研崎によって案内された場所は、室内だというのに青空や木々がある部屋。そこには和式の大きな屋敷があり、縁側に立っているのは先ほどプレゼンテーションをしていた吉良だった。代表として瞳子が前に出て向き合う。


「プロモーションはどうでした？」

「お父さんは間違っています。ハイソルジャー計画をやめてください！」

「どうやらわかっていないようですね。お前たちも私の計画の一部に組み込まれていたということが」

「えっ？」


吉良の言葉に円堂は驚く。自分たちはただエイリア学園を倒すためな戦ってきたのに、それが計画の一部だという理由がわからなかった。みんなの気持ちを代弁するように瞳子が訊く。


「……どういう意味ですか？」

「エイリア学園との戦いで鍛え上げられたお前たちが、ザ・ジェネシスにとっていずれ最高の対戦相手になると思ったからですよ」

「……っ！」

「瞳子、お前は期待通りの仕事をしてくれました。礼を言いますよ」

「私のしてきたことが……エイリア学園の…ためだったというの……!?」


今までエイリア学園を倒すためにやったのに、それが吉良の計画の手助けをしていたことを知り瞳子は顔をうつむける。雷門イレブンは彼女を心配した。


「さあ試合の準備をしてください。ジェネシスが待ってますよ」


吉良はそう告げて屋敷の中に去って行った。瞳子は体を雷門イレブンに振り向き、申し訳なさそうな顔をする。瑞貴や円堂やみんなの脳裏に瞳子に出会ってから今までのことを思い返す。

――雷門イレブンとの初めての出会い。


『覚悟しておいて！』


――初めて瞳子が指揮した、ＳＰフィクサーズとの試合。


『勝つための作戦よ』


――豪炎寺に離脱するように言ったとき。


『私の使命は地上最強のチームを作ること』


――真・帝国学園との試合で、佐久間次郎や源田幸次郎や染岡竜吾という三人の負傷者が出た響木との会話。


『何が君を動かしている？』

『私は勝たなければならないんです』


――吹雪のことで秋に責められるが、告げた言葉。


『それが私の使命です』


――その後、耳に秋の言葉が残っていて腕を押さえて顔をうつむけて思ったとき。


『私がやっているのは、あの人と同じことなのかもしれないわね……』


――夏未が瞳子に告げた言葉。


『監督は監督でいてください』


――目覚めたばかりの瑞貴に瞳子は言った。


『井上さん。私はあなたを試合に使い続けるわ』

『いいですよ』


――仲間を失って何日も戦意喪失した円堂を見て、瞳子は結論を出す。


『円堂くんをメンバーから外します』


――そしてここに来る前にキャラバンで円堂が言っていたこと。


『昨日からずーっと考えていたんだ。このメンバーでやってみたい……みんなの気持ちが一つになれば、大きな力が生まれる！』


だけど――それらも吉良の計画に組み込まれていた。