……全ては五年前に飛来した隕石から始まった。富士山麓に落下した隕石――そこから人間の潜在能力を最大限に引き出す物質が発見される。その名は『エイリア石』。吉良はこの素晴らしい物質を有効利用するために研究を重ねた。


〈そしてついにエイリア石の力を使って、人間の身体能力を飛躍的に強化するために成功したのです。私は総理大臣・財前宗助に、このエイリア石の力を使って強い戦士を作る計画を提案しました。それがハイソルジャーです。ハイソルジャーが人類の新たなる歴史を創造するのです〉

「ハイソルジャー？」

「人間を戦うマシーンに変える、恐ろしい計画よ」

｢｢｢｢｢えぇっ!?｣｣｣｣


一之瀬の呟きに答えた瞳子の口から出たのは、とんでもない計画だった。


〈しかし事もあろうに財前総理は、この夢のような計画を撥(ﾊ)ねつけました。財前総理、あなたは正義のリーダーを気取っていますが何もわかっていない。そこで、私は財前総理にハイソルジャーの素晴らしさを教えてあげようと考えました。大のサッカー好きであるという総理に、一番わかりやすい方法でね〉


次々と映し出されたジェミニストームやイプシロンの選手たち。この話の流れで雷門イレブンも気づき始める。


〈すなわちそれが、エイリア学園によって身体能力を強化した子供たち――エイリア学園なのです！〉

｢｢｢｢｢！｣｣｣｣｣

「エイリア学園が……人間!?」

「これが謎の全てよ。エイリア学園は宇宙人じゃない。エイリア石によって人工的に強化された人間なのよ」


さらに瞳子から告げられる。瞳子が隠していたのはこのことだったのだ。

映像に映るデザームを見て円堂の瞳が揺れる。思い出すのは雷門イレブンに負けて追放される前にデザームが見せた微笑みである。それに気づいた瑞貴はキャラバンのとき自分にやってくれたように円堂の手を握る。

円堂が気づいて顔を向けると瑞貴は顔をしかめて頷いていた。彼女も同じ気持ちとわかった円堂はホログラムの吉良を睨みつける。


「なんてことを……！」

「人間を人工的に強化するなんて、許される行為じゃないよ……！」

〈わたくし本日ここに、エイリア学園最後のチーム・最強のハイソルジャーをご紹介いたします。その名は――ザ・ジェネシス！〉


吉良のホログラムのうしろに映し出されたのは、福岡の陽花戸中で戦った基山ヒロトがグランとして率いるチームだった。


〈究極の戦士――ザ・ジェネシス。その素晴らしき能力、完璧なる強さを、最高の舞台でご覧にいれましょう。ジェネシスと戦う最終決戦の相手は――雷門イレブンです！〉


もしかしたら瞳子が案内しなくても、ジェネシスの強さを見せつけるために吉良が雷門イレブンを連れてきたのかもしれない。


〈財前総理、聞こえてますか？　あなたもジェネシスを知れば考えを改めるでしょう。――必ずね〉


ホログラムが消えると扉が開かれ、ずっと暗闇の中にいたせいで眩しくて雷門イレブンは目を隠す。そこにいたのは吉良と違って緑の髪にスーツを着ている男だ。


「研崎……」


瞳子がそう呟く。彼は吉良の秘書である研崎竜一だ。