秘伝書はどこだ!
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(勘が良いと言っていたな……土門がスパイだということをバレているのかもしれない)
「あの~……」
鬼道の様子に瑞貴は首を傾げて声をかける。鬼道はそれに気づくとハッと顔を上げた。
「ひょっとして飛鳥の件を考えていましたか?」
「!」
やはり土門のことを気づかれていたと鬼道は微かに焦りを感じた。誤魔化してもムダだろうとも。しかし瑞貴は別段追求とかせずただ鬼道の様子を見ていた。
「……サッカー部の奴らは知っているのか?」
「いいえ」
「何が目的だ」
「えっ? だってうちにはスパイなんていませんから」
「……ハッ?」
意外な発言に鬼道は思わず口を開けて髪をゴボウ化にする。
「うちには『スパイ』じゃなく『帝国学園サッカー部出身の新入部員』が入部してきただけです。むしろあんなにいい選手をこっちに寄越すと後悔しますよ?」
イタズラっ子のようにウィンクして笑った瑞貴に鬼道はハッと息を呑む。
「じゃあ私はこれで失礼します。次郎と幸次郎と健也にもよろしくお伝えください」
瑞貴は一つお辞儀をして鉄塔広場に向かって走り出した。
(……佐久間たちが気にかけてしまう理由がわかった気がする)
そのうしろで鬼道が口を手で隠しながら頬を染めたということを知らずに――。
☆☆☆☆☆
瑞貴が鉄塔広場に来るとすでに練習は始まっていた。
壁山と円堂はジャンプ力を身に付けるためにタイヤを体に付け、豪炎寺は染岡と風丸の組んだ腕を踏み台にしてオーバーヘッドキックの練習をしていた。
とりあえず瑞貴もジャンプ力を付けるために残ったタイヤで体に付けて円堂の元へ駆け寄る。
「守!」
「あっ、遅いぞ瑞貴」
「ごめんごめん。私もジャンプ力を身に付ける特訓をするよ。シューティングアローの強化にもなるからね」
とりあえず飛んでみるが重くてなかなか高く飛べない。これはいい練習になりそうだ。
――時間が過ぎていき、もう辺りは暗くなっていく。
「よしっ」
瑞貴は何も付けずに飛んときと同じぐらいの高さを飛べるようになったが、壁山はうまくいってないようだ。何度もぶつけて怪我をしてついに倒れてしまう。円堂もそばで飛んだ衝撃で倒れてしまった。
もう見てられなくなったのか、秋が駆け付けて来た。
「もうやめなよ! 壁山くん一人に苦しい思いをさせたくないからって、円堂くんまでそんなことすることないじゃない!」
「キャプテン! そうだったんスか!?」
秋の言葉で円堂の真意を知った壁山は体を倒したまま腕をブンブンと振って方向転換し、円堂を見る。
「……っ、まだまだ」
あきらめていない様子の円堂に壁山は目尻に涙を出す。
「でも…でも俺もうダメっス……」
「人間…もうダメだって思ったときこそ…本当の力が出てくるって……もんさぁ!」
「おおっ!」
勢いよく飛んで立ち上がった円堂は上手に着地をする。瑞貴が思わず拍手を送ると彼は人差し指を立てる。
「さっ、もう一回だ!」
「はい……」
壁山も立ち上がろうとすると、自分のすぐそばでカタツムリが通ったことを発見し驚愕する。
「ギャ――ッ!! デンデンムシ――ッ!!」
「あっ、飛んだ」
先ほどの円堂とは比べものにならないくらい叫びながら飛び跳ねる壁山に、声を発する瑞貴と嬉しそうな顔をする円堂。壁山はそのまま木に顔を激突させた。
「スゴいじゃないか壁山! 今の感じだよ!」
「は、はい……。でもちょっと痛いっス……」
そう言って笑い合う二人を見て、瑞貴は自分を身に付けていたタイヤを取る。
「瑞貴ちゃん?」
「こっちはもう大丈夫そうだし、もう一つの練習を見に行ってくる」
「いってらっしゃい」
秋は手を振ったので瑞貴も振り返した。
豪炎寺たちはまだ悪戦苦闘中らしく、豪炎寺が挑戦するがまた背中から落ちてしまった。瑞貴はポイントに気づくと声を上げる。
「修也! 踏み切りは今までより、そうだな……一歩半は手前で。それとジャンプするときは飛び乗った勢いを殺さないようにそろえて、もっと足のバネを意識してみて。空中でのバランスも忘れないように!」
「瑞貴、お前……」
驚いたような豪炎寺に瑞貴は一つウィンクをして見せた。そんな彼女に豪炎寺は力強く頷き返すと再び風丸と染岡に向かって走り出す。
「ふっ!」
くるりと綺麗に回転して見事に着地。――ついに成功したのだ。
「いやったー! 豪炎寺ー!」
自分のことのように喜ぶ染岡とその隣で笑う風丸。豪炎寺も軽く微笑むとそのままドサリと倒れこみかけた彼を、駆け付けた瑞貴が受け止めて支えた。
「まったく。ムチャしすぎ」
「すまない……」
「豪炎寺!」
「豪炎寺!」
「大丈夫だ……」
すぐさま風丸と染岡も駆け付け、瑞貴の腕から豪炎寺を受け取り二人で支える。
「とうとうやったな!」
「いや、まだまださ。ようやく三分の一ってとこだな……」
「でもとにかく、やれそうな希望は見えてきたよ」
豪炎寺の特訓も成功し、雷門中サッカー部は稲妻町が見渡せるいつも円堂が特訓している場所に立つ。壁山はよほど疲れたのかベンチに寝転がり、もう一つのベンチでは豪炎寺が座っていた。
「よーしみんな! あと一踏ん張りだ! 野生中との試合はもうすぐだぞ!」
「「「「「オ――ッ!!」」」」」
夕闇の空には彼らを応援するかのように、一番星が輝いていた――。
☆副キャプテン 今日の格言☆
むしろあんなに良い選手をこっちに寄越すと後悔しますよ?
以上!!
「あの~……」
鬼道の様子に瑞貴は首を傾げて声をかける。鬼道はそれに気づくとハッと顔を上げた。
「ひょっとして飛鳥の件を考えていましたか?」
「!」
やはり土門のことを気づかれていたと鬼道は微かに焦りを感じた。誤魔化してもムダだろうとも。しかし瑞貴は別段追求とかせずただ鬼道の様子を見ていた。
「……サッカー部の奴らは知っているのか?」
「いいえ」
「何が目的だ」
「えっ? だってうちにはスパイなんていませんから」
「……ハッ?」
意外な発言に鬼道は思わず口を開けて髪をゴボウ化にする。
「うちには『スパイ』じゃなく『帝国学園サッカー部出身の新入部員』が入部してきただけです。むしろあんなにいい選手をこっちに寄越すと後悔しますよ?」
イタズラっ子のようにウィンクして笑った瑞貴に鬼道はハッと息を呑む。
「じゃあ私はこれで失礼します。次郎と幸次郎と健也にもよろしくお伝えください」
瑞貴は一つお辞儀をして鉄塔広場に向かって走り出した。
(……佐久間たちが気にかけてしまう理由がわかった気がする)
そのうしろで鬼道が口を手で隠しながら頬を染めたということを知らずに――。
☆☆☆☆☆
瑞貴が鉄塔広場に来るとすでに練習は始まっていた。
壁山と円堂はジャンプ力を身に付けるためにタイヤを体に付け、豪炎寺は染岡と風丸の組んだ腕を踏み台にしてオーバーヘッドキックの練習をしていた。
とりあえず瑞貴もジャンプ力を付けるために残ったタイヤで体に付けて円堂の元へ駆け寄る。
「守!」
「あっ、遅いぞ瑞貴」
「ごめんごめん。私もジャンプ力を身に付ける特訓をするよ。シューティングアローの強化にもなるからね」
とりあえず飛んでみるが重くてなかなか高く飛べない。これはいい練習になりそうだ。
――時間が過ぎていき、もう辺りは暗くなっていく。
「よしっ」
瑞貴は何も付けずに飛んときと同じぐらいの高さを飛べるようになったが、壁山はうまくいってないようだ。何度もぶつけて怪我をしてついに倒れてしまう。円堂もそばで飛んだ衝撃で倒れてしまった。
もう見てられなくなったのか、秋が駆け付けて来た。
「もうやめなよ! 壁山くん一人に苦しい思いをさせたくないからって、円堂くんまでそんなことすることないじゃない!」
「キャプテン! そうだったんスか!?」
秋の言葉で円堂の真意を知った壁山は体を倒したまま腕をブンブンと振って方向転換し、円堂を見る。
「……っ、まだまだ」
あきらめていない様子の円堂に壁山は目尻に涙を出す。
「でも…でも俺もうダメっス……」
「人間…もうダメだって思ったときこそ…本当の力が出てくるって……もんさぁ!」
「おおっ!」
勢いよく飛んで立ち上がった円堂は上手に着地をする。瑞貴が思わず拍手を送ると彼は人差し指を立てる。
「さっ、もう一回だ!」
「はい……」
壁山も立ち上がろうとすると、自分のすぐそばでカタツムリが通ったことを発見し驚愕する。
「ギャ――ッ!! デンデンムシ――ッ!!」
「あっ、飛んだ」
先ほどの円堂とは比べものにならないくらい叫びながら飛び跳ねる壁山に、声を発する瑞貴と嬉しそうな顔をする円堂。壁山はそのまま木に顔を激突させた。
「スゴいじゃないか壁山! 今の感じだよ!」
「は、はい……。でもちょっと痛いっス……」
そう言って笑い合う二人を見て、瑞貴は自分を身に付けていたタイヤを取る。
「瑞貴ちゃん?」
「こっちはもう大丈夫そうだし、もう一つの練習を見に行ってくる」
「いってらっしゃい」
秋は手を振ったので瑞貴も振り返した。
豪炎寺たちはまだ悪戦苦闘中らしく、豪炎寺が挑戦するがまた背中から落ちてしまった。瑞貴はポイントに気づくと声を上げる。
「修也! 踏み切りは今までより、そうだな……一歩半は手前で。それとジャンプするときは飛び乗った勢いを殺さないようにそろえて、もっと足のバネを意識してみて。空中でのバランスも忘れないように!」
「瑞貴、お前……」
驚いたような豪炎寺に瑞貴は一つウィンクをして見せた。そんな彼女に豪炎寺は力強く頷き返すと再び風丸と染岡に向かって走り出す。
「ふっ!」
くるりと綺麗に回転して見事に着地。――ついに成功したのだ。
「いやったー! 豪炎寺ー!」
自分のことのように喜ぶ染岡とその隣で笑う風丸。豪炎寺も軽く微笑むとそのままドサリと倒れこみかけた彼を、駆け付けた瑞貴が受け止めて支えた。
「まったく。ムチャしすぎ」
「すまない……」
「豪炎寺!」
「豪炎寺!」
「大丈夫だ……」
すぐさま風丸と染岡も駆け付け、瑞貴の腕から豪炎寺を受け取り二人で支える。
「とうとうやったな!」
「いや、まだまださ。ようやく三分の一ってとこだな……」
「でもとにかく、やれそうな希望は見えてきたよ」
豪炎寺の特訓も成功し、雷門中サッカー部は稲妻町が見渡せるいつも円堂が特訓している場所に立つ。壁山はよほど疲れたのかベンチに寝転がり、もう一つのベンチでは豪炎寺が座っていた。
「よーしみんな! あと一踏ん張りだ! 野生中との試合はもうすぐだぞ!」
「「「「「オ――ッ!!」」」」」
夕闇の空には彼らを応援するかのように、一番星が輝いていた――。
☆副キャプテン 今日の格言☆
むしろあんなに良い選手をこっちに寄越すと後悔しますよ?
以上!!