河川敷の決闘!
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(早くあの場所が見つかるといいなぁ……)
瑞貴はそう思っていると、以前のシンが話していたことを思い出した。
『この世界で君がトリップをしてきたことを話してもいいよ。でも、僕の正体は話さないで。一応この世界の人間として戸籍はあるけど、神の世界ではいろいろと厄介だからね。僕はあくまで君を養っているということで』
あれからシンは何かあったら連絡していいと言って瑞貴の携帯に連絡先を教え、それから姿を現さなかった。
(協力者が必要か……)
少なくとも今の雷門中サッカー部に話しても信じてはくれないだろう。それに今はフットボールフロンティアの最中でもあるし、黙っていたほうがいいと瑞貴は思った。
☆☆☆☆☆
それから部活が終わり、もう辺りは夕暮れになっていた。瑞貴は夕飯の献立を考えながら歩いている。
「昨日は肉じゃがで、一昨日は焼き魚……今日はどうしよう。――ん?」
ふと目についたのは雷雷軒の暖簾。前に円堂と豪炎寺と風丸と一緒に食べに行ったラーメン屋さんだ。
「たまにはラーメンもいいな」
瑞貴はそう言って雷雷軒の扉をくぐる。
「いらっしゃい」
店の中には店主の響木正剛と刑事である鬼瓦源五郎しかいない。響木は材料を切り、鬼瓦は新聞を読んでいる。それがアニメでも見たいつもの光景。瑞貴は前と同じ響木が目の前にいるカウンター席に座る。
「大盛りラーメン一つください」
「あいよ」
響木は短い返事をしてラーメン作りにかかる。ラーメンができるまで本でも読んでいようと思った瑞貴はカバンから本を取り出す。
「きゃー! ひったくりよ――っ!!」
「「「!」」」
外から聞こえた悲鳴に店にいた三人は反応する。真っ先に出て行ったのは瑞貴。鬼瓦も続いて出て行く。
近くで倒れている女性がどうやら被害者のようだ。前方にはバイクに乗っている男が不釣合いなハンドバッグを持っている。彼が犯人とわかると、瑞貴はその男を追いかける。
「おい! 相手はバイクだぞ!」
うしろで鬼瓦が言うが今の瑞貴は男を捕まえるべく集中していたので聞こえていない。
しかし運動部とはいえ人の足とバイクの速さは差がありすぎる。瑞貴は何かないかと周りを見ると、幼い少年二人の内一人がサッカーボールを持って歩いていた。
「ごめん! 借りるね!」
瑞貴はそう言ってボールを少年からもらい、周りを確認してから高くボールを上げると思いっきり蹴る。
「いっけぇえええ!」
ノーマルシュートとはいえ強い威力なので、そのまま男に当たっゴミ捨て場に突っ込んでしまった。もちろんこれは瑞貴の狙い通りである。
男が気を失っているとわかると瑞貴はあとからやってきた鬼瓦を確認する。鬼瓦は現場を見て呆気に取られ、瑞貴に向かって苦笑する。
「ずいぶんなムチャをするんだな、嬢ちゃん」
「すみません。無我夢中で……」
「とりあえずお前さんに怪我がなくてよかった。今、他の警察官が来るから待ってくれるか?」
「わかりました」
瑞貴は頷き、女性にハンドバッグを返したあと、男にぶつけたボールを持って少年たちの元へ足を運ぶ。
「ありがとう。君のおかげで助かったよ」
「ううん。スゴかったよ!」
「おねえちゃんもサッカーするの?」
灰色の髪でパーマの少年は目を輝かせ、ピンクの髪の少年は瑞貴に質問をする。瑞貴はその少年たちがどこかで見た気がすると思いつつも頷く。
「そうだよ。お姉ちゃんはサッカーが大好きだから」
「おれもサッカーだいすき!」
「おれも!」
元気よく手を上げる少年たちに瑞貴は可愛いと思い頭を撫でる。少年たちは嬉しいのか最初は戸惑いつつもニコッと笑う。
「嬢ちゃん。ちょいと来てくれないか」
「はい。じゃあね」
「あっ、おねえちゃんのなまえおしえて!」
立ち去ろうとする瑞貴を灰色髪の少年が制服のスカートの裾をつかむ。
「お姉ちゃんの名前は井上瑞貴。雷門中サッカー部の副キャプテンだよ」
そう言って瑞貴はニコッと笑う。すると少年たちは顔を赤くし、そうしている間に瑞貴は少年たちの前から立ち去って鬼瓦のあとを追う。
二人は先程の興奮が抜けないのか、顔を見合わせてテンションが高くなっている。
「たくと! みずきおねえちゃんスゴかったね! それにスッゴくかわいかった!」
「らんまる、おれみずきおねえちゃんみたいにサッカーじょうずになりたい!」
「おれも! じゃあサッカーしよう!」
「うん!」
二人の少年の名は神童拓人と霧野蘭丸――彼らが十年後の雷門中サッカー部員になることを、幼い頃の姿を見ていない瑞貴はわからなかった。
――それから近くの交番で軽い事情聴取を受け、終わったきときにはもう辺りは暗かった。
瑞貴は先程ラーメンを食い損ねたことを思い出すと、お腹が減っているのを感じた。これでは明日の練習に支障ができてしまう。
「――嬢ちゃん」
瑞貴はポンッと肩を叩かれたので振り向くと、そこには鬼瓦がいた。
「雷雷軒で夕飯にするつもりだったんだろ。俺もさっき食い損ねたから一緒に行かないか?」
「はい!」
雷雷軒に向けて歩き出す二人。その背後で誰かが先程の光景を見て、あとをつけていたことを知らずに――……。
瑞貴はそう思っていると、以前のシンが話していたことを思い出した。
『この世界で君がトリップをしてきたことを話してもいいよ。でも、僕の正体は話さないで。一応この世界の人間として戸籍はあるけど、神の世界ではいろいろと厄介だからね。僕はあくまで君を養っているということで』
あれからシンは何かあったら連絡していいと言って瑞貴の携帯に連絡先を教え、それから姿を現さなかった。
(協力者が必要か……)
少なくとも今の雷門中サッカー部に話しても信じてはくれないだろう。それに今はフットボールフロンティアの最中でもあるし、黙っていたほうがいいと瑞貴は思った。
☆☆☆☆☆
それから部活が終わり、もう辺りは夕暮れになっていた。瑞貴は夕飯の献立を考えながら歩いている。
「昨日は肉じゃがで、一昨日は焼き魚……今日はどうしよう。――ん?」
ふと目についたのは雷雷軒の暖簾。前に円堂と豪炎寺と風丸と一緒に食べに行ったラーメン屋さんだ。
「たまにはラーメンもいいな」
瑞貴はそう言って雷雷軒の扉をくぐる。
「いらっしゃい」
店の中には店主の響木正剛と刑事である鬼瓦源五郎しかいない。響木は材料を切り、鬼瓦は新聞を読んでいる。それがアニメでも見たいつもの光景。瑞貴は前と同じ響木が目の前にいるカウンター席に座る。
「大盛りラーメン一つください」
「あいよ」
響木は短い返事をしてラーメン作りにかかる。ラーメンができるまで本でも読んでいようと思った瑞貴はカバンから本を取り出す。
「きゃー! ひったくりよ――っ!!」
「「「!」」」
外から聞こえた悲鳴に店にいた三人は反応する。真っ先に出て行ったのは瑞貴。鬼瓦も続いて出て行く。
近くで倒れている女性がどうやら被害者のようだ。前方にはバイクに乗っている男が不釣合いなハンドバッグを持っている。彼が犯人とわかると、瑞貴はその男を追いかける。
「おい! 相手はバイクだぞ!」
うしろで鬼瓦が言うが今の瑞貴は男を捕まえるべく集中していたので聞こえていない。
しかし運動部とはいえ人の足とバイクの速さは差がありすぎる。瑞貴は何かないかと周りを見ると、幼い少年二人の内一人がサッカーボールを持って歩いていた。
「ごめん! 借りるね!」
瑞貴はそう言ってボールを少年からもらい、周りを確認してから高くボールを上げると思いっきり蹴る。
「いっけぇえええ!」
ノーマルシュートとはいえ強い威力なので、そのまま男に当たっゴミ捨て場に突っ込んでしまった。もちろんこれは瑞貴の狙い通りである。
男が気を失っているとわかると瑞貴はあとからやってきた鬼瓦を確認する。鬼瓦は現場を見て呆気に取られ、瑞貴に向かって苦笑する。
「ずいぶんなムチャをするんだな、嬢ちゃん」
「すみません。無我夢中で……」
「とりあえずお前さんに怪我がなくてよかった。今、他の警察官が来るから待ってくれるか?」
「わかりました」
瑞貴は頷き、女性にハンドバッグを返したあと、男にぶつけたボールを持って少年たちの元へ足を運ぶ。
「ありがとう。君のおかげで助かったよ」
「ううん。スゴかったよ!」
「おねえちゃんもサッカーするの?」
灰色の髪でパーマの少年は目を輝かせ、ピンクの髪の少年は瑞貴に質問をする。瑞貴はその少年たちがどこかで見た気がすると思いつつも頷く。
「そうだよ。お姉ちゃんはサッカーが大好きだから」
「おれもサッカーだいすき!」
「おれも!」
元気よく手を上げる少年たちに瑞貴は可愛いと思い頭を撫でる。少年たちは嬉しいのか最初は戸惑いつつもニコッと笑う。
「嬢ちゃん。ちょいと来てくれないか」
「はい。じゃあね」
「あっ、おねえちゃんのなまえおしえて!」
立ち去ろうとする瑞貴を灰色髪の少年が制服のスカートの裾をつかむ。
「お姉ちゃんの名前は井上瑞貴。雷門中サッカー部の副キャプテンだよ」
そう言って瑞貴はニコッと笑う。すると少年たちは顔を赤くし、そうしている間に瑞貴は少年たちの前から立ち去って鬼瓦のあとを追う。
二人は先程の興奮が抜けないのか、顔を見合わせてテンションが高くなっている。
「たくと! みずきおねえちゃんスゴかったね! それにスッゴくかわいかった!」
「らんまる、おれみずきおねえちゃんみたいにサッカーじょうずになりたい!」
「おれも! じゃあサッカーしよう!」
「うん!」
二人の少年の名は神童拓人と霧野蘭丸――彼らが十年後の雷門中サッカー部員になることを、幼い頃の姿を見ていない瑞貴はわからなかった。
――それから近くの交番で軽い事情聴取を受け、終わったきときにはもう辺りは暗かった。
瑞貴は先程ラーメンを食い損ねたことを思い出すと、お腹が減っているのを感じた。これでは明日の練習に支障ができてしまう。
「――嬢ちゃん」
瑞貴はポンッと肩を叩かれたので振り向くと、そこには鬼瓦がいた。
「雷雷軒で夕飯にするつもりだったんだろ。俺もさっき食い損ねたから一緒に行かないか?」
「はい!」
雷雷軒に向けて歩き出す二人。その背後で誰かが先程の光景を見て、あとをつけていたことを知らずに――……。