かくされた力!
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監督は漫遊寺イレブンから春奈に目を向ける。
「お嬢さん、木暮の心にあなたの言葉はきっと響くはず。今日のお心遣い、本当にありがたいことですじゃ」
次に春奈から瑞貴に顔を向ける。
「そちらのお嬢さんも、チームメイトにすら心を開かなかった木暮が義姉としてあなたを慕っている。それでも充分素晴らしいことですじゃ。あなたにも感謝いたす」
「……はい!」
もしかしたら、木暮は瑞貴に完全に心を開いているわけじゃないかもしれない。でも自分のことを『瑞貴姉』と呼んでくれる彼を、思い出し、瑞貴は監督に向かって強く頷いた。
「監督、木暮を仲間に入れなくてもいいんですか?」
「俺も、あいつは戦力になると思うんです」
イプシロンの攻撃を素早くよけ、偶然とはいえデザームのシュートを止めた。彼の実力を風丸と円堂は評価している。だが……。
「彼が、自分の意志で私たちと行くことを望むのならね」
「賢明なご判断ですじゃ」
「ったく、しょうがねぇ奴だな。なあ、吹雪よ」
染岡は同意を求める。彼は試合が終わると同時にアツヤから吹雪に戻ったが、浮かない顔をしていた。
「どうした?」
「僕…役に立たなかった……」
「ンなこと言ったら俺だって――」
「なんにもできなかったんだ! 瑞貴ちゃんはイプシロンと互角に戦えてたのに! こんなんじゃダメだ! 完璧にならなきゃ……!」
普段温厚な吹雪にしては珍しく声が荒かった。その目はグレーからオレンジになりつつある。
「……やっぱり…奴らと戦うには、もっとパワーが……。……瑞貴よりも…もっと……」
吹雪の言葉を聞いた風丸は力を欲すようになる。
春奈が木暮を追っていくのを見て、自分も木暮が落としたボールを持って追いかけたので、二人の言葉と気持ちには気づかなかった。
……たとえ気づいても、自分と瑞貴の力を比較している彼らに、彼女の言葉が届くかどうかはわからないが。
☆☆☆☆☆
――瑞貴はすっかり木暮と春奈を見失ってしまい、夕方になっても漫遊寺中を彷徨っていた。
「きゃああぁぁあああ!!」
「春奈ちゃん!?」
とある道場の中から、春奈が勢いよく悲鳴を上げながら出て行った。
瑞貴が思わず呆然としていると、入口から木暮が顔を覗かせて頭にはカエルが乗っている。どうやら彼が春奈にカエルでイタズラしたようだ。
「ウッシッシッシッ!」
「ゆ~う~や~?」
「えっ!? 瑞貴姉!」
恐る恐る木暮が振り向くと、仁王立ちしてコメカミに青筋を立てている瑞貴がいた。木暮は逃げ出そうとしたが、すかさず瑞貴が首根っこをつかんだので逃亡失敗した。
「わああぁぁ……って、えっ!?」
木暮は暴れても離れようとしたが、瑞貴は木暮を自分の腕の中に抱き寄せた。身長差があるので抱っこする形になっているが。
「よく逃げなかったね」
「……でも俺、マトモに守ろうとしなかったよ。逃げてばっかりだった……」
「攻撃からは逃げても、試合からは逃げなかった。ピッチの外に出て行かなかっただけで充分だよ。しかもデザームのシュートも止めたし」
あの素早さなら逃げるチャンスは充分あった。でも、木暮は最後までピッチにいて試合に参加していたのだ。
「……瑞貴姉は、ここを出て行くのか?」
「うん。私たちは宇宙人を倒さなきゃならないからね」
「えぇっ!? 行かないでくれよ!」
木暮はギュッと瑞貴に強く抱きつく。初めて信頼できて義姉になってくれたのに、すぐに別れるのは嫌なのだろう。瑞貴は木暮の頭を一つ撫でてゆっくり降ろす。
するとどこからか取り出したメモ帳に書き記してそのページを破る。木暮が不思議に思っていると、そのページを瑞貴に渡された。
「これ、私の携帯の番号とメアド。いつでも連絡をしていいから」
「でも――」
「私だって夕弥と離れるのは心苦しいよ。だけど、地球を守ることはみんなを守ることになる。姉が弟を守らなくてどうするの」
木暮が大きく目を見開くと、瑞貴は微笑んで持ってきたボールを出す。
「お嬢さん、木暮の心にあなたの言葉はきっと響くはず。今日のお心遣い、本当にありがたいことですじゃ」
次に春奈から瑞貴に顔を向ける。
「そちらのお嬢さんも、チームメイトにすら心を開かなかった木暮が義姉としてあなたを慕っている。それでも充分素晴らしいことですじゃ。あなたにも感謝いたす」
「……はい!」
もしかしたら、木暮は瑞貴に完全に心を開いているわけじゃないかもしれない。でも自分のことを『瑞貴姉』と呼んでくれる彼を、思い出し、瑞貴は監督に向かって強く頷いた。
「監督、木暮を仲間に入れなくてもいいんですか?」
「俺も、あいつは戦力になると思うんです」
イプシロンの攻撃を素早くよけ、偶然とはいえデザームのシュートを止めた。彼の実力を風丸と円堂は評価している。だが……。
「彼が、自分の意志で私たちと行くことを望むのならね」
「賢明なご判断ですじゃ」
「ったく、しょうがねぇ奴だな。なあ、吹雪よ」
染岡は同意を求める。彼は試合が終わると同時にアツヤから吹雪に戻ったが、浮かない顔をしていた。
「どうした?」
「僕…役に立たなかった……」
「ンなこと言ったら俺だって――」
「なんにもできなかったんだ! 瑞貴ちゃんはイプシロンと互角に戦えてたのに! こんなんじゃダメだ! 完璧にならなきゃ……!」
普段温厚な吹雪にしては珍しく声が荒かった。その目はグレーからオレンジになりつつある。
「……やっぱり…奴らと戦うには、もっとパワーが……。……瑞貴よりも…もっと……」
吹雪の言葉を聞いた風丸は力を欲すようになる。
春奈が木暮を追っていくのを見て、自分も木暮が落としたボールを持って追いかけたので、二人の言葉と気持ちには気づかなかった。
……たとえ気づいても、自分と瑞貴の力を比較している彼らに、彼女の言葉が届くかどうかはわからないが。
☆☆☆☆☆
――瑞貴はすっかり木暮と春奈を見失ってしまい、夕方になっても漫遊寺中を彷徨っていた。
「きゃああぁぁあああ!!」
「春奈ちゃん!?」
とある道場の中から、春奈が勢いよく悲鳴を上げながら出て行った。
瑞貴が思わず呆然としていると、入口から木暮が顔を覗かせて頭にはカエルが乗っている。どうやら彼が春奈にカエルでイタズラしたようだ。
「ウッシッシッシッ!」
「ゆ~う~や~?」
「えっ!? 瑞貴姉!」
恐る恐る木暮が振り向くと、仁王立ちしてコメカミに青筋を立てている瑞貴がいた。木暮は逃げ出そうとしたが、すかさず瑞貴が首根っこをつかんだので逃亡失敗した。
「わああぁぁ……って、えっ!?」
木暮は暴れても離れようとしたが、瑞貴は木暮を自分の腕の中に抱き寄せた。身長差があるので抱っこする形になっているが。
「よく逃げなかったね」
「……でも俺、マトモに守ろうとしなかったよ。逃げてばっかりだった……」
「攻撃からは逃げても、試合からは逃げなかった。ピッチの外に出て行かなかっただけで充分だよ。しかもデザームのシュートも止めたし」
あの素早さなら逃げるチャンスは充分あった。でも、木暮は最後までピッチにいて試合に参加していたのだ。
「……瑞貴姉は、ここを出て行くのか?」
「うん。私たちは宇宙人を倒さなきゃならないからね」
「えぇっ!? 行かないでくれよ!」
木暮はギュッと瑞貴に強く抱きつく。初めて信頼できて義姉になってくれたのに、すぐに別れるのは嫌なのだろう。瑞貴は木暮の頭を一つ撫でてゆっくり降ろす。
するとどこからか取り出したメモ帳に書き記してそのページを破る。木暮が不思議に思っていると、そのページを瑞貴に渡された。
「これ、私の携帯の番号とメアド。いつでも連絡をしていいから」
「でも――」
「私だって夕弥と離れるのは心苦しいよ。だけど、地球を守ることはみんなを守ることになる。姉が弟を守らなくてどうするの」
木暮が大きく目を見開くと、瑞貴は微笑んで持ってきたボールを出す。