（そういうことだったのか、じいちゃん！　『究極奥義が未完成』っていうのは完成しないってことじゃない。――ライオンの子供が大きくなるように、常に進化し続けるってことだ！）


円堂は左足を振り上げて思いっきり叩きつける。さらにうしろに構えていた拳を、勢いよく前に突き出す。


「正義の鉄拳！」


なんと今まで防げなかったのに、正義の鉄拳がグングニルを完璧に弾き返したのだ。


「何っ!?　パワーアップしただと!?」

「そうだ！　これが常に進化し続ける究極奥義・正義の鉄拳だ！」

「答えを見つけたんだね、守！」

「……楽しませてくれるな。だが、技が進化しようと我らから点を取らない限り、お前たちに勝ち目はない」


ザッ――……。


｢｢！｣｣


誰かが弾いたボールを足で止めた音に気づき、瑞貴と円堂は顔を向け、雷門イレブンも見る。

オレンジ色のパーカーにフードを被った少年が、ゆっくりとピッチに入っていく。


「あれは！」

「もしかして！」


円堂と瑞貴は信じられないような気持ちで瞳を揺らすと、その少年はゆっくりとフードを取る。現れた顔は、ここにいる誰もが知っている……雷門のエースストライカー・豪炎寺修也！


「修也！」

「豪炎寺！」


奈良でイナズマキャラバンから離脱した豪炎寺。彼が今、雷門イレブンの――瑞貴たちの前に現れた。


「待たせたな」


そう言って笑う豪炎寺。瑞貴と円堂は一度顔を見合わせると、豪炎寺に向かってニッと笑う。


｢｢いつもお前は遅いんだよ！｣｣

「豪炎寺……！」

「豪炎寺！」

「ご、豪炎寺さんが、豪炎寺さんが……帰って来たっスー！」


鬼道も一之瀬も壁山も、みんな彼が現したことに顔を綻ばせて立ち上がる。今まで顔をうつむけていた吹雪も反応して顔を上げる。

瑞貴は即座にベンチにいる瞳子に、嬉しそうに顔を向ける。


「監督！」


その意図に応えるように瞳子も立ち上がって頷いた。


「選手交代！　10番、豪炎寺修也が入ります！」


その指示にマネージャーたちは笑顔になり、観客席からも歓声が上がる。

豪炎寺は久しぶりに10番のユニフォームを身にまとった。立向居、綱海、リカ、木暮は初めて目の前で見る豪炎寺の迫力に驚いた。