キャプテンの試練!
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「でも違った。吹雪は一人で悩んでいたんだ。そんな吹雪に、俺たちは無責任にアツヤの力ばかり求めてしまった。吹雪を…追い詰めてしまったんだ……」
「「「「「ファイト! ファイト!」」」」」
グラウンドから聞こえる仲間の声。円堂はランニングしているみんなを見て、フェンスに手をかける。
「風丸……! 瑞貴……!」
七人しかいなかったサッカー部に参加してくれたのは、風丸だった。誰よりもチームのことを考えて、円堂の足りない所を支えてくれた。
『すまない、円堂……。俺、お前みたいに強くないんだ……』
「なのに俺は、あいつのことをわかってなかった……。雷門から離れてしまうほど悩んでいたのに……」
挙句の果てに自分の相棒である、井上瑞貴のこともわかってなかった。男子に負けないほどのプレーもできて、ずっと共にチームを引っ張っていたと思った。
「だけど、俺が知らないときも瑞貴はみんなをずっと支えていた。相棒や副キャプテンだからと、ずっと甘えていたんだ。それが気づかない内に…瑞貴の重荷になっていた……」
『瑞貴は人に頼ることをなかなかしない。口ではよく「頼りにしてる」と言ってるが、「頼る」物差しがわからないんだろう。誰に対しても、いつも負担をかけさせまいとしている』
瑞貴も吹雪同様に倒れてから目覚めていない。
「俺がしっかりしていたら、風丸が離れていくことも、瑞貴が倒れることもなかったのかも……」
いつの間にか天候が悪くなり、雷も鳴って雨が降り始めたのに、円堂はそこから動こうとしなかった。
「サッカーは俺に楽しさを教えてくれた。友達をたくさん連れてきてくれた……」
ガシャン!
円堂は拳をフェンスに当てる。その瞳からは悔しさや悲しさが入り混じっている。
「なのに……今は友達が去っていく……。サッカーと、どう向き合っていけばいいんだ!? 俺は、どうしたら……!」
顔をうつむける円堂。そんな彼をみんなは心配して屋上に来たが、なんと声をかければいいかわからず、入口に立っていた。
「円堂……」
「キャプテン……」
折り畳み傘だけでも渡そうとした春奈を、鬼道は肩をつかんで引き止め、静かに首を横に振った。
「あんなキャプテン、見てるの辛いっス……」
それは壁山もみんなも同じだった。今まで落ち込むことも悩むこともあったが、ここまでじゃなかった。……そんな中で、栗松は何かを思うように顔をうつむけた。
☆☆☆☆☆
次の日。昨夜と違って空は晴れていたが、雷門メンバーはそうじゃなかった。
「円堂は昨日からあのままか……」
「うん。食事もほとんど取ってなくて……」
鬼道や秋をはじめ、みんな円堂がいる屋上を見上げる。彼は昨日と同じ場所に座っているだけだった。
「おはようございまーす!」
そんな空気の中に明るい声で入って来たのは、立向居勇気だった。彼はみんなを見渡すと不思議に思って声をかける。
「あれ? 円堂さんはどこですか? 一緒に新しい技の特訓をしようって約束したんです!」
立向居は円堂が何故ここにいないのかも、その理由も知らない。とはいえ伝えるのは酷だったので、秋はなんとか誤魔化す。
「円堂くんは、今ちょっと……」
「あっ、どこかに出かけているんですね。ひょっとして、一人で特訓だったりして!」
「だといいんだけど」
そのほうがいくらかマシだと思った雷門夏未が呟く。聞き取った立向居は「えっ?」と首を傾げると、秋は再び誤魔化す。
「いえ、なんでもないの。とにかく、今日はごめんなさい」
「いいんです。じゃあ、伝言お願いします」
「ええ」
「円堂さんが、究極奥義・正義の鉄拳を身につける前に、俺がマジン・ザ・ハンドを完成させます! 負けませんよ! ――以上です」
「わかったわ」
「それと、井上さんのお見舞いにも行っていいですか? 急に倒れたって聞いて心配で……」
「ええ。瑞貴ちゃんも喜ぶと思うわ」
「ありがとうございます! 失礼します!」
立向居は礼をしてその場を去る。きっとこれから特訓を始めるんだろう。
「「「「「ファイト! ファイト!」」」」」
グラウンドから聞こえる仲間の声。円堂はランニングしているみんなを見て、フェンスに手をかける。
「風丸……! 瑞貴……!」
七人しかいなかったサッカー部に参加してくれたのは、風丸だった。誰よりもチームのことを考えて、円堂の足りない所を支えてくれた。
『すまない、円堂……。俺、お前みたいに強くないんだ……』
「なのに俺は、あいつのことをわかってなかった……。雷門から離れてしまうほど悩んでいたのに……」
挙句の果てに自分の相棒である、井上瑞貴のこともわかってなかった。男子に負けないほどのプレーもできて、ずっと共にチームを引っ張っていたと思った。
「だけど、俺が知らないときも瑞貴はみんなをずっと支えていた。相棒や副キャプテンだからと、ずっと甘えていたんだ。それが気づかない内に…瑞貴の重荷になっていた……」
『瑞貴は人に頼ることをなかなかしない。口ではよく「頼りにしてる」と言ってるが、「頼る」物差しがわからないんだろう。誰に対しても、いつも負担をかけさせまいとしている』
瑞貴も吹雪同様に倒れてから目覚めていない。
「俺がしっかりしていたら、風丸が離れていくことも、瑞貴が倒れることもなかったのかも……」
いつの間にか天候が悪くなり、雷も鳴って雨が降り始めたのに、円堂はそこから動こうとしなかった。
「サッカーは俺に楽しさを教えてくれた。友達をたくさん連れてきてくれた……」
ガシャン!
円堂は拳をフェンスに当てる。その瞳からは悔しさや悲しさが入り混じっている。
「なのに……今は友達が去っていく……。サッカーと、どう向き合っていけばいいんだ!? 俺は、どうしたら……!」
顔をうつむける円堂。そんな彼をみんなは心配して屋上に来たが、なんと声をかければいいかわからず、入口に立っていた。
「円堂……」
「キャプテン……」
折り畳み傘だけでも渡そうとした春奈を、鬼道は肩をつかんで引き止め、静かに首を横に振った。
「あんなキャプテン、見てるの辛いっス……」
それは壁山もみんなも同じだった。今まで落ち込むことも悩むこともあったが、ここまでじゃなかった。……そんな中で、栗松は何かを思うように顔をうつむけた。
☆☆☆☆☆
次の日。昨夜と違って空は晴れていたが、雷門メンバーはそうじゃなかった。
「円堂は昨日からあのままか……」
「うん。食事もほとんど取ってなくて……」
鬼道や秋をはじめ、みんな円堂がいる屋上を見上げる。彼は昨日と同じ場所に座っているだけだった。
「おはようございまーす!」
そんな空気の中に明るい声で入って来たのは、立向居勇気だった。彼はみんなを見渡すと不思議に思って声をかける。
「あれ? 円堂さんはどこですか? 一緒に新しい技の特訓をしようって約束したんです!」
立向居は円堂が何故ここにいないのかも、その理由も知らない。とはいえ伝えるのは酷だったので、秋はなんとか誤魔化す。
「円堂くんは、今ちょっと……」
「あっ、どこかに出かけているんですね。ひょっとして、一人で特訓だったりして!」
「だといいんだけど」
そのほうがいくらかマシだと思った雷門夏未が呟く。聞き取った立向居は「えっ?」と首を傾げると、秋は再び誤魔化す。
「いえ、なんでもないの。とにかく、今日はごめんなさい」
「いいんです。じゃあ、伝言お願いします」
「ええ」
「円堂さんが、究極奥義・正義の鉄拳を身につける前に、俺がマジン・ザ・ハンドを完成させます! 負けませんよ! ――以上です」
「わかったわ」
「それと、井上さんのお見舞いにも行っていいですか? 急に倒れたって聞いて心配で……」
「ええ。瑞貴ちゃんも喜ぶと思うわ」
「ありがとうございます! 失礼します!」
立向居は礼をしてその場を去る。きっとこれから特訓を始めるんだろう。