「説得なんてムリムリ！」


不動は余裕で歩きながらドリブルをしてくる。


「奴らは心から勝利を望んでいる。勝ちたいと願ってるんだ！　そして好きな女に自分を認めてもらうためにもな！」


鬼道は忌々しげに不動を睨むと、対して不動は鬼道にボールを渡す。


「シュートしてみろよ」

「くっ……おおぉぉおおお!!」


怒りをシュートと共にぶつける鬼道だが、不動はそれを軽くトラップした。

そのまま上がる不動を、鬼道は回り込んで止めようとする。


「何故だ!?　何故あいつらを引き込んだ!?」

「俺は負けるわけにはいかねぇんだよ！」

《鬼道、不動、両者共に熱くなり、どちらも激しいプレー！　どちらも一歩も引かない！》


すると不動の首から紫色の石のペンダントが現れた。それを瞳子は目で捕らえる。


（やはり……！）


しかし勢いのあまり不動と鬼道はお互いの額がぶつかって距離をとったが、すぐに体勢を立て直す。


｢｢うおおおぉぉおおお!!｣｣


中心のボールを両者が蹴り上げようとしたが、対決は互角。ボールは空高く飛んでいった。

そして前半終了のホイッスルが鳴り、真・帝国が１点リードしたままとなった。



☆☆☆☆☆


ハーフタイムの中、佐久間と源田は技のダメージがあり、大量の汗をかきながら肩で息をし続ける。


「おいおい、どうした？　佐久間、源田。もうへばってるのかよ!?」

「任せろ。後半も皇帝ペンギン１号で点を取る」

「ビーストファングで、どんなシュートも止める。そして！」

｢｢必ず勝って認めてもらう！｣｣


佐久間と源田の迷いのない言葉に、不動はニヤリと不気味に笑った。

反対のベンチでは、鬼道を始め雷門イレブンが二人の様子を心配そうに見ていた。


「佐久間……。源田……」

「二人のためには、試合を中止したほうがいいのかも……」

「そうだな！　そうすれば、禁断の技を使わせずに済む！」

「――試合中止は認めないわよ」


秋の意見に賛成した土門だが、瞳子がそれを却下した。


「後半は私の指示に従ってもらうわ。吹雪くんはＦＷに戻って。みんなで勝つためのプレーをしなさい」

「それじゃ、佐久間くんたちが……」

「これは監督命令よ！」


反論は許さない、瞳子はそう言っているのだ。


「私の目的はエイリア学園を倒すこと！　この試合にも負けるわけにはいかない！」

「……試合を続けよう」

「鬼道!?」

「確かに中止すれば、佐久間たちの体を守ることはできる。だが、この試合は佐久間たちの目を覚まさせるための試合……。今のあいつらには、サッカーを通してでなければわかってもらえないんだ。勝つことに、禁断の技など必要ないということを……」


かつて神のアクアを使った世宇子にだって、雷門は必死の努力で勝利をつかんだ。