「いよいよ人類の歴史に、新たな１ページが加わる……」


研崎の持っているトランクの隙間から紫色の光が放っていた。

今回のベンチは土門とリカと目金欠流。角馬圭太も涙を流しながら実況に着く。彼も帝国学園との練習試合から雷門イレブンの実況をしたので、彼らの絆と努力の成果も見ている。だから尚更悲しいだろう。


《かつて一緒に栄冠を手にした雷門イレブンのチームメイト同士が、戦って鎬(ｼﾉｷﾞ)を削ることになるとは……！　残酷な運命の糸に導かれた雷門イレブンVSダークエンペラーズの一戦！　実況はわたくし、角馬圭太でお送りします！》


ダークエンペラーズのポジションは本来とあまり変わっていない。ＭＦがＤＦに変わったことはわかるが風丸がＦＷに上がっている。

試合開始のホイッスルが鳴り、一之瀬からボールを受け取った鬼道がドリブルで上がっていく。それに続けて円堂も上がっていた。


（面白い……やってみるか！）


鬼道は円堂にバックパスをする。それに風丸が迎え撃つべく上がっていた。


「来い！　俺の力を見せてやる！」


円堂は警戒しつつドリブルをするが、お互いが擦れ違った途端ボールはいつの間にか風丸が奪っていた。瞬く間の速さだったので円堂も気づかなかった。


「なっ!?」

「ハハッ！　その程度か？　キーパーじゃなければお前も大したことないな！」


そのまま雷門陣内に攻め込む風丸に、鬼道と瑞貴がディフェンスに入る。


「行かせるものか！」

「ここは通さない！」

「ムダだ……疾風ダッシュ！」


今までの疾風ダッシュとは比べ物にならない速さで、いつの間にか鬼道と瑞貴を抜いた。その胸元に紫色の光が見えたのでエイリア石の力も加わっているだろう。


「何っ!?」

「なんなの!?　あの速さは！」


鬼道と瑞貴が驚いている間に、風丸が今度は壁山に向かってドリブルをしていく。


「風丸さん……！」

「はぁっ！」


なんと風丸はドリブルをせずに壁山に向かってシュート並みの威力でボールを蹴る。その行動に雷門イレブンは驚いた。


「ザ・ウォール！　うわぁ！」

「ムゲン・ザ・ハンド！」


壁山のザ・ウォールは破られてしまったが立向居がムゲン・ザ・ハンドで止めてくれた。


「なんて威力だ……！」

《立向居止めたぁ――っ!!　しかし、強力な風丸の攻撃には肝を冷やしました！》

「まだほんの小手調べさ」

「風丸さん……」


必殺技を使っていなかったとはいえ、風丸は全然余裕でいる。同じＤＦとして今までやってきた壁山は敵となった風丸の姿に悲しくなり眉を下げる。

鬼道と瑞貴と円堂は、風丸の驚くべき強さに目を見張った。


「強い……。想像していた以上だ」

「この威力で小手調べなんて……本気はいったいどれくらいなの!?」