秘伝書はどこだ!
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――夏未にはしご車を借りたい、というと滅多に見れないであろう面食らった表情をしてから溜息をつかれた。また妙な特訓をやるんだろうな、とでも思われたんだろう。
はしご車を部室の近くに移動させ、ある程度高く上げたテラスに円堂がボールのカゴごと乗っていた。
「いっくぞー!」
「オウッ!」
円堂がボールを投げ、染岡がジャンプして蹴り返すが空中でのバランスが取れずボールはあまり勢いのないままギリギリで円堂の元へ返った。
「もっと強く!」
「よっしゃ!もういっちょ来い!」
「よーし!」
円堂はもう一度ボールを投げるが、今度は別の方向へ飛んでいった。
「お前どこ投げてんだよ! ふざけるなボール拾いかよ俺は!」
文句を言いつつも染岡はちゃんと拾って帰ってきた。瑞貴は雷門中のユニフォームを着た土門が秋のそばに行っているのを確認すると再び特訓に目を向ける。
「次、瑞貴!」
「うん!」
円堂が落としたボールを瑞貴は得意分野な跳飛力で高く飛び、見事空中でオーバーヘッドを使って円堂にボールを返した。
「さすが瑞貴だな!」
「ありがとう!」
「風丸ー! 行くぞー!」
「オウッ!」
「――よー、精が出るなぁ」
周りからしたら意味不明な特訓を褒めてくれたのは用務員の古株だ。彼は転校したての瑞貴でも接してくれた優しい人だ。円堂も彼の存在に気づくと手を止める。
「古株さん!」
「この間の尾刈斗中との試合、見せてもらったよ。よかったなぁ……まるで『イナズマイレブン』の再来だなぁ」
「イナズマイレブン?」
知らない言葉にキョトンとすると、古株は意外そうな顔をした。
「おいおい。円堂大介の孫が知らないのか? イナズマイレブンのことを」
練習は一時中断。部員全員で『イナズマイレブン』のことを聞くべく古株を中心に部室のそばで円になって座る。
「イナズマイレブンっていうのは四十年前に雷門中学にあった伝説のサッカーチームだ。フットボールフロンティア優勝目前だったのに、あんなことがあって……」
「えっ?」
最後の言葉に円堂が反応をすると古株は慌てながらも「なんでもない」と言って話を続ける。
「とにかくスゴい連中だった! あいつらなら世界を相手にしたって戦えたはずだよ」
「……クゥ~!」
目を輝かせた円堂は体が震えたかと思うと嬉しそうに叫んでハシャぐ。
「カッコいいー! ちょーぜってーカッコいい――っ!!」
あまりの喜びように両隣にいた瑞貴と風丸は少し驚いた。
「イナズマイレブンかぁ……」
「そうさ! お前さんは伝説のチームの血を受け継いでいるんだ」
「えっ、じいちゃんも?」
「円堂大介はイナズマイレブンの監督だ! まさにサッカーそのもののような男だったよ」
憧れている祖父の名前が出てきたことに、円堂はさらに喜んだ。
「よーし! 俺絶対、イナズマイレブンみたいになってやる! じいちゃんみたいに!」
「一人でなる気かよ?」
風丸が声をかける。円堂はぐるりと部員の顔を見ると、みんなやる気満々の顔をしていた。それに円堂はまた嬉しそうに顔を綻ばせた。
「もちろんみんなでさ、なっ!」
「「「「「オウッ!!」」」」」
部員たちはそろって声を上げると、瑞貴は微笑ましくて目を閉じてクスリと笑う。
「みんななら、きっとなれるよ」
「なーに言ってんだよ瑞貴!」
瑞貴が円堂を見ると彼は太陽のような笑顔で笑う。
「お前も一緒だよ!」
円堂と同じようにみんなを見てみると、全員笑いながら頷いた。瑞貴は目頭が熱くなりそうだったがなんとか抑えて笑顔になる。
「ありがとう!」
「俺たちは、イナズマイレブンみたいになってみせる!」
☆☆☆☆☆
練習も終わって夕飯の材料を買いにスーパーにやってきた瑞貴。今日は肉じゃがでも作ろうかとジャガイモに手を伸ばすと、同じジャガイモに手を伸ばした手に気づき持ち主を見ると見慣れた顔があった。
「幸次郎?」
「ん? 瑞貴じゃないか」
「オーイ源田ー。何やって……――瑞貴!?」
「次郎も。偶然だね」
帝国学園サッカー部の源田幸次郎に引き続き、佐久間次郎もやってきた。尾刈斗中との試合以来会っていないので久しぶりのような気がする。
瑞貴は源田の手に持っている買い物カゴに気づいた。
「ひょっとして幸次郎も買い物に?」
「ああ。今日は俺も佐久間も一人だからな。せっかくだから二人で食べようと思って」
「瑞貴もそうなのか?」
「ううん。私は一人暮らしだから」
返ってきた返事に佐久間と源田は驚いた。女子中学生が一人暮らしなど珍しい。
「両親は幼い頃に亡くなって、弟は親戚の家に引き取られたから私一人なんだ……」
思わずうつむいて言ってしまうと源田と佐久間は申し訳なさそうな顔をする。それに気づいた瑞貴は慌てて二人に近寄った。
「そんな顔しないで! あっ、よかったらうちで一緒に食べない?」
「「えっ!?」」
話を変えようと出した提案に、二人は別の意味で面食らった。
「うちには誰もいないし気にする必要ないよ。二人がよかったらだけど――」
「行く!」
「じゃあ、お邪魔させてもらおうか」
即答した佐久間に驚き、次いで源田を見ると彼も頷いたので三人で夕食にすることになった。
――瑞貴の家はなんと二人とあまり距離が離れていなかった。佐久間と源田は普通より大きな一軒家に目を瞠った。
「デカいな」
「そうかな? まあ一人にしては広すぎるかもね」
瑞貴が鍵を開けて二人をリビングに案内し、源田は持っていた買い物袋をテーブルに降ろすと腕をまくる。
「よし。じゃあ瑞貴も手伝ってくれるか?」
「もちろん」
「ムッ…俺も手伝う!」
瑞貴は普通に言っただろうが佐久間は妬いたから発言したのだろう。嫉妬心が丸見えだし、思いっきり顔に出ている。二人っきりでキッチンに立てると思った源田は少し残念そうにしつつも頷いた。
はしご車を部室の近くに移動させ、ある程度高く上げたテラスに円堂がボールのカゴごと乗っていた。
「いっくぞー!」
「オウッ!」
円堂がボールを投げ、染岡がジャンプして蹴り返すが空中でのバランスが取れずボールはあまり勢いのないままギリギリで円堂の元へ返った。
「もっと強く!」
「よっしゃ!もういっちょ来い!」
「よーし!」
円堂はもう一度ボールを投げるが、今度は別の方向へ飛んでいった。
「お前どこ投げてんだよ! ふざけるなボール拾いかよ俺は!」
文句を言いつつも染岡はちゃんと拾って帰ってきた。瑞貴は雷門中のユニフォームを着た土門が秋のそばに行っているのを確認すると再び特訓に目を向ける。
「次、瑞貴!」
「うん!」
円堂が落としたボールを瑞貴は得意分野な跳飛力で高く飛び、見事空中でオーバーヘッドを使って円堂にボールを返した。
「さすが瑞貴だな!」
「ありがとう!」
「風丸ー! 行くぞー!」
「オウッ!」
「――よー、精が出るなぁ」
周りからしたら意味不明な特訓を褒めてくれたのは用務員の古株だ。彼は転校したての瑞貴でも接してくれた優しい人だ。円堂も彼の存在に気づくと手を止める。
「古株さん!」
「この間の尾刈斗中との試合、見せてもらったよ。よかったなぁ……まるで『イナズマイレブン』の再来だなぁ」
「イナズマイレブン?」
知らない言葉にキョトンとすると、古株は意外そうな顔をした。
「おいおい。円堂大介の孫が知らないのか? イナズマイレブンのことを」
練習は一時中断。部員全員で『イナズマイレブン』のことを聞くべく古株を中心に部室のそばで円になって座る。
「イナズマイレブンっていうのは四十年前に雷門中学にあった伝説のサッカーチームだ。フットボールフロンティア優勝目前だったのに、あんなことがあって……」
「えっ?」
最後の言葉に円堂が反応をすると古株は慌てながらも「なんでもない」と言って話を続ける。
「とにかくスゴい連中だった! あいつらなら世界を相手にしたって戦えたはずだよ」
「……クゥ~!」
目を輝かせた円堂は体が震えたかと思うと嬉しそうに叫んでハシャぐ。
「カッコいいー! ちょーぜってーカッコいい――っ!!」
あまりの喜びように両隣にいた瑞貴と風丸は少し驚いた。
「イナズマイレブンかぁ……」
「そうさ! お前さんは伝説のチームの血を受け継いでいるんだ」
「えっ、じいちゃんも?」
「円堂大介はイナズマイレブンの監督だ! まさにサッカーそのもののような男だったよ」
憧れている祖父の名前が出てきたことに、円堂はさらに喜んだ。
「よーし! 俺絶対、イナズマイレブンみたいになってやる! じいちゃんみたいに!」
「一人でなる気かよ?」
風丸が声をかける。円堂はぐるりと部員の顔を見ると、みんなやる気満々の顔をしていた。それに円堂はまた嬉しそうに顔を綻ばせた。
「もちろんみんなでさ、なっ!」
「「「「「オウッ!!」」」」」
部員たちはそろって声を上げると、瑞貴は微笑ましくて目を閉じてクスリと笑う。
「みんななら、きっとなれるよ」
「なーに言ってんだよ瑞貴!」
瑞貴が円堂を見ると彼は太陽のような笑顔で笑う。
「お前も一緒だよ!」
円堂と同じようにみんなを見てみると、全員笑いながら頷いた。瑞貴は目頭が熱くなりそうだったがなんとか抑えて笑顔になる。
「ありがとう!」
「俺たちは、イナズマイレブンみたいになってみせる!」
☆☆☆☆☆
練習も終わって夕飯の材料を買いにスーパーにやってきた瑞貴。今日は肉じゃがでも作ろうかとジャガイモに手を伸ばすと、同じジャガイモに手を伸ばした手に気づき持ち主を見ると見慣れた顔があった。
「幸次郎?」
「ん? 瑞貴じゃないか」
「オーイ源田ー。何やって……――瑞貴!?」
「次郎も。偶然だね」
帝国学園サッカー部の源田幸次郎に引き続き、佐久間次郎もやってきた。尾刈斗中との試合以来会っていないので久しぶりのような気がする。
瑞貴は源田の手に持っている買い物カゴに気づいた。
「ひょっとして幸次郎も買い物に?」
「ああ。今日は俺も佐久間も一人だからな。せっかくだから二人で食べようと思って」
「瑞貴もそうなのか?」
「ううん。私は一人暮らしだから」
返ってきた返事に佐久間と源田は驚いた。女子中学生が一人暮らしなど珍しい。
「両親は幼い頃に亡くなって、弟は親戚の家に引き取られたから私一人なんだ……」
思わずうつむいて言ってしまうと源田と佐久間は申し訳なさそうな顔をする。それに気づいた瑞貴は慌てて二人に近寄った。
「そんな顔しないで! あっ、よかったらうちで一緒に食べない?」
「「えっ!?」」
話を変えようと出した提案に、二人は別の意味で面食らった。
「うちには誰もいないし気にする必要ないよ。二人がよかったらだけど――」
「行く!」
「じゃあ、お邪魔させてもらおうか」
即答した佐久間に驚き、次いで源田を見ると彼も頷いたので三人で夕食にすることになった。
――瑞貴の家はなんと二人とあまり距離が離れていなかった。佐久間と源田は普通より大きな一軒家に目を瞠った。
「デカいな」
「そうかな? まあ一人にしては広すぎるかもね」
瑞貴が鍵を開けて二人をリビングに案内し、源田は持っていた買い物袋をテーブルに降ろすと腕をまくる。
「よし。じゃあ瑞貴も手伝ってくれるか?」
「もちろん」
「ムッ…俺も手伝う!」
瑞貴は普通に言っただろうが佐久間は妬いたから発言したのだろう。嫉妬心が丸見えだし、思いっきり顔に出ている。二人っきりでキッチンに立てると思った源田は少し残念そうにしつつも頷いた。