ここで前半終了のホイッスルが鳴り、両チーム共ベンチに向かっていく。


「みんな、いいプレーしてるぞ！」

「最後まで全力でがんばろう！」

｢｢｢｢｢オウッ!!｣｣｣｣｣


円堂と瑞貴の掛け声で、Ａチームは再度気を引き締めた。


「はい、どーぞ」

「えぇっ!?　なんで目金さんがマネージャーの仕事を!?」

「マネージャーではありません。この目金兄こと欠流は、戦術アドバイザーとして日本代表に同行することになりました！」


この場に目金がいることに驚く壁山に、キラーンと眼鏡を輝かせて宣言した。


「やってることはただの記録係だけどね。ウッシッシッシ――あっ」

｢｢夕弥/木暮くん。あんた/あなたのベンチはあっち｣｣


壁山のうしろで毎度お馴染みに余計なことを言う木暮だが、瑞貴と春奈に気づくと肩を跳ねる。そして瑞貴はＢチームのベンチを指差し、春奈は首根っこをつかんで連行した。


「みんな楽しくサッカーやってるね」

「はい」

「これが……日本代表候補とはな」


試合が始まる前から離れた場所でとある三人が見ていた。青年と少女は顔を見合わせて笑っているが、男性は顎に指を当てて険しい表情でいた。



――後半が始まって試合はさらに白熱している。選手たちは代表に選ばれようと猛アピールしているのだ。


「まぼろしドリブル！」


栗松は新必殺技で吹雪をかわして鬼道にパスをする。


「鬼道さん！」

「豪炎寺！」

「ザ・ウォール！」


鬼道からボールを受け取った豪炎寺はシュートを撃つが、そこは壁山が守った。跳ね返ったボールを佐久間が取り、栗松のスライディングもかわす。


「旋風陣！　虎丸！」


すぐに木暮が旋風陣でボールを佐久間から奪い、虎丸にパスをする。染岡のマークを振り切ろうとする虎丸は前に出た風丸にボールを渡す。


「負けるか！」


ディフェンスの綱海を風丸は持ち前の瞬足で抜くが、通ったあとに強い風が出て綱海を吹き飛ばした。それに気づかず風丸はサイドからカーブするシュートを撃つが円堂が止めた。


「いいシュートだ！」

「フッ。次は絶対に決めてやる」


円堂と風丸は笑い合っている。選考試合とわかっていても純粋にサッカーを楽しんでいた。

鬼道が仕掛けるためにドリブルで上がっていくと豪炎寺も続く。


「いくぞ、豪炎寺！」

「壁山！　土方！　豪炎寺をマークだ！」


円堂の指示で壁山と土方は前に出るが、鬼道は豪炎寺をスルーして逆サイドにいる虎丸にパスをした。豪炎寺は囮だったのだ。


「とりゃあ！」

「クッ！」


綱海がスライディングをかけるが、虎丸は体勢を崩すも足をうまく使って緑川リュウジにパスをした。飛鷹は自分も守ろうとディフェンスに入る。


「いくぞ！　アストロブレイク！」


緑川のアストロブレイクに飛鷹は弾き飛ばされ、円堂も精一杯腕を伸ばすがゴールを許してしまった。２対２の同点だ。