河川敷の決闘!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しかし、彼らよりも衝撃を受けているのは円堂だ。下鶴がファイアトルネードを撃てたこと、ゴールを許してしまったことにショックを受ける。
真剣な面差しの豪炎寺と瑞貴がピッチに入る。円堂は二人に気づくとボールを持って豪炎寺に駆け寄った。
「――俺が蹴る」
「豪炎寺……」
強く言う豪炎寺に、円堂は呟いてボールを渡した。瑞貴は円堂のそばに寄ると、ポンッと肩を叩く。
「守、お疲れ様」
「ああ……。でも、止められなかった」
「……今は修也の勝負を見届けよう」
次は豪炎寺と杉森の対決――。豪炎寺はセンターサークルに入り、杉森はゴールにいる。
「決めろ! 豪炎寺!」
「ファイアトルネードは、お前の必殺技だ!」
「コピーは本物に敵わないってこと教えてやるっスよ!」
「頼むぞー!」
「がんばって修也!」
応援する染岡と半田と円堂と瑞貴に、豪炎寺は頷き杉森を見定める。秋のホイッスルが鳴り、勝負は開始された。
豪炎寺は下鶴と同じようにドリブルをし、ヒールリフトからボールを高く上げて飛んだ。
「ファイアトルネード!」
「シュートポケット!」
まるでバリアのように杉森の周りに張られた必殺技はボールが当たると、その威力がだんだんと弱まっていき、杉森の手に治まる頃には威力は消えていた。
豪炎寺の本家であるファイアトルネードが決まらず、そしていとも簡単に止められた二つのことに雷門中サッカー部は唖然としていた。それは瑞貴も例外ではない。
(まさかここまで強いなんて……)
杉森は豪炎寺に近づくとボールを地面に落とし、グラウンドから離れる。
「証明は終わった……」
そうして杉森は下鶴と共に去って行った。彼らの実力に円堂と瑞貴たち雷門中サッカー部は顔を顰めていた。
――練習が終わって着替えたあと、瑞貴は帰宅しようとすると前方に円堂を発見した。円堂は自宅の方向ではなく鉄塔広場への道のりを歩いている。
「守!」
「ん? おっ、瑞貴じゃんか」
「これから特訓するの? 今日を見る限り鉄塔広場も目をつけられてると思うよ」
「わかってるって。でも、目的は違うんだ」
「えっ?」
「一緒に行こうぜ!」
首を傾げると円堂は瑞貴の手を取ってそのままダッシュする。瑞貴もここ数日何度も同じことをされるとさすがに慣れたから自分も走った。
円堂は鉄塔広場に辿り着くと、そびえる鉄塔の展望台に続く梯子を上り、瑞貴もそれに続く。展望台に着いたとき、目についたのはオレンジ色に輝く夕日と稲妻町がよく見えた。
「わぁ……!」
「どうだ? スッゲーだろ」
「うん! 広場で見るより何倍も景色がスゴく綺麗に見える!」
嬉しそうに答える瑞貴に円堂もそれが伝わったのか、破顔する。
「ここ、俺のお気に入りの場所なんだ。……今日、下鶴にゴールを許してしまっただろ?」
「ああ、河川敷のあの勝負ね」
「落ち込んだりデカい壁にぶつかったりすると俺、ここに来てさ。そしたら明日はがんばろう! 『次は負けない!』って気持ちになるんだ」
そう言って景色を見つめていつもと違う円堂の表情に、瑞貴はドキッとした。だが次いでブンブンと首を振って気持ちを正す。
「……いいの? 私に守のお気に入りの場所に来ちゃって」
本来この場所を最初に教えるのは恐らく夏未だ、自分ではない。だが円堂は――。
「俺、前から瑞貴には一番にこの場所を教えたかったんだ」
「えっ……」
「帝国学園との練習試合を伝えられた日から、ずっとお前は俺や仲間たちを励まして一緒にがんばってくれたから」
まるで昔のことのように懐かしむ円堂。瑞貴は苦笑すると再び景色に目を向ける。
「仲間なんだから、当たり前だよ」
「でも、俺はそれが嬉しくてたまらなかった。だから……」
途切れた言葉に瑞貴は振り向くと、円堂は真正面に向かい合ってニカッと笑う。
「ありがとな!」
「!」
彼の太陽のような微笑みに、瑞貴の胸はまた高鳴り頬を朱に染める。……なんだか円堂に惚れた女子の気持ちがわかる気がした。
「ど、どういたしまして……」
――家に帰ったあと、いつもの秘密の部屋で瑞貴は特訓を重ねていた。
GKやDFやMFの練習はもちろんだが、今、雷門イレブンで与えられた自分のポジションはFWだ。少しでも豪炎寺や染岡の負担がかからないように、点を取れるように特訓をしないといけない。
(ただでさえ私は女なんだから、技術面だけでも強くならなきゃ)
今キーパーをやっているのは尾刈斗中の鉈十三。レベルを上げているので彼は練習試合よりも強くなっている。瑞貴は何度かシューティングアローを撃ち、また新必殺技ができるように動きを変えたりイメージをしている。
まだスパイである土門が、自分たちのデータを帝国学園から通じて御影専農中に伝わっていることをわかっている。今のレベルのシューティングアローも、ドラゴントルネードも、イナズマ落としも通用しないだろう。
新必殺技を生み出そうにも河川敷や鉄塔広場で練習したら、あっという間に知れ渡る。彼らが対応できない、もしくはデータにないシュートを撃つのは……。
「っ! できるかもしれない! そうと決まれば――」
♪プルルル、プルルル♪
策を思いついた瑞貴は、さっそく動こうとすると携帯が鳴った。誰かと思い取ってみると相手は――。
「夏未ちゃん……?」
真剣な面差しの豪炎寺と瑞貴がピッチに入る。円堂は二人に気づくとボールを持って豪炎寺に駆け寄った。
「――俺が蹴る」
「豪炎寺……」
強く言う豪炎寺に、円堂は呟いてボールを渡した。瑞貴は円堂のそばに寄ると、ポンッと肩を叩く。
「守、お疲れ様」
「ああ……。でも、止められなかった」
「……今は修也の勝負を見届けよう」
次は豪炎寺と杉森の対決――。豪炎寺はセンターサークルに入り、杉森はゴールにいる。
「決めろ! 豪炎寺!」
「ファイアトルネードは、お前の必殺技だ!」
「コピーは本物に敵わないってこと教えてやるっスよ!」
「頼むぞー!」
「がんばって修也!」
応援する染岡と半田と円堂と瑞貴に、豪炎寺は頷き杉森を見定める。秋のホイッスルが鳴り、勝負は開始された。
豪炎寺は下鶴と同じようにドリブルをし、ヒールリフトからボールを高く上げて飛んだ。
「ファイアトルネード!」
「シュートポケット!」
まるでバリアのように杉森の周りに張られた必殺技はボールが当たると、その威力がだんだんと弱まっていき、杉森の手に治まる頃には威力は消えていた。
豪炎寺の本家であるファイアトルネードが決まらず、そしていとも簡単に止められた二つのことに雷門中サッカー部は唖然としていた。それは瑞貴も例外ではない。
(まさかここまで強いなんて……)
杉森は豪炎寺に近づくとボールを地面に落とし、グラウンドから離れる。
「証明は終わった……」
そうして杉森は下鶴と共に去って行った。彼らの実力に円堂と瑞貴たち雷門中サッカー部は顔を顰めていた。
――練習が終わって着替えたあと、瑞貴は帰宅しようとすると前方に円堂を発見した。円堂は自宅の方向ではなく鉄塔広場への道のりを歩いている。
「守!」
「ん? おっ、瑞貴じゃんか」
「これから特訓するの? 今日を見る限り鉄塔広場も目をつけられてると思うよ」
「わかってるって。でも、目的は違うんだ」
「えっ?」
「一緒に行こうぜ!」
首を傾げると円堂は瑞貴の手を取ってそのままダッシュする。瑞貴もここ数日何度も同じことをされるとさすがに慣れたから自分も走った。
円堂は鉄塔広場に辿り着くと、そびえる鉄塔の展望台に続く梯子を上り、瑞貴もそれに続く。展望台に着いたとき、目についたのはオレンジ色に輝く夕日と稲妻町がよく見えた。
「わぁ……!」
「どうだ? スッゲーだろ」
「うん! 広場で見るより何倍も景色がスゴく綺麗に見える!」
嬉しそうに答える瑞貴に円堂もそれが伝わったのか、破顔する。
「ここ、俺のお気に入りの場所なんだ。……今日、下鶴にゴールを許してしまっただろ?」
「ああ、河川敷のあの勝負ね」
「落ち込んだりデカい壁にぶつかったりすると俺、ここに来てさ。そしたら明日はがんばろう! 『次は負けない!』って気持ちになるんだ」
そう言って景色を見つめていつもと違う円堂の表情に、瑞貴はドキッとした。だが次いでブンブンと首を振って気持ちを正す。
「……いいの? 私に守のお気に入りの場所に来ちゃって」
本来この場所を最初に教えるのは恐らく夏未だ、自分ではない。だが円堂は――。
「俺、前から瑞貴には一番にこの場所を教えたかったんだ」
「えっ……」
「帝国学園との練習試合を伝えられた日から、ずっとお前は俺や仲間たちを励まして一緒にがんばってくれたから」
まるで昔のことのように懐かしむ円堂。瑞貴は苦笑すると再び景色に目を向ける。
「仲間なんだから、当たり前だよ」
「でも、俺はそれが嬉しくてたまらなかった。だから……」
途切れた言葉に瑞貴は振り向くと、円堂は真正面に向かい合ってニカッと笑う。
「ありがとな!」
「!」
彼の太陽のような微笑みに、瑞貴の胸はまた高鳴り頬を朱に染める。……なんだか円堂に惚れた女子の気持ちがわかる気がした。
「ど、どういたしまして……」
――家に帰ったあと、いつもの秘密の部屋で瑞貴は特訓を重ねていた。
GKやDFやMFの練習はもちろんだが、今、雷門イレブンで与えられた自分のポジションはFWだ。少しでも豪炎寺や染岡の負担がかからないように、点を取れるように特訓をしないといけない。
(ただでさえ私は女なんだから、技術面だけでも強くならなきゃ)
今キーパーをやっているのは尾刈斗中の鉈十三。レベルを上げているので彼は練習試合よりも強くなっている。瑞貴は何度かシューティングアローを撃ち、また新必殺技ができるように動きを変えたりイメージをしている。
まだスパイである土門が、自分たちのデータを帝国学園から通じて御影専農中に伝わっていることをわかっている。今のレベルのシューティングアローも、ドラゴントルネードも、イナズマ落としも通用しないだろう。
新必殺技を生み出そうにも河川敷や鉄塔広場で練習したら、あっという間に知れ渡る。彼らが対応できない、もしくはデータにないシュートを撃つのは……。
「っ! できるかもしれない! そうと決まれば――」
♪プルルル、プルルル♪
策を思いついた瑞貴は、さっそく動こうとすると携帯が鳴った。誰かと思い取ってみると相手は――。
「夏未ちゃん……?」