しかし本当に完璧とは言えなかった。デザームの左足が若干ズレているのだ。止めたとはいえ、デザームを移動させたことにマキュアもメトロンも驚く。


「奴らのシュートにここまでの威力が!?」

「以前より、一人一人のパワーが格段に上がってる!?」

「まさか、十日間の猶予(ﾕｳﾖ)を与えたのは、奴らが強くなるのを待つため!?　イプシロンを率いるあなたが何故!?」


信じられないように問いかけるゼルの言葉に、デザームはただ一言「最高だ……」と呟いた。

一方で前回の試合よりイプシロンと戦えていることに、風丸も自信を持ち始める。


「やれる……奴らの動きが見える！」

「この調子でガンガンいくぞ！」

「必ず……勝つ！」


瑞貴と円堂もやる気になっていき、再びイプシロンからの攻撃が始まる。


「ガニメデプロトン！」

「マジン・ザ・ハンド！」

「ローズスプラッシュ！」


以前とは違う試合展開、イプシロンがシュートすれば円堂が止め、雷門がシュートすればデザームが止める。０対０のまま時間が進んでいく。


「そうだ……！　この血の湧き立つ感覚こそ、私の求めていたモノだ！」

「あんな楽しそうなデザーム様は初めて見る。何故急に敵を強くしようなどと……――まさか奴らのせいで!?」


ボールを取っては取り返す拮抗した展開、雷門とイプシロン共に披露の色が見え始める。


「……ハッ！」


ふとデザームを見た吹雪。その途端、前回エターナルブリザードを止められた悔しさが出てきてアツヤに変わった。


「いつまで守ってたんだよ！」

「吹雪！　こっちだ！」


アツヤはファドラからボールを奪うと、そのまま鬼道の指示も聞かず上がる。


《吹雪一人で攻め上がって行くー！》

「しまった！」

「吹雪!?」

「完璧じゃなきゃ、俺はいる意味がねぇ！」


デザームを敵視するアツヤの動きを気にしていた瑞貴だが、試合に夢中で警戒を怠っていた。円堂も吹雪の行動に驚く。

攻めてくるアツヤに、ケイソンとタイタンがディフェンスに入る。


「撃たせろ！　こいつは今日のメインディッシュの一人だ！」

「ふざけんな！　くらえ！　エターナルブリザード！」

「待っていたぞ、このシュート……。あのときは遠距離から撃ってあれだけのパワー、この距離ならどれだけ強烈か！」


デザームは両手で円を描くように回してパワーを集める。初めての必殺技の体勢だ。


「ワームホール！」


シュートがネットに吸い込まれたと思いきや、上空から出口が現れてボールがデザームの隣に落ちる。

必殺技を使ったとはいえ、エターナルブリザードがまたしても止められた。特訓でパワーアップもしたのに。


「あの距離で、エターナルブリザードを完璧に止めた！　なんてキーパーだ……！」

「もっと撃ってこい……私を楽しませろ！　井上瑞貴、貴様も撃ってこい！」

「なっ!?」

「貴様も今日のメインディッシュなのだ！」










☆副キャプテン　今日の格言☆



自分の可能性を次々発見して身につけたい



以上!!