「ひょっとして、今のが……」


どうやら立向居は何かをつかめたようだ。


｢｢｢デスゾーン！｣｣｣

「シュタタタタン！　ドババババーン！」


するとさっきまで一つしかなかったゴッドハンドがいくつも現れた。だがシュートは決まってしまった。


「おい、立向居……」

「いいんです。このまま練習を続けさせてください！」


立向居の顔つきが変わった。あとは技をうまく完成させるだけなのだろう。

それに比べてデスゾーン組は疲労が増すだけだった。


「今のもダメか……」

「タイミングは合ってるはずなのに……」

「どうすれば……」

「――鬼道にボールを集めるんだ！」

「源田！」

「とことん付き合うぜ！」

「寺門……！」


協力してくれる帝国イレブンのためにも完成させたい。いや、完成させなければならない。


「鬼道、タイミングは帝国のときと同じなんだよな？」

「ああ。全く同じだ」

「帝国と雷門は違うから、なんかうまくいかないね」

「っつ！」

『でも、雷門にいるほうがお前は自分を出せているのかもしれない』


ふと鬼道の脳裏に佐久間の言葉が思い浮かんだ。


「雷門にいるほうが……円堂！　瑞貴！」

｢｢ん？｣｣


鬼道も何かを見つけたようだ。ベンチにいる佐久間もそれを感じ取った。

ドリブルする土門に辺見が立ち塞がり、止まった隙に寺門が奪ってボールを上げる。


「いけー！」

「鬼道ー！」


ボールを追うように三人は回転さながら飛ぶ。だけど今までと違っていた。


「たああぁぁああ！」

「はああぁぁああ！」

「まだだ！　まだ！」


なんと円堂と瑞貴と鬼道の三人の回転のタイミングが合っていないのだ。


「今だ！」

｢｢｢デスゾーン！｣｣｣


なんとシュートが威力を落とさないでゴールに向かっていく。


「これは……――あっ！」


立向居が驚いている間に、デスゾーンは見事ゴールに入ったのだ。


「やった！」

「鬼道！」

「ああ！　デスゾーンの完成だ！」


ついに完成させたデスゾーン。壁山も興奮して鼻息が荒くなっている。


「スゴい！　スゴいっスー！」

「でも、どうしてできたんだ？」

「タイミングだ。帝国と雷門は違うチーム。雷門には雷門のタイミングがある」

「私たち三人のタイミングで撃ったからできたんだね！」

「ああ。成功したのはみんなのおかげだ」

「いや、お前たちの努力の成果だ。それに――これで終わりじゃあないんだろ？」


佐久間の言葉は帝国イレブンと鬼道はわかっているが、雷門イレブンは頭に「？」を浮かばせる。逆に瑞貴は苦笑した。