「誰もいませんねぇ」

「エイリア学園っていうから、宇宙人の生徒がいっぱいいるのかと思ったぜ」

「どんな生徒やねん」


内部を見て目金欠流は人がいないことに気になった。だけど綱海条介は名前からしてイメージしていたので、それを聞いた浦部リカは小声でツッコんだ。

瞳子の案内でキャラバンは奥にある円状の床に停まる。そこにあった扉は人しか入れないのでキャラバンでの移動はここで終わりだろう。雷門イレブンはキャラバンを降りる。


「監督、ここはいったいなんのための施設なんですか？」

「吉良財閥の兵器研究施設よ」

「吉良財閥……」


鬼道財閥の跡取りでもある鬼道有人も知っているようだ。反対に壁山塀吾郎は気になったことを言う。


「吉良って、監督の名字も『吉良』っスよね？」

「私の父の名は『吉良星二郎』……吉良財閥の総帥よ」

「自らの作り出した兵器で世界を支配しようと企んでいる男だ」

「世界を…支配……」

「なんか、とんでもないことに巻き込まれてないか？　俺たち……」
「エイリア学園と戦うことになったときから、とっくに巻き込まれているよ」

「それもそうだね……」


響木の言葉を円堂が反復し、土門の呟きに瑞貴が答えると一之瀬一哉は苦笑する。


「兵器研究施設が、ジェネシスのホームグラウンド……」

「『エイリア学園はただの宇宙人じゃない』、監督はそう言いましたよね？」

「ええ」

「兵器開発とエイリア学園……いったいどんな関係があるんですか？」


雷門夏未の問いに、瞳子はみんなを見渡すように顔を向けて答えた。


「全ては、『エイリア石』から始まったの」

「エイリア石……？」


円堂が呟くと扉が開いた。それと同時に機械声のアナウンスが聞こえる。


〈シンニュウシャアリ、シンニュウシャアリ〉


ここまで来たら引き返せないので全員扉の中に入ると、一列に並んだロボットと足元にはサッカーボールがある。


〈シンニュウジャハッケン、ハ・イ・ジョ〉

〈ハ・イ・ジョ〉

〈ハ・イ・ジョ〉


急にロボットが蹴ったボールに瑞貴はみんなの前に大きく横に振る。


「オーロラベール！」


幸いノーマルシュートしか撃ってこないので全て防げる。瞳子はその隙にみんなを横道に誘導させ、全員移動したことを確認した瑞貴もオーロラベールを解除して横道に入る。