河川敷の決闘!
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鬼瓦と雷雷軒に入ると、響木が二人席で肘を立てながら新聞を読んでいた。響木は瑞貴たちに気づくと厨房に戻り、ラーメンを作り始める。瑞貴は元の席に座ると鬼瓦は瑞貴の隣に座る。
「ひったくりは捕まったのか」
「ああ。この嬢ちゃんの活躍でな」
「わっ、ちょっと刑事さん!」
そう言って響木の質問に答えた鬼瓦は瑞貴の頭をワシャワシャと撫でる。さすがに力が強いので瑞貴は離れようと暴れるが、手を離した鬼瓦はそれでも笑っていた。
「嬢ちゃん確か雷門中サッカー部の選手だったよな。一回戦突破おめでとう」
「あ、ありがとうございます。でも、なんで私が選手だと?」
「前にちょっと雷門中を通りがかった頃、帝国学園との練習試合だったから見物してたら、嬢ちゃんがシュートを決めているのを見たんだ。あれはスゴかったなぁ」
両腕を組んで頷く鬼瓦に瑞貴は照れくさそうに頬をかくが、すぐに我に返る。
(この人たちなら大丈夫だ……)
彼らは信頼に値する人間だということを、『イナズマイレブン』を見ていた瑞貴はずっと知っている。瑞貴は勇気を出して鬼瓦に話しかける。
「……それって、帝国学園の総帥を追っていたんですか?」
「「!」」
その言葉に鬼瓦は驚いた顔をし、響木も調理の手を止めたがすぐに再開した。瑞貴は真剣な口調で淡々と話す。
「私、知っています。あの人が四十年間裏で様々な悪事を働いていたことを」
警察の一部と関係者しか知らないことを瑞貴が知っていることに鬼瓦は眉を顰める。
「……嬢ちゃん、何者だ?」
「これから私が話すことは全部事実です。――鬼瓦さん、信じるか信じないかは任せます。もちろん、響木さんも聞いて構いません」
今まで自己紹介しなかったのに、自分たちの名を知っている瑞貴に鬼瓦は驚き、響木は顔を上げた。
そして瑞貴は二人に自分が異世界から来たこと、この世界の人間ではないことを話した。シンのことは少し嘘も交えて――。
☆☆☆☆☆
時は少し遡る。雷門中二回戦の相手である御影専農中サッカー部はシミュレーションの練習を終え、帰宅しようとしていた。キャプテンの杉森威と下鶴改もその一人だった。制服に着替え、二人は学校を出る。
「――よぉ、サッカーサイボーグ」
自分たち以外の声が聞こえ振り向くと、帝国学園サッカー部キャプテン・鬼道有人が私服で木にもたれていた。
「お前たちは雷門の偵察には行かないのか?」
「帝国の鬼道……」
「時間のムダだ。我々はすでに雷門のデータに勝っている」
下鶴と杉森は表情を変えずに淡々と話す。鬼道は別に気にしてはいない。
「フッ、シミュレーションは完璧というわけか。だが所詮はデータの再現に過ぎない……」
鬼道はゆっくりと歩いて二人に近づく。
「お前たちの持ってないデータを提供しよう」
「目的はなんだ」
自分たちもいろいろなデータを持っているとはいえ、敵のデータをやすやすと与えることに杉森は警戒を抱いた。
「確実に雷門を潰してほしいだけだ。とにかく奴らは普通じゃない。奴らは――バカなんだ」
「バカ?」
思いも寄らない答えにさすがの下鶴も目を見開いた。
「それがデータか」
「ああ。実は俺も上手い説明が見つからない……。自分の目で確かめることを薦める」
鬼道はそう言って背を向けて歩き出すが、数歩歩いたところで止まる。
「そうだ。GKの円堂守……奴はとびっきりの大バカだ。そしてFWの井上瑞貴……あいつは俺でも読めない不思議な奴だ」
今度こそ鬼道は去って行った。下鶴と杉森は鬼道が去って行く方向を見たまま先程の言葉を思い返す。
「バカと大バカ、そして鬼道でも読めない不思議な奴か……」
「確かに。インプットされてないデータだ」
☆☆☆☆☆
一方――雷雷軒では瑞貴の話を聞いた鬼瓦と響木がありえないという表情でいた。鬼瓦は頭を軽く押さえ、響木は気を紛らわすように作業の手を進める。
「……つまり嬢ちゃんは俺たちの世界とは違う別の世界に来たのか。その際、こちらの世界の過去を少し知ったと」
「はい」
「なんで俺と鬼瓦に話した?」
「お二人なら話せる、そう思ったからです」
迷いもせず答えた瑞貴に鬼瓦と響木は少々面食らう。彼らは瑞貴が話し終えるまで否定もせずに聞いてくれた。それだけで充分だ。
「仲間には話してないのか?」
「彼らは今大事な大会を控えています。……私のせいでプレーを乱したくないんです」
響木の質問にうつむいた瑞貴。もし彼らに告げたって信じてくれないかもしれない。たとえ信じても試合に支障ができて原作が大きく変わってしまうかもしれないからだ。
鬼瓦はそんな彼女の頭を安心させるように撫でた。瑞貴はそれに驚いて頭を上げると、そこには笑っている鬼瓦がいた。
「よく我慢したな。安心しろ。お前さんの目には嘘はない。これからは俺たちが味方だ」
「おい鬼瓦。俺『たち』ということは俺も入っているのか?」
「当たり前だ。お前さんも彼女の目が嘘ついているわけじゃないとわかっているんだろ」
響木は答えずに器を出す。鬼瓦はそれを肯定と見なし、歯を出して笑う。
「ひったくりは捕まったのか」
「ああ。この嬢ちゃんの活躍でな」
「わっ、ちょっと刑事さん!」
そう言って響木の質問に答えた鬼瓦は瑞貴の頭をワシャワシャと撫でる。さすがに力が強いので瑞貴は離れようと暴れるが、手を離した鬼瓦はそれでも笑っていた。
「嬢ちゃん確か雷門中サッカー部の選手だったよな。一回戦突破おめでとう」
「あ、ありがとうございます。でも、なんで私が選手だと?」
「前にちょっと雷門中を通りがかった頃、帝国学園との練習試合だったから見物してたら、嬢ちゃんがシュートを決めているのを見たんだ。あれはスゴかったなぁ」
両腕を組んで頷く鬼瓦に瑞貴は照れくさそうに頬をかくが、すぐに我に返る。
(この人たちなら大丈夫だ……)
彼らは信頼に値する人間だということを、『イナズマイレブン』を見ていた瑞貴はずっと知っている。瑞貴は勇気を出して鬼瓦に話しかける。
「……それって、帝国学園の総帥を追っていたんですか?」
「「!」」
その言葉に鬼瓦は驚いた顔をし、響木も調理の手を止めたがすぐに再開した。瑞貴は真剣な口調で淡々と話す。
「私、知っています。あの人が四十年間裏で様々な悪事を働いていたことを」
警察の一部と関係者しか知らないことを瑞貴が知っていることに鬼瓦は眉を顰める。
「……嬢ちゃん、何者だ?」
「これから私が話すことは全部事実です。――鬼瓦さん、信じるか信じないかは任せます。もちろん、響木さんも聞いて構いません」
今まで自己紹介しなかったのに、自分たちの名を知っている瑞貴に鬼瓦は驚き、響木は顔を上げた。
そして瑞貴は二人に自分が異世界から来たこと、この世界の人間ではないことを話した。シンのことは少し嘘も交えて――。
☆☆☆☆☆
時は少し遡る。雷門中二回戦の相手である御影専農中サッカー部はシミュレーションの練習を終え、帰宅しようとしていた。キャプテンの杉森威と下鶴改もその一人だった。制服に着替え、二人は学校を出る。
「――よぉ、サッカーサイボーグ」
自分たち以外の声が聞こえ振り向くと、帝国学園サッカー部キャプテン・鬼道有人が私服で木にもたれていた。
「お前たちは雷門の偵察には行かないのか?」
「帝国の鬼道……」
「時間のムダだ。我々はすでに雷門のデータに勝っている」
下鶴と杉森は表情を変えずに淡々と話す。鬼道は別に気にしてはいない。
「フッ、シミュレーションは完璧というわけか。だが所詮はデータの再現に過ぎない……」
鬼道はゆっくりと歩いて二人に近づく。
「お前たちの持ってないデータを提供しよう」
「目的はなんだ」
自分たちもいろいろなデータを持っているとはいえ、敵のデータをやすやすと与えることに杉森は警戒を抱いた。
「確実に雷門を潰してほしいだけだ。とにかく奴らは普通じゃない。奴らは――バカなんだ」
「バカ?」
思いも寄らない答えにさすがの下鶴も目を見開いた。
「それがデータか」
「ああ。実は俺も上手い説明が見つからない……。自分の目で確かめることを薦める」
鬼道はそう言って背を向けて歩き出すが、数歩歩いたところで止まる。
「そうだ。GKの円堂守……奴はとびっきりの大バカだ。そしてFWの井上瑞貴……あいつは俺でも読めない不思議な奴だ」
今度こそ鬼道は去って行った。下鶴と杉森は鬼道が去って行く方向を見たまま先程の言葉を思い返す。
「バカと大バカ、そして鬼道でも読めない不思議な奴か……」
「確かに。インプットされてないデータだ」
☆☆☆☆☆
一方――雷雷軒では瑞貴の話を聞いた鬼瓦と響木がありえないという表情でいた。鬼瓦は頭を軽く押さえ、響木は気を紛らわすように作業の手を進める。
「……つまり嬢ちゃんは俺たちの世界とは違う別の世界に来たのか。その際、こちらの世界の過去を少し知ったと」
「はい」
「なんで俺と鬼瓦に話した?」
「お二人なら話せる、そう思ったからです」
迷いもせず答えた瑞貴に鬼瓦と響木は少々面食らう。彼らは瑞貴が話し終えるまで否定もせずに聞いてくれた。それだけで充分だ。
「仲間には話してないのか?」
「彼らは今大事な大会を控えています。……私のせいでプレーを乱したくないんです」
響木の質問にうつむいた瑞貴。もし彼らに告げたって信じてくれないかもしれない。たとえ信じても試合に支障ができて原作が大きく変わってしまうかもしれないからだ。
鬼瓦はそんな彼女の頭を安心させるように撫でた。瑞貴はそれに驚いて頭を上げると、そこには笑っている鬼瓦がいた。
「よく我慢したな。安心しろ。お前さんの目には嘘はない。これからは俺たちが味方だ」
「おい鬼瓦。俺『たち』ということは俺も入っているのか?」
「当たり前だ。お前さんも彼女の目が嘘ついているわけじゃないとわかっているんだろ」
響木は答えずに器を出す。鬼瓦はそれを肯定と見なし、歯を出して笑う。