そして円堂と瑞貴はみんなの中心に入る。


｢｢今日こそあいつらとの決着をつけるぞ/よ！｣｣

｢｢｢｢｢オウッ!!｣｣｣｣｣


高らかに拳を上げる雷門イレブンと、微笑ましく笑う瞳子とマネージャー。だけど吹雪士郎は一人イプシロンを――デザームを見ていた。


「これから始まるのは奴らが壊れるか、我々が壊れるかの真剣勝負。試合が終わったとき、グラウンドに立っているのは我々イプシロン改だ！」

「ではデザーム様、前半から？」

「いや、まずはあいつらだ。どれほどレベルが上がってるか」


ゼルとデザームは雷門にいる吹雪と瑞貴を見た。その際、吹雪の瞳がグレーからオレンジに変わったことは、誰も気づかなかった。


「綱海はＤＦに入ってくれ。立向居と目金はベンチで、代わりに土門をＭＦに上げる」

「任せろ！」

「わ、わかりました」


そうしてミーティングをしている間、観客席に人が集まってきた。なんでも土方雷電が街に放送したらしい。


《雷門中対エイリア学園・イプシロン改の一戦！　新加入の綱海条介！　ＤＦでの出場、期待です！　しかし、気になるのはＦＷ。今回は井上と浦部の2TOP！　前回イプシロンから唯一１点を取っている吹雪は、ディフェンスでスタート！　果たして瞳子監督の意図は!?》


角馬圭太の実況が響く中、瑞貴はチラッと横目で吹雪を見る。大海原戦のときから吹雪がＤＦに入っているのは、みんなが吹雪に負担をかけさせないようにしたことだ。


（この試合で、吹雪が……アツヤと士郎が壊れないようにしないと）


たとえ原作を覆しても、瑞貴はそう思った。

ホイッスルが鳴り、イプシロン改ボールからのキックオフ。マキュアからボールを受けたゼルが上がると、続けて他のＦＷもＭＦも上がっていく。

次にメトロンにボールが渡り、浦部リカが前に立ち塞がる。


「通さへん！」


しかしメトロンとファドラのワンツーパスで、リカを簡単にかわした。ドリブルもパスも以前より速くなっている。

するとメトロンがボールと一緒に空中に上がり、オーバーヘッドの体勢に入る。


「メテオシャワー！」

｢｢うわあぁぁあああ!!｣｣


降りかかる隕石に気を取られて財前塔子と一之瀬一哉も抜かれる。必殺技もレベルアップしているようだ。

次にメトロンがボールをサイドに蹴ると、綱海が「任せろ！」と言って壁山塀吾郎と取りにかかる。しかしすかさずマキュアがボールを取ってパスを回した。


「パス!?　堂々と勝負しやがれ！」

「フンッ」


綱海の抗議もマキュアは鼻で笑った。

するとファドラが雷門ゴール前にボールを上げると、そこにマキュアとゼルとメトロンが同時に上がっていく。これは前回、円堂からゴールを奪った必殺技。


｢｢｢ガイアブレイク！｣｣｣

《強烈なシュートが雷門ゴールめがけて飛んでいくー！　この必殺技もパワーアップしている！　円堂ピンチ！》

「今です！　円堂さん！」


立向居勇気がベンチから声を上げると、円堂はグッと構える。