最後の試合
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「監督に頼んでもダメだった……」
「前に修也が理事長に呼ばれたのも、そのことだったんだろうね」
「俺、豪炎寺とサッカーがしたい! 豪炎寺だって、サッカーを続けることを本当は望んでいるんだ! でも、もう決めたことだって……」
歯を食いしばって顔をうつむける円堂を宥めるように瑞貴はその頭を撫でる。
「私、修也がうらやましいと思う」
「えっ?」
「それほどまでに修也のお父さんがこだわっているということは、修也に期待しているんだと思う。サッカーを憎んでいる……ってこともあるかもしれないけどね」
豪炎寺夕香の事故に心を痛めたのは豪炎寺だけじゃない。勝也だってそうだろう。だからサッカーを憎んでも自然な流れだと思う。
「私には両親や頼れる親族がいない。だからいつもみんながうらやましかったんだ」
家に帰れば迎えてくれて、一緒に食事をしたり、話をしたり、遊んだり、そういう普通の家庭に憧れる日々だった。親の悪口を言う子供を見ると『親は生きているのに贅沢な悩みだ』と思ったことだって何度もある。
瑞貴は写真立てを一つ取って円堂に渡す。
「私には親からの期待がわからない。亡くなったのは小さい頃だからあまり覚えてないし、血の繋がりの実感がするといえば、写真を見て自分と容姿がそっくりだなって思うときだけなんだ」
「これが、瑞貴の家族……」
その写真には幼い瑞貴の他に男性と女性と瑞貴より小さい少年が写っている。両親も弟も瑞貴と顔立ちが似て確かに血の繋がりがあると初めて見る円堂でもわかる。それと同時に、とても幸せだと伝わる。
「……優しい人たちだったんだな」
「うん。幸せな日々だったんだなってアルバムを見る度感じるの。その写真は一番のお気に入り」
瑞貴は豪炎寺と違って親に縛られることがないが、逆に言えばそれは淋しさものである。
「でもね、子供の人生は親が決めるものじゃないって私は思う。だって修也の人生は修也のモノだもん。その意思を尊重するのも親の役目なんじゃないかな」
「そうだな。俺もそう思う」
「だからさ、ちょっと提案がたるんだけど――」
瑞貴は考えた案を円堂に言ったのだ。
☆☆☆☆☆
翌日。今日も豪炎寺と虎丸は連携必殺技の練習をしていた。
「爆熱ストーム!」
立向居のいるゴールに向かって撃ったつもりだが、ボールは大きく逸れてしまった。
「グッ……」
「虎丸! 何度言ったらわかるんだ。蹴る瞬間に力が抜けてるぞ!」
「すみません!」
「もう一度だ!」
「なんだか今日の豪炎寺さん、怖いですね……」
「うん……」
時間がないことに焦って鬼気迫る豪炎寺は、ベンチで見ている春奈や秋も気づくほどだった。
「前に修也が理事長に呼ばれたのも、そのことだったんだろうね」
「俺、豪炎寺とサッカーがしたい! 豪炎寺だって、サッカーを続けることを本当は望んでいるんだ! でも、もう決めたことだって……」
歯を食いしばって顔をうつむける円堂を宥めるように瑞貴はその頭を撫でる。
「私、修也がうらやましいと思う」
「えっ?」
「それほどまでに修也のお父さんがこだわっているということは、修也に期待しているんだと思う。サッカーを憎んでいる……ってこともあるかもしれないけどね」
豪炎寺夕香の事故に心を痛めたのは豪炎寺だけじゃない。勝也だってそうだろう。だからサッカーを憎んでも自然な流れだと思う。
「私には両親や頼れる親族がいない。だからいつもみんながうらやましかったんだ」
家に帰れば迎えてくれて、一緒に食事をしたり、話をしたり、遊んだり、そういう普通の家庭に憧れる日々だった。親の悪口を言う子供を見ると『親は生きているのに贅沢な悩みだ』と思ったことだって何度もある。
瑞貴は写真立てを一つ取って円堂に渡す。
「私には親からの期待がわからない。亡くなったのは小さい頃だからあまり覚えてないし、血の繋がりの実感がするといえば、写真を見て自分と容姿がそっくりだなって思うときだけなんだ」
「これが、瑞貴の家族……」
その写真には幼い瑞貴の他に男性と女性と瑞貴より小さい少年が写っている。両親も弟も瑞貴と顔立ちが似て確かに血の繋がりがあると初めて見る円堂でもわかる。それと同時に、とても幸せだと伝わる。
「……優しい人たちだったんだな」
「うん。幸せな日々だったんだなってアルバムを見る度感じるの。その写真は一番のお気に入り」
瑞貴は豪炎寺と違って親に縛られることがないが、逆に言えばそれは淋しさものである。
「でもね、子供の人生は親が決めるものじゃないって私は思う。だって修也の人生は修也のモノだもん。その意思を尊重するのも親の役目なんじゃないかな」
「そうだな。俺もそう思う」
「だからさ、ちょっと提案がたるんだけど――」
瑞貴は考えた案を円堂に言ったのだ。
☆☆☆☆☆
翌日。今日も豪炎寺と虎丸は連携必殺技の練習をしていた。
「爆熱ストーム!」
立向居のいるゴールに向かって撃ったつもりだが、ボールは大きく逸れてしまった。
「グッ……」
「虎丸! 何度言ったらわかるんだ。蹴る瞬間に力が抜けてるぞ!」
「すみません!」
「もう一度だ!」
「なんだか今日の豪炎寺さん、怖いですね……」
「うん……」
時間がないことに焦って鬼気迫る豪炎寺は、ベンチで見ている春奈や秋も気づくほどだった。