たちあがれキャプテン!
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「こっちだ!」
基山ヒロトがパスを回すように言うが、不動はチラッと見ただけでゴール前まで向かった。
「てぇい!」
そのままシュートするが、正面のためチョ=ジョンスがガッチリと止めてしまった。
「不動!」
ポジションに戻ろうとする不動に風丸が声を上げると不動も振り向いた。
「なんでヒロトに回さなかった!? 何故瑞貴以外にもパスしない!?」
「うるせぇな。どうしようと俺の勝手だ。バカ女だって壁山と同じように利用するつもりだったさ」
「なんだと!?」
「熱くなんなよ。風丸クン」
「っ!」
仲間を大事に思う気持ちが強い風丸に不動が挑発した。円堂はそんな彼らを心配そうに見る。
「風丸……。不動……」
「試合中に仲間割れとは……アジアのレベルはこんなモノかい?」
観客席にヒデと共にいるルカは、両手を後頭部に当てて呆れながら言う。このままにしてはヒートアップすると考え、瑞貴は仲裁のため二人の元へ行った。
「ストップ! 今は仲間同士でいがみ合っている場合じゃないでしょ!」
「フッ」
「瑞貴! あのときのパスはお前を利用するために――」
「そんなの重々承知の上だよ」
「なっ!?」
「「「「「えっ!?」」」」」
不動が利用することをわかった上でボールを取って返したと言う瑞貴に、風丸もヒロトたちも驚く。
「私は不動くんがああするってわかったから取れたんだよ。ただ、みんなよりも彼と練習していたから学んだとも言えるけど」
「瑞貴……」
「それに不動くんのプレーは迷いも嘘もない! もっとちゃんと見て!」
「っ! ……チッ」
今度は不動が瑞貴の言葉に目を見開いたが、忌々しげに舌打ちして声を上げる。
「さっすがバカ女。とうとう頭までバカになったか」
「不動!」
「落ち着いて一郎太!」
「人のことを理解したように気安く言ってんじゃねぇよ。俺はお前にこれっぽっちも理解してもらおうと思ってねぇんだからな」
「っ、ごめんなさい……」
確かに気安かったかもしれない。だけど心から不動に歩み寄っていた瑞貴は、いつものように流すことができず悲しそうな顔でうつむく。
その険悪な雰囲気はベンチにも伝わっている。久遠冬花はポツリと呟いた。
「あの人、誰も信じてなあのかも。だからみんなも彼を信じようとしない……。瑞貴ちゃんは信じようとしているのに……」
「不動……」
「どうしてあいつは……!」
「――強い思いを持った者は強くなれる。たとえ、それが正しき方向でなかろうとな」
「響木監督……」
仲間も信じず、歩み寄る瑞貴も信じない不動。円堂と鬼道は彼の行動に異質を感じると響木正剛が現れて語り始めた。その間にも試合は続いている。
「鬼道、お前は俺に聞いた。何故不動をスカウトしたのか」
「はい」
「あいつが異常なまでに力を得ようとするには理由がある」
「「…………」」
事情を知る久遠と神崎シンは響木を目線だけで見たが、すぐにフィールドにいる不動を見る。
「不動の父親は上司の失敗の責任を負わされ、不当に会社を辞めさせられた。以来、借金取りに追われる毎日……あいつの家族は暗く沈んでいった……」
『あなたは――偉くなって人を見返しなさい』
父親と父親を否定する母親を不動は歪んだ形で受け入れた。力を手に入れられなければ何もできない……力を手に入れて上に上がることが、自分を守る唯一の手段と思い込んでいるのだ。真・帝国学園を組織した影山零治に取り入ろうとしたが失敗に終わった。
「だが、俺はあいつにサッカープレーヤーとしての才能を感じた」
真・帝国学園もなくなって、他の場所で力を手に入れようと考えていた不動に、響木は声をかけた。
『お前の中に眠る、本当の力を見せてみろ。一緒に来い』
あまり乗り気じゃなかったかもしれないが、力を得られるならと不動は響木のスカウトを承諾した。
基山ヒロトがパスを回すように言うが、不動はチラッと見ただけでゴール前まで向かった。
「てぇい!」
そのままシュートするが、正面のためチョ=ジョンスがガッチリと止めてしまった。
「不動!」
ポジションに戻ろうとする不動に風丸が声を上げると不動も振り向いた。
「なんでヒロトに回さなかった!? 何故瑞貴以外にもパスしない!?」
「うるせぇな。どうしようと俺の勝手だ。バカ女だって壁山と同じように利用するつもりだったさ」
「なんだと!?」
「熱くなんなよ。風丸クン」
「っ!」
仲間を大事に思う気持ちが強い風丸に不動が挑発した。円堂はそんな彼らを心配そうに見る。
「風丸……。不動……」
「試合中に仲間割れとは……アジアのレベルはこんなモノかい?」
観客席にヒデと共にいるルカは、両手を後頭部に当てて呆れながら言う。このままにしてはヒートアップすると考え、瑞貴は仲裁のため二人の元へ行った。
「ストップ! 今は仲間同士でいがみ合っている場合じゃないでしょ!」
「フッ」
「瑞貴! あのときのパスはお前を利用するために――」
「そんなの重々承知の上だよ」
「なっ!?」
「「「「「えっ!?」」」」」
不動が利用することをわかった上でボールを取って返したと言う瑞貴に、風丸もヒロトたちも驚く。
「私は不動くんがああするってわかったから取れたんだよ。ただ、みんなよりも彼と練習していたから学んだとも言えるけど」
「瑞貴……」
「それに不動くんのプレーは迷いも嘘もない! もっとちゃんと見て!」
「っ! ……チッ」
今度は不動が瑞貴の言葉に目を見開いたが、忌々しげに舌打ちして声を上げる。
「さっすがバカ女。とうとう頭までバカになったか」
「不動!」
「落ち着いて一郎太!」
「人のことを理解したように気安く言ってんじゃねぇよ。俺はお前にこれっぽっちも理解してもらおうと思ってねぇんだからな」
「っ、ごめんなさい……」
確かに気安かったかもしれない。だけど心から不動に歩み寄っていた瑞貴は、いつものように流すことができず悲しそうな顔でうつむく。
その険悪な雰囲気はベンチにも伝わっている。久遠冬花はポツリと呟いた。
「あの人、誰も信じてなあのかも。だからみんなも彼を信じようとしない……。瑞貴ちゃんは信じようとしているのに……」
「不動……」
「どうしてあいつは……!」
「――強い思いを持った者は強くなれる。たとえ、それが正しき方向でなかろうとな」
「響木監督……」
仲間も信じず、歩み寄る瑞貴も信じない不動。円堂と鬼道は彼の行動に異質を感じると響木正剛が現れて語り始めた。その間にも試合は続いている。
「鬼道、お前は俺に聞いた。何故不動をスカウトしたのか」
「はい」
「あいつが異常なまでに力を得ようとするには理由がある」
「「…………」」
事情を知る久遠と神崎シンは響木を目線だけで見たが、すぐにフィールドにいる不動を見る。
「不動の父親は上司の失敗の責任を負わされ、不当に会社を辞めさせられた。以来、借金取りに追われる毎日……あいつの家族は暗く沈んでいった……」
『あなたは――偉くなって人を見返しなさい』
父親と父親を否定する母親を不動は歪んだ形で受け入れた。力を手に入れられなければ何もできない……力を手に入れて上に上がることが、自分を守る唯一の手段と思い込んでいるのだ。真・帝国学園を組織した影山零治に取り入ろうとしたが失敗に終わった。
「だが、俺はあいつにサッカープレーヤーとしての才能を感じた」
真・帝国学園もなくなって、他の場所で力を手に入れようと考えていた不動に、響木は声をかけた。
『お前の中に眠る、本当の力を見せてみろ。一緒に来い』
あまり乗り気じゃなかったかもしれないが、力を得られるならと不動は響木のスカウトを承諾した。