帝国の逆襲・前編!!
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木暮を加えてキャラバンが進んでいく中、瞳子の携帯が鳴った。差出人は響木正剛。
「影山が脱走し、愛媛に真・帝国学園を設立した!?」
「なんだって!?」
円堂と鬼道だけでなく、影山零治と面識のあるメンバーは驚きを隠せなかった。
「あいつ……まだ性懲りもなくそんなことやってるのかよ!」
「しかも『真・帝国学園』だって!?」
染岡と土門が言う中、鬼道は拳を握って歯を食いしばっていた。珍しい鬼道の様子に搭子も気づく。
「よし、愛媛に行こう!」
「ああ。影山のやろうとしていることをぶっ潰そう!」
「そうよ! あいつを許しちゃいけないわ!」
円堂の提案に土門が賛成し、雷門夏未も同意する。特に夏未は父親のことがあるから尚更だろう。
しかし事情を知らない搭子と吹雪と木暮は頭に『?』を浮かべていた。
「なあ、影山って中学サッカー協会の副会長だったんだろ?」
「そうだ。そして帝国学園の総帥だった。……俺たちのチームの」
搭子が鬼道に質問している中、瑞貴は表情を曇らせた。
「そんな人、何故倒さなきゃならないんだ?」
「勝つためには手段を選ばない奴だったんだよ」
「それも自分の手は汚さず人を使って相手チームを蹴落とそうとする」
円堂と鬼道の知らなかった事実に搭子も顔をしかめる。
「きったねーな」
「ああ。卑怯が服を着て歩いているような男さ」
風丸の言葉に瑞貴は目を伏せた。彼の事情を知っているのは唯一瑞貴だけだからだ。
「それだけじゃない。あいつは勝つために、『神のアクア』を作り出した」
「神のアクア……?」
「人間の体を根本から変えてしまう物さ。神の領域にまで……」
フットボールフロンティア全国大会決勝戦で戦った、世宇子中は神のアクアを得て圧倒的な力で雷門中を苦しめていた。
「結局それが、影山の逮捕に繋がったのよ」
「そいつが脱走したんだ……」
「またサッカーを使って、何か企んでいるのか……!?」
夏未や染岡や円堂たちが気を張りつめる中――。
「うわぁぁああぁぁ~!!」
「塀吾郎!どうしたの!?」
「木暮くんがヒドいんス……。これ、見てくださいよ……」
「「「「「アハハハハッ!!」」」」」
鏡を持って振り向いた壁山の顔には、木暮がやった落書きが施されていた。
「居眠りしてる隙に……って! なんでみんな笑うんスかぁ!?」
「ハハッ。わ、笑ってなんかないよ!」
「ま、守。説得力ないって……アハハハ!」
「瑞貴ちゃんこそ説得力ないよ。フフッ」
先ほどの空気が一変して笑い声がキャラバンに包まれた。
イタズラの張本人である木暮は席から離れ、春奈と搭子の間の通路で笑っている。
「ウッシッシッシッ」
「木暮くん!」
「わっ!」
「シートベルトはちゃんとする席から立たない!守れないなら降りてもらうわよ!」
春奈から怒られた木暮は慌てて席に戻り、シートベルトをすると何事もなかったような顔をする。だいぶ慣れてきたのか、円堂も「しょうがない奴だな」と苦笑する。
「もう!」
「春奈ちゃん!席に座っちゃダメ――」
「えっ?」
ブウウゥゥ―……!
「遅かった……」
瑞貴の制止も甲斐なく、春奈が座った途端に大きな音が鳴った。
顔を真っ赤にさせた春奈が席から取り出したのは、ブーブークッションである。もちろんこれも木暮のイタズラだ。
「木暮くん!!」
「ウッシッシッシッ!」
「夕弥……」
「えっ!?」
低い声に木暮がビクッと肩を震わせると、前の席から黒いオーラを出す瑞貴がこちらを睨んでいる。
木暮と同じ席にいる一之瀬も土門も、自分に向けられているわけでないとわかっていても、その恐ろしさに冷や汗をかいた。
「女の子に大勢の前で恥をかかすなんて……次の休憩所ではみっちりお説教するから!」
「ええぇぇええええ!?」
(((((木暮/くん、ご愁傷様/だぜ……)))))
怒っている瑞貴は怖いから誰も逆らえないので、被害者の春奈も、雰囲気から何かを察した搭子も吹雪も含めて、全員心の中で木暮に合掌した。