用意された更衣室で着替えた雷門イレブンは、試合前まで部屋でストレッチしたり、気を引き締めたりなど各自で過ごしている。それを見守りつつ響木は瞳子に話しかける。


「すまなかったな。本当のことを話してもらうためとはいえ……」

「いいえ。ここまで彼らを任せていただいて感謝しています」

「こいつらを頼むぞ」

「はい！」


そろそろ時間だと気づき、円堂と瑞貴は集まった仲間を見る。


「いくぞ、みんな。この試合は絶対に負けられない！」

「私たちの戦いが地球の運命を決めるんだ！」

「今度こそ、本当の最終決戦というわけだな」


鬼道の言う通りだ。この戦いは地球の未来がかかっている。だからこそ負けられない。円堂と瑞貴は振り返って瞳子と向き合う。


「あなたたちは地上最強のサッカーチームよ。だから私の指示はただ一つ――勝ちなさい！」

｢｢｢｢｢はい！｣｣｣｣｣


雷門イレブンがグラウンドに向かう。すると天井が動いて空が見える吹き抜け状になった。そして雷門イレブンの向かいにいるのは、ザ・ジェネシス。


「とうとう来たね。円堂くん、瑞貴ちゃん」


ヒロトの姿を確認した二人は少し駆け出して拳を握る。


「ああ。お前たちを倒すためにな」

「俺はこの戦いでジェネシスが最強の戦士であると証明してみせるよ」

「最強だけ求めたサッカーが楽しいの？」


瑞貴の質問にヒロトは一瞬目を見開くが、次いで眉をしかめる。


「それが――父さんの望みなのさ」

「父さん？」

「俺は父さんのために最強になる。最強でなければならないんだ」


グラウンド全体を見渡せる高い場所にある部屋に、窓から吉良と研崎がいるのを瞳子と響木は確認する。


「誰のためとか関係ない」

「ヒロト、お前自身はどうなんだ？」

「瑞貴ちゃん、円堂くん。お互いの信じるモノのために全力で戦おう。君たちの相手はエイリア学園最強にして最後のチーム――ザ・ジェネシス」


ヒロトは何を言っても吉良のために最強になるようだ。


「守、絶対に試合で勝って証明しよう。この計画が間違っていることを」

「ああ！」


それぞれのチームがポジションに着く。今回のベンチは土門と目金と吹雪だ。するとまたしても神出鬼没の実況者・角馬圭太が現れる。


《みなさん！　いよいよ世紀の最終決戦のときがやってまいりました！　数々の試練を乗り越え、今や地上最強といっても過言ではない雷門イレブンが、エイリア学園最強のザ・ジェネシスと雌雄を決するのです!!》

（どちらか最強か、すぐにわからせてやる）


ヒロトは瑞貴と円堂を見てそう思った。吉良のためにその決意は変わらない。

ついに運命のキックオフ。最初はジェネシスでヒロトからボールを受け取ったウィーズがアークにパスをする。