集結! 日本代表!!
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約束の休日――瑞貴は玄関で靴を履いて振り向くと、見送ってくれる一之瀬と対面する。彼もしばらくしたら先に荷物を送っておいた土門の家に行くのだ。
「じゃあ、行ってくるね」
「うん。……瑞貴、本当にお世話になったね。一緒に暮らせて楽しかったよ」
「その言い草はやめて。また日本に来たときはうちに滞在してもいいから、合鍵も持ってて」
「ありがとう……。行ってらっしゃい!」
「行ってきます!」
一之瀬と別れて家を出た瑞貴は、だいぶ馴染み深くなった円堂家にやってきた。
「おはようございます!」
「あら瑞貴ちゃん、おはよう。守を迎えに来たの?」
「はい。響木監督に呼ばれたなら一緒に行こうって誘われて」
「そうなの。でもあの子まだ起きてないのよね。呼んでくるから瑞貴ちゃんはゆっくりしてて」
「あっ、はい」
瑞貴は円堂温子にリビングに案内され出されたお茶を飲む。しかし誘った本人が寝坊するとはどういうことだろう。
「守! 今日は響木監督に呼ばれてるんでしょ!? 遅れたら怒られるわよ! もう瑞貴ちゃんだって来てるのよ!」
「そうだったー! しまったー!」
「とっとと着替えておいで! 朝ご飯できてるからね!」
温子の声に反応して起きたのか、二階でドタンバタンと物音が聞こえる。瑞貴は予感が的中して内心溜息を吐くとジャージに着替えた円堂が降りてきた。
「あっ! 瑞貴、おはよう!」
「おはよう」
「おはようじゃないわよ! 早く食べなさい!」
「うん!」
超高速食いとも呼べるほどのスピードで円堂は朝食を口の中に放り込む。途中で喉に詰まらせて瑞貴がお茶を用意して飲ませたりとハプニングもあってなんとか食べ終えた。
二人は急いで円堂家から出て雷門中へと走りながら向かう。
「どうして目覚ましセットしなかったの!?」
「鳴ったとき消して、また寝たみたいなんだ! ごめん!」
だけど円堂は誘ったのが自分とはいえ、用意できるまで待ってくれた瑞貴に感謝した。
「ヤッベー! こりゃ遅刻だー!」
「キャプテンと副キャプテンがそろって遅刻なんて情けない……」
「「ん?」」
ふと別の足音が聞こえたので二人は振り向くと、見かけない少年が急に背筋を伸ばして立ち止まった。気にせず走っていくと走る音が聞こえたので振り向くと、またさっきの少年が立ち止まった。
瑞貴と円堂は目線で合図すると再び走り出し、近くの角に曲がってすぐに立ち止って振り向く。
「うわあ!」
案の定、少年は付いてきたので真正面に対峙する円堂と瑞貴に驚いて冷や汗をかいた。
「なんか用か?」
「はい?」
「さっきから、あと付けてきたでしょ」
「えーと……。雷門中探してたんですけど、道わかんなくなっちゃって……そしたら円堂さんたちいたから、付いてったらわかるかなぁって……すいません!」
少年は申し訳なさそうに頭を下げた。自ら聞く勇気がなかったので自分たちのあとを付けていたらしい。理由がわかると円堂は警戒心を解く。
「そっかぁ。でも、なんで俺のことを?」
「だって! 雷門中サッカー部の円堂さんでしょ!? サッカーやってる奴だったら、みんな知ってますよ!」
「ホ、ホント!? へぇ~そうなんだ~」
「スゴいじゃん、守。もう有名人だね」
「何言ってるんですか! 井上さんも有名ですよ!」
「へっ?」
「なんてったって女子プレーヤーの期待の星・自然の(ナチュラル)プレーヤーですから! 俺、井上さんと豪炎寺さんに憧れているんです!」
力説する少年に瑞貴は一歩あとずさる。まさか知らない所で『自然の(ナチュラル)プレーヤー』以外に『女子プレーヤーの期待の星』など異名を持たれ、さらに目の前で憧れていると言われたので、瑞貴は少し照れくさくなった。
「あっ、ありがとう。ところで、君は?」
「俺、宇都宮虎丸! 俺もサッカーやってるんです! 響木監督から電話もらって、雷門中に来いって言われたんです!」
「えっ? 君も?」
「だったらみんなで行こう。……私たち、現在進行形で遅刻してるから」
「「あっ!」」
すっかり忘れていたらしく円堂と少年――宇都宮虎丸は声を上げる。そして三人は急いで雷門中へと向かうのだった。