秘伝書はどこだ!
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「君も物好きですね。こんな弱小クラブにわざわざ入部したいなんて」
言いたいことだけ言って帰る冬海先生に土門は「何あれ」とでもいうかのように指を指す。
「――土門くん」
土門に声をかけたのは木野秋だった。土門も秋の登場に驚いている。
「あれ秋じゃない。お前雷門中だったの!?」
「なんだ? 知り合い?」
「うん。昔ね」
秋がそういうと円堂の隣に瑞貴がやってきた。正体を知っているとはいえ、社交辞令として挨拶はするべきだ。
「私、二年の井上瑞貴といいます。どうぞ瑞貴と呼んでください。よろしくお願いします」
「!」
土門は一瞬目を見やるが、次いで驚いたように声を上げた。
「君がサッカー部の女子選手なんだ。俺が転校したクラスでも結構有名だよ。あっ、俺のことも名前で呼んで良いから。敬語もナシ!」
「あっ、うん!」
「とにかく!」
瑞貴が頷くと円堂が土門の手をつかみグルグルと回す。回されている土門は苦笑気味だ。
「歓迎するよ! フットボールフロンティアに向けて、一緒にがんばろー!」
「相手野生中だろ? 大丈夫かなぁ」
「えっ?」
その言葉に円堂はキョトンとした顔で思わず手を止めた。
「なんだよ。新入りがえらっそーに」
「……竜吾」
さっそく新人いびり(?)をしてきた染岡竜吾に瑞貴は目を光らせ、『どっちが偉そうなんだ』というオーラを発すると、染岡はビクッと肩を震わせて黙った。尾刈斗中の試合前にもあったので、これには染岡も形無しなのだ。
しかし土門はそんな態度にも気にせず腕をほぐすかのように回す。
「前の中学で、戦ったことあるからね。瞬発力・機動力とも、大会屈指だ。特に高さ勝負にはめっぽう強いのが特徴だ」
「……ちょ、ちょっとトイレ」
「戦う前からビビッてどうする!」
土門の説明に野生中の強さを感じた壁山が立ち上がるが、染岡がそれを叱咤した。
「高さなら大丈夫だ。俺たちにはファイアトルネード、ドラゴンクラッシュ、そして……ドラゴントルネード、シューティングアローがあるんだぜ!」
「どうかなぁ……?」
円堂が現在雷門中サッカー部にある、シュート系の必殺技を一つ一つ指を立てて言うが土門の疑問の声も上がった。
「あいつらのジャンプ力、とんでもないよ。ドラゴントルネードだって上から押さえこまれちゃうかも」
「ンなわけないだろう」
手で説明してくれる土門に染岡がそう言うと、瑞貴はまた睨んでやろうかと思うが――。
「――土門の言う通りだ」
声を上げたのは豪炎寺修也だ。壁と窓に背を当てて腕を組みながら言う。
「俺もあいつらと戦ったことがある。空中戦だけなら帝国をも凌ぐ。あのジャンプ力で上をとられたら……」
その先は言わなかったら誰も言わずともわかることだ。
「そんなぁ……」
「ドラゴントルネードが効かないかもしれないなんて……」
「や、やっぱりトイレ――」
少林寺と宍戸佐吉が浮かない顔をして、壁山が立ち上がろうとすると――。
「新・必殺技だ――っ!!」
腕を上げて大きな声を上げた円堂。部員一同は彼に注目する。
「新しい必殺技を生み出すんだよ! 空を制するんだ!」
円堂は空に向けて手を上げて叫ぶとコンクリートや鉄塔で作られた部室のせいか、エコーまで聞こえる。瑞貴は笑いながら溜息を吐くと両腕を組む。
「じゃあ具体的な練習を考えないとね」
「具体的って……どうするでヤンスか?」
「空中戦がポイントだから、上から落とすのがいいと思うけど……。屋上や校舎からやったら危ないし、周りが狭いからムリだ……」
「だったら、はしご車を使って空からボールを投げてそれをジャンプして蹴り返す特訓がいいんじゃない?」
「へっ?」
「でも……はしご車なんてどこに……」
「ここにあるよ」
「「「「「ハッ?」」」」」
栗松鉄平と影野仁に引き続き、部員一同は口を開けてあんぐりとしていた。必殺技を作ろうと言っていた円堂までもだ。
「夏未ちゃんが、今朝工事関係ではしご車を使ってるって言ってたから。私、借りれるよう交渉しに行ってくる」
「練習もいいけどさぁ、瑞貴ちゃんは大丈夫なの?」
「えっ?」
そう土門が呟くと再び集まる視線。これはアニメにはない展開だったのでさすがの瑞貴も首を傾げた。
「公式試合って女子は出場できないんだよ。帝国学園や尾刈斗中との試合は練習試合だったから出れたけど」
「「「「「え――っ!?」」」」」
必殺技が通用しないかもしれない上、ストライカーの三人の内一人が減るという事実にまた部員一同は落ち込む。これには円堂も落ち込むほどだった。……本人を除いて。
「ああ。それは大丈夫。ほら」
瑞貴がポケットから出した物に全員が目を向ける。最初に驚いて声を発したのは目金欠流だった。
「こ、これはオフィシャルライセンスカード!」
「なんだそれ?」
「円堂くん、知らないんですか!? これはサッカー協会が認めた者にしか渡さないカードで、サッカー協会は瑞貴さんに公式試合に出る許可したということですよ!」
難しいことはわからない円堂だが、『公式試合に出る許可』と言う部分だけは食いついた。
「ということは、瑞貴も試合に出られるんだな!」
「そういうこと。じゃ、夏未ちゃんのところに行ってくるからみんなはアップでもしてて」
「俺も行くよ。サッカー部キャプテンだし」
「じゃあ――」
行こうか、と言おうとすると円堂がまた瑞貴の隣を経つ。朝の出来事を思い出して嫌な汗が伝うと、円堂は瑞貴の手を取った。
「行ってくる!」
「あっ、ちょ、こら、みぎゃああぁぁぁ――……!」
瑞貴の悲鳴が遠のくと部室は異様な雰囲気に包まれた。
風丸は目元を暗くして風もないのにポニーテールが浮いてるし、豪炎寺はなんとも思ってないという顔をしているが背後に魔神が登場しかけているし、半田と松野空介は顔をしかめ、マネージャー組は眉をしかめていた。
その光景に影野と目金を含む一年組は震え上がり、染岡はこんなんで大丈夫かよと思いながら額に手を当て、土門は幼馴染の変化にビクビクするが、部室の外を見ると先程とは打って変わって真剣な表情をする。
(確かに空中のシュートは全て押さえ込まれる。……シューティングアロー以外はね)
言いたいことだけ言って帰る冬海先生に土門は「何あれ」とでもいうかのように指を指す。
「――土門くん」
土門に声をかけたのは木野秋だった。土門も秋の登場に驚いている。
「あれ秋じゃない。お前雷門中だったの!?」
「なんだ? 知り合い?」
「うん。昔ね」
秋がそういうと円堂の隣に瑞貴がやってきた。正体を知っているとはいえ、社交辞令として挨拶はするべきだ。
「私、二年の井上瑞貴といいます。どうぞ瑞貴と呼んでください。よろしくお願いします」
「!」
土門は一瞬目を見やるが、次いで驚いたように声を上げた。
「君がサッカー部の女子選手なんだ。俺が転校したクラスでも結構有名だよ。あっ、俺のことも名前で呼んで良いから。敬語もナシ!」
「あっ、うん!」
「とにかく!」
瑞貴が頷くと円堂が土門の手をつかみグルグルと回す。回されている土門は苦笑気味だ。
「歓迎するよ! フットボールフロンティアに向けて、一緒にがんばろー!」
「相手野生中だろ? 大丈夫かなぁ」
「えっ?」
その言葉に円堂はキョトンとした顔で思わず手を止めた。
「なんだよ。新入りがえらっそーに」
「……竜吾」
さっそく新人いびり(?)をしてきた染岡竜吾に瑞貴は目を光らせ、『どっちが偉そうなんだ』というオーラを発すると、染岡はビクッと肩を震わせて黙った。尾刈斗中の試合前にもあったので、これには染岡も形無しなのだ。
しかし土門はそんな態度にも気にせず腕をほぐすかのように回す。
「前の中学で、戦ったことあるからね。瞬発力・機動力とも、大会屈指だ。特に高さ勝負にはめっぽう強いのが特徴だ」
「……ちょ、ちょっとトイレ」
「戦う前からビビッてどうする!」
土門の説明に野生中の強さを感じた壁山が立ち上がるが、染岡がそれを叱咤した。
「高さなら大丈夫だ。俺たちにはファイアトルネード、ドラゴンクラッシュ、そして……ドラゴントルネード、シューティングアローがあるんだぜ!」
「どうかなぁ……?」
円堂が現在雷門中サッカー部にある、シュート系の必殺技を一つ一つ指を立てて言うが土門の疑問の声も上がった。
「あいつらのジャンプ力、とんでもないよ。ドラゴントルネードだって上から押さえこまれちゃうかも」
「ンなわけないだろう」
手で説明してくれる土門に染岡がそう言うと、瑞貴はまた睨んでやろうかと思うが――。
「――土門の言う通りだ」
声を上げたのは豪炎寺修也だ。壁と窓に背を当てて腕を組みながら言う。
「俺もあいつらと戦ったことがある。空中戦だけなら帝国をも凌ぐ。あのジャンプ力で上をとられたら……」
その先は言わなかったら誰も言わずともわかることだ。
「そんなぁ……」
「ドラゴントルネードが効かないかもしれないなんて……」
「や、やっぱりトイレ――」
少林寺と宍戸佐吉が浮かない顔をして、壁山が立ち上がろうとすると――。
「新・必殺技だ――っ!!」
腕を上げて大きな声を上げた円堂。部員一同は彼に注目する。
「新しい必殺技を生み出すんだよ! 空を制するんだ!」
円堂は空に向けて手を上げて叫ぶとコンクリートや鉄塔で作られた部室のせいか、エコーまで聞こえる。瑞貴は笑いながら溜息を吐くと両腕を組む。
「じゃあ具体的な練習を考えないとね」
「具体的って……どうするでヤンスか?」
「空中戦がポイントだから、上から落とすのがいいと思うけど……。屋上や校舎からやったら危ないし、周りが狭いからムリだ……」
「だったら、はしご車を使って空からボールを投げてそれをジャンプして蹴り返す特訓がいいんじゃない?」
「へっ?」
「でも……はしご車なんてどこに……」
「ここにあるよ」
「「「「「ハッ?」」」」」
栗松鉄平と影野仁に引き続き、部員一同は口を開けてあんぐりとしていた。必殺技を作ろうと言っていた円堂までもだ。
「夏未ちゃんが、今朝工事関係ではしご車を使ってるって言ってたから。私、借りれるよう交渉しに行ってくる」
「練習もいいけどさぁ、瑞貴ちゃんは大丈夫なの?」
「えっ?」
そう土門が呟くと再び集まる視線。これはアニメにはない展開だったのでさすがの瑞貴も首を傾げた。
「公式試合って女子は出場できないんだよ。帝国学園や尾刈斗中との試合は練習試合だったから出れたけど」
「「「「「え――っ!?」」」」」
必殺技が通用しないかもしれない上、ストライカーの三人の内一人が減るという事実にまた部員一同は落ち込む。これには円堂も落ち込むほどだった。……本人を除いて。
「ああ。それは大丈夫。ほら」
瑞貴がポケットから出した物に全員が目を向ける。最初に驚いて声を発したのは目金欠流だった。
「こ、これはオフィシャルライセンスカード!」
「なんだそれ?」
「円堂くん、知らないんですか!? これはサッカー協会が認めた者にしか渡さないカードで、サッカー協会は瑞貴さんに公式試合に出る許可したということですよ!」
難しいことはわからない円堂だが、『公式試合に出る許可』と言う部分だけは食いついた。
「ということは、瑞貴も試合に出られるんだな!」
「そういうこと。じゃ、夏未ちゃんのところに行ってくるからみんなはアップでもしてて」
「俺も行くよ。サッカー部キャプテンだし」
「じゃあ――」
行こうか、と言おうとすると円堂がまた瑞貴の隣を経つ。朝の出来事を思い出して嫌な汗が伝うと、円堂は瑞貴の手を取った。
「行ってくる!」
「あっ、ちょ、こら、みぎゃああぁぁぁ――……!」
瑞貴の悲鳴が遠のくと部室は異様な雰囲気に包まれた。
風丸は目元を暗くして風もないのにポニーテールが浮いてるし、豪炎寺はなんとも思ってないという顔をしているが背後に魔神が登場しかけているし、半田と松野空介は顔をしかめ、マネージャー組は眉をしかめていた。
その光景に影野と目金を含む一年組は震え上がり、染岡はこんなんで大丈夫かよと思いながら額に手を当て、土門は幼馴染の変化にビクビクするが、部室の外を見ると先程とは打って変わって真剣な表情をする。
(確かに空中のシュートは全て押さえ込まれる。……シューティングアロー以外はね)