プロローグ
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それはある日突然のことだった。
「行ってきまーす! ……といっても、誰もいないんだけどね」
元気よく家の玄関から出た少女は少し寂しげに呟いた。
彼女の名前は井上瑞貴。ごく普通の中学に通う二年生で頭も良くスポーツ万能の明るい少女。容姿だけでなく性格も良いので男女問わずに人気があるのだ。しかし本人は自分のことに関しては鈍感なので全く気づいていない。
「瑞貴~、おはよう」
「あっ、綾香ちゃん。おはよう」
彼女は瑞貴の幼馴染であり親友の加藤綾香。瑞貴と同じ中学二年生だ。
「ねえねえ、瑞貴。私昨日『イナズマイレブン』のDVDを買ったんだよ」
イナズマイレブン――超次元サッカー物語でゲームからアニメ、マンガ、映画、舞台にもなっている今や子供から大人まで大人気なのだ。
「そうなんだ。どこらへんのお話?」
「第二期の豪炎寺くん復活の話があるやつ! あのときのプレーが綺麗でカッコいいから、いつでも見れるように買っちゃった!」
「おーい。戻ってこーい」
「ハッ!」
綾香はキラキラと目を輝かせながら熱く語る。少し現実から離れている親友に瑞貴は溜息をつきながら肩を叩いた。綾香もすぐに我に返って謝ってきた。
「綾香ちゃんは豪炎寺が本当に好きだね」
「もちろん! 瑞貴は?」
「私は基本的にどの人も好きだな」
二人がイナズマイレブンのことで盛り上がっていると瑞貴がふと何かに気づいて目を向けた。
「――あっ」
「どうしたの?」
瑞貴が指した方向は、男の人が四つん這いになってキョロキョロと頭を動かしている。傍目から見れば怪しい人だ。
「……どこにいったんだ~? 確かにこの辺に落ちたと思ったんだけど」
どうやら何か落したようだ。そう瑞貴が思っていると足元が太陽の光に反射してキラリと光った。
「あっ」
「瑞貴?」
下を向くと翼の形をしたバッジが落ちていた。瑞貴はそれを拾い、青年の元へ歩き出す。綾香が呼び掛けたが瑞貴は気にせず青年の肩を叩いた。
「あの、探しているのってこれですか?」
「えっ?」
振り向いた男は金髪に近い少し襟足の跳ねた長髪に目鼻が整っている美青年だった。
しかし瑞貴は躊躇いもせず青年にバッジを見せると、男は驚いたように目を見開き飛び上がらんばかりに立ち上がって笑顔になる。
「これこれ! このバッジをずっと探してたんだよ。ありがとう! 本当にありがとう!」
「いえ、どういたしまして」
瑞貴が男に微笑みかけると、うしろから「瑞貴~」という綾香の声が聞こえたので男に「失礼します」と言って頭を下げて綾香元へ駆けて行き、二人は青年の横を通る。
青年から少し離れると、綾香がチラリとうしろを向き小声で瑞貴に話しかける。
「ねっ、今の人さイケメンじゃなかった?」
「う~ん。確かにカッコよかったけど、私は興味ないや」
「そりゃそうよね。瑞貴は可愛いし」
「綾香ちゃんのほうが可愛いよ? 私なんて男勝りで平凡だし」
その答えに綾香は深い溜息を吐くと瑞貴は頭に「?」のマークをつけて首を傾げる。
瑞貴の顔は確かに十人並みに近いが、笑うと可愛いし性格も良い方なので少なからず人気がある。告白してくれるまで気づかないほど鈍いから、綾香もある意味苦労しているのだ。
「そういえば今日の体育はなんだっけ?」
「今日はサッカーだよ。私スゴい楽しみなんだ!」
「瑞貴は昔からサッカーが好きだよね。しかもうまいし」
「昔から男子と一緒にスポーツをやってたからね~」
「イナズマイレブンの世界にトリップしたら結構活躍するんじゃない?」
「まっさかー、私は超次元サッカーできないし。それに夢小説とかじゃないんだから現実にはありえないよ」
それもそうだね、と笑いながら綾香が言う。それから瑞貴と綾香は楽しそうに学校へと向かって行った。……瑞貴のうしろ姿を先程の青年がずっと見ていたのでその会話は全て聞かれていた。
思えばこれが全ての始まりなのかもしれない――。
「行ってきまーす! ……といっても、誰もいないんだけどね」
元気よく家の玄関から出た少女は少し寂しげに呟いた。
彼女の名前は井上瑞貴。ごく普通の中学に通う二年生で頭も良くスポーツ万能の明るい少女。容姿だけでなく性格も良いので男女問わずに人気があるのだ。しかし本人は自分のことに関しては鈍感なので全く気づいていない。
「瑞貴~、おはよう」
「あっ、綾香ちゃん。おはよう」
彼女は瑞貴の幼馴染であり親友の加藤綾香。瑞貴と同じ中学二年生だ。
「ねえねえ、瑞貴。私昨日『イナズマイレブン』のDVDを買ったんだよ」
イナズマイレブン――超次元サッカー物語でゲームからアニメ、マンガ、映画、舞台にもなっている今や子供から大人まで大人気なのだ。
「そうなんだ。どこらへんのお話?」
「第二期の豪炎寺くん復活の話があるやつ! あのときのプレーが綺麗でカッコいいから、いつでも見れるように買っちゃった!」
「おーい。戻ってこーい」
「ハッ!」
綾香はキラキラと目を輝かせながら熱く語る。少し現実から離れている親友に瑞貴は溜息をつきながら肩を叩いた。綾香もすぐに我に返って謝ってきた。
「綾香ちゃんは豪炎寺が本当に好きだね」
「もちろん! 瑞貴は?」
「私は基本的にどの人も好きだな」
二人がイナズマイレブンのことで盛り上がっていると瑞貴がふと何かに気づいて目を向けた。
「――あっ」
「どうしたの?」
瑞貴が指した方向は、男の人が四つん這いになってキョロキョロと頭を動かしている。傍目から見れば怪しい人だ。
「……どこにいったんだ~? 確かにこの辺に落ちたと思ったんだけど」
どうやら何か落したようだ。そう瑞貴が思っていると足元が太陽の光に反射してキラリと光った。
「あっ」
「瑞貴?」
下を向くと翼の形をしたバッジが落ちていた。瑞貴はそれを拾い、青年の元へ歩き出す。綾香が呼び掛けたが瑞貴は気にせず青年の肩を叩いた。
「あの、探しているのってこれですか?」
「えっ?」
振り向いた男は金髪に近い少し襟足の跳ねた長髪に目鼻が整っている美青年だった。
しかし瑞貴は躊躇いもせず青年にバッジを見せると、男は驚いたように目を見開き飛び上がらんばかりに立ち上がって笑顔になる。
「これこれ! このバッジをずっと探してたんだよ。ありがとう! 本当にありがとう!」
「いえ、どういたしまして」
瑞貴が男に微笑みかけると、うしろから「瑞貴~」という綾香の声が聞こえたので男に「失礼します」と言って頭を下げて綾香元へ駆けて行き、二人は青年の横を通る。
青年から少し離れると、綾香がチラリとうしろを向き小声で瑞貴に話しかける。
「ねっ、今の人さイケメンじゃなかった?」
「う~ん。確かにカッコよかったけど、私は興味ないや」
「そりゃそうよね。瑞貴は可愛いし」
「綾香ちゃんのほうが可愛いよ? 私なんて男勝りで平凡だし」
その答えに綾香は深い溜息を吐くと瑞貴は頭に「?」のマークをつけて首を傾げる。
瑞貴の顔は確かに十人並みに近いが、笑うと可愛いし性格も良い方なので少なからず人気がある。告白してくれるまで気づかないほど鈍いから、綾香もある意味苦労しているのだ。
「そういえば今日の体育はなんだっけ?」
「今日はサッカーだよ。私スゴい楽しみなんだ!」
「瑞貴は昔からサッカーが好きだよね。しかもうまいし」
「昔から男子と一緒にスポーツをやってたからね~」
「イナズマイレブンの世界にトリップしたら結構活躍するんじゃない?」
「まっさかー、私は超次元サッカーできないし。それに夢小説とかじゃないんだから現実にはありえないよ」
それもそうだね、と笑いながら綾香が言う。それから瑞貴と綾香は楽しそうに学校へと向かって行った。……瑞貴のうしろ姿を先程の青年がずっと見ていたのでその会話は全て聞かれていた。
思えばこれが全ての始まりなのかもしれない――。