吉良も乗せることができて、キャラバンは全速力で基地を出るため走って行く。爆発はどんどん続いていき、キャラバンのうしろから襲いかかろうとする爆風に一之瀬一哉は焦った。


「ダメだ！　追いつかれる！」

「出口よ！」


外への光を見つけた秋が叫ぶと、キャラバンはギリギリ爆発から回避して基地を脱出することに成功した。

そして離れた場所で全員がキャラバンから降り、エイリア学園の本拠地で激闘を繰り広げた試合会場ともなった基地のあとを見届ける。


「終わったんだな……」

「うん……」


日本中を駆け巡る長かった戦いも、ついに終止符を打つことができて円堂と瑞貴は呟く。

それから吉良とジェネシスを引き取るために護送車とパトカーが来た。警察官の一人が鬼瓦に敬礼しながら報告する。


「鬼瓦刑事！　ジェミニストーム及びイプシロンの子供たち、無事保護しました！」

「ご苦労」

「あの！　プロミネンスやダイヤモンドダストのみんなも無事ですか!?」


原作でも詳細を知らなかったメンバーについて瑞貴が駆け寄って尋ねると、警官は笑って答えた。


「もちろん。先ほどのみんなと一緒に保護しているよ」

「よかった……」


ホッと安堵の息を吐く瑞貴の頭を鬼瓦が撫でると、次いで吉良に目を向ける。


「さあ、行こうか」

「お父さん」

「ありがとう、瞳子。お前のおかげで目が覚めたよ」

「父さん！　俺、待ってるから！　父さんが帰ってくるまでずっと待ってるから！」

「ヒロト……！」


嬉しさと悲しさが入り混じった涙を目に浮かべ、吉良はパトカーに乗って警察へ向かった。


「さあ、君たちも行こう」


ジェネシスも吉良の協力者として事情聴取を受けなくてはならない。ウルビダたちは大人しく護送車に向かうが、吉良を乗せたパトカーが行った道をヒロトはずっとその場に立って見ていた。


「……響木監督。井上さんや円堂くんたちのこと、お願いしてもよろしいでしょうか？　ヒロトたちのそばにいたいんです」

「ああ」


瞳子は響木に礼をして瑞貴や円堂たちの元へ行く。


「ありがとう、みんな。ここまで来れたのもみんながいたからこそ。感謝してるわ。本当にありがとう」

「監督……」


深々と頭を下げる瞳子に瑞貴たちは眉を下げる。使命を果たした瞳子が雷門にいることはない。これがお別れだと知ったみんなは悲しい気持ちになる。

最後に瑞貴と円堂が笑顔を向けると、瞳子も使命の重みも取れたので、とても優しい微笑みを返してくれた。


「さあ、行きましょう」

「うん……」


手を差し出してくれた瞳子にヒロトも微笑んで手を重ねる。そして護送車に乗る前に雷門イレブンへ顔を振り向いた。


「円堂くん、瑞貴ちゃん。また会えるよね？」

「ああ。もちろんさ！　サッカーさえ続けていれば、絶対会える！」

「今度は『グラン』じゃなくて、『基山ヒロト』の名前でサッカーやろう！」

「うん……！」


円堂と瑞貴の言葉に嬉しく思ったヒロトは、純粋に優しい笑顔で頷いてくれた。