秘伝書はどこだ!
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「な、なんだよそれ……」
「ビョーンとかバーンとか、そんなのばっかじゃないっスか……」
あまりにもわかりにくく擬音語ばかりの内容だったので染岡と壁山を初め床に座っていた者はズッコけ、土門は微妙な顔でタイヤから落ち、豪炎寺も苦笑する。
円堂が尾刈斗中の試合でゴーストロックの秘密を説明するとき、それも擬音語ばかりだったので血が繋がっていると感じる。風丸は心配そうに円堂の肩に手を置いた。
「円堂…お前のじいさん。国語の成績よかったのか?」
「さあ……。サッカー一筋の人だったらしいから……」
苦笑しながら答える円堂に風丸はガックリと肩を落とす。
「あんだけ騒いでビョーンズバーンか……もうちょっと書いてくれよ」
「でもさ、じいちゃんは嘘はつかないよ。ここには本当にイナズマ落としの極意が書かれてあるんだ。あとは特訓すればいいんだよ!」
「どっからくんだ? その自信」
染岡と円堂と風丸が話している中、唯一知っている瑞貴は言おうかどうか迷ったが、練習時間はあればあるほどいいと思った。
「あのー……」
恐る恐る軽く手を上げると全員瑞貴に勢いよく振り返った。――土門だけは少し目の色を変えていたが。
「勘でよかったら説明してもいい?」
「瑞貴先輩、わかったでヤンスか!?」
「勘だけどね」
机から降りた瑞貴はホワイトボードの前に立ってペンを取る。
「まず、このイナズマ落としは二人でやる技だってこと」
「あっ、確かに。『一人が』とか言ってましたもんね」
「うん。で――」
少林寺の意見に瑞貴は頷くとペンのキャップを外してわかりやすいように説明しながら図を書いてく。
「まず一人が飛ぶ。もう一人が最初の一人を踏み台にして、さらに高さを稼ぐ。充分な高さに達したところでオーバーヘッドキック。……どうかな?」
ペンにキャップをした瑞貴はみんなの反応がないので恐る恐る振り向くと、円堂が瑞貴の前に立つ。さすがに様子がおかしかったので瑞貴は声を掛けてみる。
「守?」
「瑞貴……」
円堂はガシッと瑞貴の両手をつかみ、目を輝かせながら上下にブンブンと振る。
「そうだよ! たぶんその通りだよ! スゴいなお前!」
瑞貴は苦笑すると円堂は手を離した。
「そんな不安定な足場からオーバーヘッドキックを出せるのは――瑞貴、豪炎寺! お前たちしかいない!」
「へっ!?」
「俺が……?」
ビシィッと指差した円堂に瑞貴は素っ頓狂な声を上げ、豪炎寺は一つ目を瞬きした。
「ちょ、ちょっと待ってよ守! 修也はともかく私もって……」
「だって瑞貴、この間オーバーヘッドができたじゃないか!」
「だが、オーバーヘッドは失敗すれば危険が伴う。俺がやろう」
「あっ、じゃあ修也がメインで私は補欠ってことで」
「ああ! そしてお前たちの踏み台になれる奴は……」
部員の顔を見回す円堂はある人物を見つけると、瑞貴たちのときと同様に指差した。
「壁山! お前しかいない!」
「えっ! 俺っスか!?」
指名されるとは思わなかった壁山が自分を指すと円堂は「ああ!」と頷いた。でも壁山はムリというかのように首を思いっきり左右に振る。
「じゃあ私が踏み台になろうか? 帝国のシュートも耐えたから結構丈夫だし……」
「「「「「絶対ダメだ/っス/です/でヤンス!!」」」」」
「俺、やってみるっス!」
壁山が勇気を出してくれたのは結果オーライだが、瑞貴はここまで全員に否定されるとは思わなかったので悲しいものだ。
――鉄塔広場で練習をすることになったが、その集団から抜けた土門は少し離れた外と学校の敷地が間を取っている柵の前の茂みの隙間の前で辺りに誰もいないか確認し、電柱がそばにある柵に腕を組んで背を預けた。
「円堂大介の秘伝書があります。ですが、円堂と女子選手以外誰も読めませんし、手に入れたところで意味はでしょう。それと……あの女子選手ですがかなり勘が良いようです。用心しておくべきかと」
そう言うと土門は何もなかったように茂みから出てきた。
「飛鳥、こんな所にいたんだ」
土門は突然現れた瑞貴に面をくらうがいつも通りの顔になる。
「あれ瑞貴ちゃん。練習は?」
「飛鳥がどこかへ行ったから、何かあったんじゃないかって思って」
瑞貴がそう言うと、土門は内心ギクリとするが顔には出さずに瑞貴の頭をポンポンと叩く。
「心配してくれてありがとう。でもなんでもないから。さっ、練習に行こうぜ」
「あっ、私少し用事があるから先に行ってて」
「オー」
土門が先にみんなの元へ走って行く。手を振りながら見送る瑞貴は土門がいなくなったことを確認すると、先程土門が出てきた茂みに目をやり、入って行くと軽く溜息をつく。
「いいんですか? キャプテンが練習をしなくて。――鬼道くん」
電柱の隙間にいた帝国学園サッカー部のキャプテン・鬼道有人はギクリと身を強張らすがバレても問題がないと思ったのか、素直に電柱と壁の隙間から出てきた。
「……よく俺がいるとわかったな」
「黄色と緑の間に赤って目立ちますよ?」
鬼道はそう言われて自分の服と周りの景色を見合わせると、しくじったと思った。そういえば、と鬼道は先ほどの土門の報告を思い出す。
「ビョーンとかバーンとか、そんなのばっかじゃないっスか……」
あまりにもわかりにくく擬音語ばかりの内容だったので染岡と壁山を初め床に座っていた者はズッコけ、土門は微妙な顔でタイヤから落ち、豪炎寺も苦笑する。
円堂が尾刈斗中の試合でゴーストロックの秘密を説明するとき、それも擬音語ばかりだったので血が繋がっていると感じる。風丸は心配そうに円堂の肩に手を置いた。
「円堂…お前のじいさん。国語の成績よかったのか?」
「さあ……。サッカー一筋の人だったらしいから……」
苦笑しながら答える円堂に風丸はガックリと肩を落とす。
「あんだけ騒いでビョーンズバーンか……もうちょっと書いてくれよ」
「でもさ、じいちゃんは嘘はつかないよ。ここには本当にイナズマ落としの極意が書かれてあるんだ。あとは特訓すればいいんだよ!」
「どっからくんだ? その自信」
染岡と円堂と風丸が話している中、唯一知っている瑞貴は言おうかどうか迷ったが、練習時間はあればあるほどいいと思った。
「あのー……」
恐る恐る軽く手を上げると全員瑞貴に勢いよく振り返った。――土門だけは少し目の色を変えていたが。
「勘でよかったら説明してもいい?」
「瑞貴先輩、わかったでヤンスか!?」
「勘だけどね」
机から降りた瑞貴はホワイトボードの前に立ってペンを取る。
「まず、このイナズマ落としは二人でやる技だってこと」
「あっ、確かに。『一人が』とか言ってましたもんね」
「うん。で――」
少林寺の意見に瑞貴は頷くとペンのキャップを外してわかりやすいように説明しながら図を書いてく。
「まず一人が飛ぶ。もう一人が最初の一人を踏み台にして、さらに高さを稼ぐ。充分な高さに達したところでオーバーヘッドキック。……どうかな?」
ペンにキャップをした瑞貴はみんなの反応がないので恐る恐る振り向くと、円堂が瑞貴の前に立つ。さすがに様子がおかしかったので瑞貴は声を掛けてみる。
「守?」
「瑞貴……」
円堂はガシッと瑞貴の両手をつかみ、目を輝かせながら上下にブンブンと振る。
「そうだよ! たぶんその通りだよ! スゴいなお前!」
瑞貴は苦笑すると円堂は手を離した。
「そんな不安定な足場からオーバーヘッドキックを出せるのは――瑞貴、豪炎寺! お前たちしかいない!」
「へっ!?」
「俺が……?」
ビシィッと指差した円堂に瑞貴は素っ頓狂な声を上げ、豪炎寺は一つ目を瞬きした。
「ちょ、ちょっと待ってよ守! 修也はともかく私もって……」
「だって瑞貴、この間オーバーヘッドができたじゃないか!」
「だが、オーバーヘッドは失敗すれば危険が伴う。俺がやろう」
「あっ、じゃあ修也がメインで私は補欠ってことで」
「ああ! そしてお前たちの踏み台になれる奴は……」
部員の顔を見回す円堂はある人物を見つけると、瑞貴たちのときと同様に指差した。
「壁山! お前しかいない!」
「えっ! 俺っスか!?」
指名されるとは思わなかった壁山が自分を指すと円堂は「ああ!」と頷いた。でも壁山はムリというかのように首を思いっきり左右に振る。
「じゃあ私が踏み台になろうか? 帝国のシュートも耐えたから結構丈夫だし……」
「「「「「絶対ダメだ/っス/です/でヤンス!!」」」」」
「俺、やってみるっス!」
壁山が勇気を出してくれたのは結果オーライだが、瑞貴はここまで全員に否定されるとは思わなかったので悲しいものだ。
――鉄塔広場で練習をすることになったが、その集団から抜けた土門は少し離れた外と学校の敷地が間を取っている柵の前の茂みの隙間の前で辺りに誰もいないか確認し、電柱がそばにある柵に腕を組んで背を預けた。
「円堂大介の秘伝書があります。ですが、円堂と女子選手以外誰も読めませんし、手に入れたところで意味はでしょう。それと……あの女子選手ですがかなり勘が良いようです。用心しておくべきかと」
そう言うと土門は何もなかったように茂みから出てきた。
「飛鳥、こんな所にいたんだ」
土門は突然現れた瑞貴に面をくらうがいつも通りの顔になる。
「あれ瑞貴ちゃん。練習は?」
「飛鳥がどこかへ行ったから、何かあったんじゃないかって思って」
瑞貴がそう言うと、土門は内心ギクリとするが顔には出さずに瑞貴の頭をポンポンと叩く。
「心配してくれてありがとう。でもなんでもないから。さっ、練習に行こうぜ」
「あっ、私少し用事があるから先に行ってて」
「オー」
土門が先にみんなの元へ走って行く。手を振りながら見送る瑞貴は土門がいなくなったことを確認すると、先程土門が出てきた茂みに目をやり、入って行くと軽く溜息をつく。
「いいんですか? キャプテンが練習をしなくて。――鬼道くん」
電柱の隙間にいた帝国学園サッカー部のキャプテン・鬼道有人はギクリと身を強張らすがバレても問題がないと思ったのか、素直に電柱と壁の隙間から出てきた。
「……よく俺がいるとわかったな」
「黄色と緑の間に赤って目立ちますよ?」
鬼道はそう言われて自分の服と周りの景色を見合わせると、しくじったと思った。そういえば、と鬼道は先ほどの土門の報告を思い出す。