激震! 最強のジェネシス!!
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吹雪と瑞貴は病院に運ばれ、みんなもそれに同行した。
二人は別々の病室だが、吹雪の診断が先に終わったので必然的に全員吹雪の病室に集まり、吹雪が寝ているベッドを囲むようにいる。
「ありがとうございました」
廊下で瑞貴の診断が終わった医師が瞳子に結果を伝え、瞳子は吹雪の病室に入る。それに気づいたみんなは、代表として円堂が声をかける。
「監督、瑞貴は……?」
「井上さんも大丈夫よ。今日の試合でムリしたせいだと思うわ。今は看護婦さんが治療しているから、面会はもう少し待っててくれって」
大したことがなく、みんなはホッとし改めて吹雪を見る。
「でもよかったわね。二人共大事に至らなくて……」
「ええ……」
雷門夏未も秋もとりあえず安心する。
「――俺たちがいけなかったでヤンス……」
「えっ?」
「俺たちが止められなかったから、瑞貴さんも吹雪さんも、ムリをして……」
栗松を始め、DFのみんなは自分の実力不足のせいで二人がこうなったと悔やんでいる。すると春奈が「あの……」と声をかけた。
「吹雪先輩、本当にボールを取りに行っただけなんでしょうか?」
「どういうこと?」
「いえ……。ただちょっと……」
「なんだよ? 音無」
気になる言い方だったので円堂が声をかけると、春奈は躊躇いつつも言うことにした。
「私、少し怖かったんです。あのときの……先輩の顔……」
「「「「「!」」」」」
春奈の言葉で、全員ボールを取ろうとした吹雪の顔が脳裏によみがえる。塔子たちも気になっていたようだ。
「確かに、見たことないような顔をしてたな……」
「それに、イプシロンと戦ったときも……。ボールを持ったら感じが変わるのは何度かありましたけど、あのときは……妙に気持ちが高ぶってたように……」
「あっ!」
「どうしたの? 円堂くん」
「実は俺、イプシロン戦のあと吹雪に訊かれたんだ。『僕、変じゃなかった?』って……。でも俺、なんかうまく答えられなくて……」
あのとき円堂は吹雪に『そんなことない』と答えた。
「もしかしたら吹雪の奴、ずっと悩んでいたのかな……?」
「――監督は何か知ってるんじゃないですか? 恐らく瑞貴も」
鬼道の問いに全員瞳子に目を向ける。瞳子は目を反らしたが、その反応で充分だった。
「何か知ってるんですか!? 監督!」
さらに円堂も言葉をかけ、瞳子は一つ目を閉じると決意したように話してくれた。
「吹雪くんには、弟がいたの」
「『いた』……?」
過去形に春奈が言葉を反復すると、瞳子は気にせず続ける。
「アツヤくんと言って、ジュニアチームで吹雪くんと一緒にサッカーをやっていた。兄がボールを奪って、弟がシュートを決める……完璧なディフェンスFWコンビだった。でもある日、事故が起きた」
「事故!?」
「サッカーの試合が終わって車で家に帰る途中、雪崩が……。運よく車から放り出された吹雪くんは助かったけど、アツヤくんとご両親は……」
その先は言わずともわかった。重い空気に包まれる中、一之瀬は呟く。
「そんなことが……」
「そして、それ以来吹雪くんの中にアツヤくんの人格が生まれた」
「アツヤの人格……?」
「吹雪くんの中には、二人の人格が存在するのよ」
「それじゃあもしかして、エターナルブリザードは……」
「アツヤくんの必殺技」
「「「「「えぇっ!?」」」」」
誰もがエターナルブリザードは『吹雪士郎』の必殺技だと思っていた。だからこそ、それは衝撃的だろう。
「つまり、エターナルブリザードを撃つときの吹雪は、アツヤになってたってことか!?」
「でも、本当にそんなことできるんスか!? 二つの人格を使い分けるなんて……」
「難しいでしょうね……。だから、吹雪くんはエイリア学園との過酷な戦いで、その微妙な心のバランスが崩れてしまったのかもしれない……」
「崩れてしまった……」
「ええ」
「『ええ』って、そんな! だったら、どうして吹雪くんをチームに入れたんですか!?」
「っ!」
声を上げた秋の言葉に、瞳子は目を見開いて息を呑む。