのだ。


「でも有人、ズルい！」

「何がだ？」

「不動くんと連携必殺技をしたことだよ！　私は断られたのに！」


瑞貴が不動に連携必殺技を提案したとき、一刀両断の如く断られた。だけど鬼道のときは躊躇いもなく了承して成功させたので少し悔しかったのだ。


「いや、俺だって前から打ち合わせしていたわけじゃ……」

「私でさえ長く一緒に練習したからわかってきたのに、アイコンタクトを一発するだけで通じてたじゃん！」

「そ、そんなこと言われてもだな……」


鬼道はある意味理不尽な瑞貴の八つ当たりに、困惑しながら必死に宥めた。


「新たにあのような必殺技を編み出していたとは……！」

「言ったはずだよ。――イナズマジャパンは強いと」

「だが最後に勝つのは！」

「我々ファイアードラゴンだ！」


チャンスウもイナズマジャパンを侮ることができなくなったので、アフロディは微笑む。だけど南雲も涼野も――ファイアードラゴンだって負ける気はしない。

イナズマジャパンの残る問題は――豪炎寺と飛鷹だ。瑞貴と円堂は顔を見合わせて頷くと声を上げる。


「勝つよ！　みんな！」

「勝って世界だ！」

｢｢｢｢｢オウッ!!｣｣｣｣｣


一つになりつつあるイナズマジャパンは、ファイアードラゴンに勝利し本戦に出場することができるのか――!?










☆副キャプテン　今日の格言☆



与えられた役割は成し遂げるためにある！



以上!!