「見せてやれよ。さっきの」

「強力なシュートだったよね」

「ただ見せるだけじゃつまんねぇな」

「というと？」


鬼道が問いかければ、南雲はボールを上げて手でキャッチする。


「俺をテストしてくんねぇか？　あんたらのチームにふさわしい強さかどうか、その目で確かめてほしいねぇ。雷門イレブンVS俺！　どうよ！　あんたらから１点とれば俺の勝ち。テストに合格だ」

「……テストしてくれって言う割に、ずいぶん仕切るよね」


塔子の的確な言葉に秋は苦笑する。


「大した自信ね」

「自信があるから言ってんだ」

「よし！　やろう、テスト！」

「うわっ、なんか緊張するっス！」

「立向居」

「はい！」


円堂に呼ばれたので、立向居は緊張しながら背筋をビシッと伸ばす。


「キーパー、やってみるか？」

「いいんですか!?」

「おぉっと、それはナシだ。俺は宇宙人とやっつけた奴らとやりてぇんだ。本気(ﾏｼﾞ)で頼むぜ？」


実力的には立向居より円堂が上だが、南雲はそれを承知で言っている。自分に絶対的な自信があるから言えるのだろう。

すると南雲は瑞貴に顔を向けた。それに瑞貴は気づくと、木暮も同じく気づいて瑞貴の前に守るように立って睨みつける。だけど南雲はお構いなしで瑞貴に近づいた。


「もちろん、あんたも出てくれるよな？」

「ええ。あなたがテストでそれを望むなら、私は構いません」


いつも通りを保ちつつ、瑞貴は南雲に微笑みながらそう答える。対して南雲は面白そうに笑っているだけだった。



――土方にサッカーコートへ案内してもらい、雷門イレブンはユニフォームに着替えた。

今回立向居は見学すると言うことで、立向居はベンチ入りして他のみんなは南雲に対峙するようにピッチに立つ。


「準備はいいかね？」

「ンなモンとっくにできてるよ！　円堂！　井上！　覚悟しな！」


古株の質問に答えた南雲は円堂と瑞貴に向かって言う。

そして開始のホイッスルが鳴り響き、南雲が少しボールを蹴ると、雷門イレブンはボールを奪うべく走り出す。


「ふっ！」

「なんや!?」


南雲はボールを高く蹴ったあと、自らも高く飛んだ。あまりの高さにリカを始め目金も土門も驚く。


「飛んだ！　飛びましたよ!?」

「こんなのさっきは見せなかったぜ!?」

「スゲーな」

「空中戦が得意なんでしょうか？」


土方も立向居も感心する中、瑞貴は口の端を吊り上げた。


「空中戦なら、私だって得意だよ！　はっ！」

「何っ!?」


瑞貴も同じくらい高く飛ぶと南雲は少し驚く。だけどお互いが向かい合った途端、二人は笑っていた。


「やるじゃねぇか」

「そっちもね」

｢｢はっ！｣｣


瑞貴と南雲は同時にボールを蹴る。激しいエネルギーがぶつかり合う中、瑞貴があと一歩で力負けしてしまったので、ボールは炎をまといながら雷門エリアに向かう。


「ディフェンス！」

「オウッ！」

「よし！」

｢｢あわわわわ｣｣


鬼道の指示に塔子と吹雪は元気よく答えるが、壁山と木暮は炎のシュートに驚いている。


「ザ・タワー！」


塔子がザ・タワーを放つと南雲は着地した途端すぐさま飛んで再びシュートを撃つ。


「アイスグランド！」


吹雪が放ったアイスグランドはボールを捕まえられず、空中に弾かれたのですぐに追う。

だけど南雲は吹雪より高く飛んでそのままキープした。……その瞬間、吹雪の目はわずかにオレンジ色になっていた。