雷門とカオスの試合は基山ヒロトが現れたことにより中断となって終わった。しかしアフロディは試合でのダメージが大きく入院するため離脱してしまう。

井上瑞貴と円堂守と吹雪士郎はアフロディの見舞いを終えて病院から雷門中に戻ると、校門前に木野秋と音無春奈がいた。


「円堂くん！」

「瑞貴先輩！　吹雪さん！」

「どうした？」

「ジェネシスのグランが来たのよ」

「何っ!?」

「ヒロトが!?」


ヒロト――グランが来たことを知った円堂と瑞貴は駆け出し、吹雪も続こうとするが秋たちの話はそれだけではなかった。


「瞳子監督のこと、『姉さん』と呼んでたの！」

「なっ、姉さんだって!?」


思わず円堂たちは足を止めた。それは衝撃的なことだったのだ。

その話は他の雷門イレブンに当に伝わっており、吉良瞳子に話を聞くために代表として雷門夏未が向かい合う。他のみんなは少し離れて見守っていた。


「グランはどうして監督を姉さんと呼んだのですか？　答えてください。監督！」

「…………」

｢｢監督！｣｣


瞳子はずっと黙ったまま。そんな中、瑞貴と円堂たちも合流してきた。


「ハニー！　円堂！　こいつ、スパイやスパイ！　そうに決まっとる！」

「スパイ……」


浦部リカが状況から出した答えを告げると、円堂は信じられないような目で瞳子を見た。だけど瑞貴はなんとかしようと声を上げる。


「ねえ――」

「そういうことか。監督がときどきいなくなっていたのは、エイリア学園と連絡を取るためだったのかもしれないな」

「なあなあ、敵に『姉さん』って呼ばれたってことはさ」

「監督は宇宙人!?」

「説明責任があると思いますねぇ」

「どっちにしても、話してもらおうじゃないか。なあ！」


疑惑という種の芽が広がっていく。いくら中学生と大人で瞳子が黙ったままだとはいえ、一方的に言っているのは雷門イレブンだ。

その光景を見て瑞貴は似たような経験を思い出す。話を聞いてもらえなくて、一方的に悪口を言われ責められた過去の出来事を……。

だから瑞貴は瞳子の前に立った。みんなも瞳子も瑞貴の行動に驚く。