円堂はＧＫ用のユニフォームを着てゴールに、立向居はフィールドプレーヤー用のユニフォームを着てお互いポジションチェンジをした。


「もう１点も入れさせない！　何があっても！」

「まだまだ私だって戦える！」

「円堂さん……。瑞貴さん……」


ダークエンペラーズのスローイングから試合再開され、風丸の足元にボールが渡る。


「勝負したかったんだ。キーパーのお前と！」

「望むところだ！ 瑞貴、俺がゴールを守る。だから前で待っててくれ！」

「わかった！」


最強とも呼べる風丸がシュートするのに、瑞貴は前線で待っていた。風丸はその光景に一瞬顔をしかめる。


「フッ、いくぞ！」


風丸の強烈なノーマルシュートが撃たれ、円堂はそれを両手で止めるもパワーに弾き出されてボールはゴールに向かっていく。


（俺の勝ちだ！）

「まだだ！」


踏ん張った円堂はボールをキャッチして倒れるが、ラインを越えさせまいと体を張って起き上がった。


「守、ナイスファイト！」

「ああ！」


どんな強い相手でもあきらめず、離れた場所にいても通じ合っている二人に、風丸は眉をひそめる。


『まだ、終わってねぇ……』

『そう、終わってない……』

『『まだ……終わってねーぞ!!』』


風丸の脳裏に浮かぶのは帝国学園との練習試合の光景……あれが始まりと言っても過言ではない。この二人はどんなときでも最後まであきらめない、それが円堂と瑞貴の強さの根本なのだ。


（それが……円堂と瑞貴……）

「風丸。お前、どうしてエイリア石なんかに!?」

「……俺は強くなりたかった。お前のように！　そして瑞貴を支えたかった！」

｢｢!?｣｣


福岡でジェネシスと試合して圧倒的な力の差を見せつけられた風丸は絶望を感じた。さらに瑞貴が倒れて気づいたこともある。


『影で何倍も努力し、性格上の優しさがあるからこそ、「瑞貴ならなんとかしてくれる」とな。瑞貴自身も高みを目指していたが、それがいつしか重荷になっていたのだろう』


確かに瑞貴は仲間を支えるプレーをしてきたが、重荷だと感じたことは一度もない。それでも保ってきたのは仲間の――特に円堂の存在があったからだ。それは円堂も同じ。

瑞貴に一目惚れしてからずっと見てきて、円堂と幼馴染である風丸だからこそ気づいた。


『もっともっと特訓して、強くなれば絶対に勝てる！　絶対、勝てるからさ……！』


そして円堂の言葉が風丸をキャラバンから離脱する終止符になった。エイリア学園と戦うことに必死になって、強くならなくちゃいけないと思い、それが風丸をエイリア石の力に頼らせていたのだ。

円堂自身もそのことに気づき、前線にいる瑞貴ではなく風丸にボールを渡した。