「このコンビじゃ期待できそうにないけどね。ウッシッシッシッ」

「夕弥……」


面白そうに笑う木暮夕弥を見て瑞貴は呆れている。すると円堂が立ち上がった。


「そうと決まれば、さっそく特訓だ！」

｢｢｢｢｢オウッ!!｣｣｣｣｣


新必殺技のメンバーも決まって意気込む中、緑川はパンを置いて思い詰めた顔をしていた。緑川は木暮と同じテーブルにいたので、木暮から目線を移した瑞貴は緑川の様子に気づいた。

朝食後は新必殺技の練習を始める。最初は土方と吹雪の連携技で一部のメンバーも見学している。


「いくぞ、円堂！」

「来い！」


土方がドリブルして吹雪は前に並ぶように出る。


「吹雪！　おりゃあ！」

「うっ！」


強力な土方のシュートが来ると、吹雪もそれに反応して撃とうとするが体に当たってしまった。


「吹雪！」

「大丈夫か!?」

「うん。大丈夫だよ！」


ラインの外で見ていた立向居勇気も目金欠流も、二人の動きが合っていないことに気づく。


「全然タイミングが合っていませんね……」

「まっ、そう簡単にできるとは思っていませんでしたけどね」

「よし！　あとは三人に任せて、私たちも練習するよ！」

｢｢｢｢｢はい/オウッ!!｣｣｣｣｣


瑞貴の合図で見学していた他のメンバーも練習することになった。すると瑞貴はふとグラウンドの外を見ると、離れた場所でボールを持つ不動明王を見つけたので駆け寄る。


「不動くんも一緒に練習しましょう」

「今日は連携必殺技が中心なんだろ。だったら俺は断る」

「あっ……なら、私と連携必殺技を作りませんか？」

「もっとお断りだ。バカ女」

「そこまで言わなくても……」


不動はそう言ってその場を去って行った。なんとなく予想していたとはいえ、あそこまでキッパリ断られると瑞貴は少し泣きたくなった。


「あっ！」

「いいぞ、虎丸！」


実践形式で虎丸を抜こうとした緑川だが、逆にボールを取られてしまった。鬼道は虎丸のプレーを褒める。


「渡すか！」


すぐにスライディングをかける緑川。だけど虎丸はジャンプしてなんなくかわした。


「飛鷹さん！」

「飛鷹さんですよ！」

「えっ!?　なっ！」


虎丸が飛鷹征矢にパスを出したので音無春奈は声をかけるが、気づいてなかった飛鷹は受け止め損ねる。跳ね返ったボールがベンチに向かい、間一髪で春奈も目金もよけたが、飛鷹は歯を食いしばるとクシを取り出して髪を整える。


「だから！　いちいち髪を直さなくてもいいんですよ！」


目金はすかさずツッコミを入れた。