イプシロン来襲!

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とりあえず河川敷に移動しようとすると、円堂は瑞貴の肩を叩いて呼び止めた。


「どうしたの?」

瑞貴。俺は……俺たちはお前を裏切ったりしないからな」


その言葉に瑞貴は目を見開いたが、円堂は瑞貴が前の世界で起こったことを知っている。きっと垣田が『木暮は親に裏切られた』ということで、それを思い出したのではないかと思ったのだろう。


「大丈夫。ありがとう」

「うん」


瑞貴と円堂は再び歩き出した。

――それから夜になり、男子はキャラバンで女子は即席テントで休む。瑞貴が眠れずにいると春奈がテントから出て行った。入り口の隙間から様子をうかがえば、鬼道もキャラバンから出てきて春奈のそばに行くのが見えた。

二人がどこかに行くのが見えると、瑞貴もテントを出て散歩がてら漫遊寺中の中を歩き出す。


(敵もこの先どんどん強くなっていく。私も、何か新しいシュート技を編み出さなきゃ……)


今の瑞貴のシュート技はシューティングアローのみ。染岡がワイバーンクラッシュを得たように、瑞貴も何か新しい必殺技を得たいのだ。


「――言ったわね!」

「ああ、言ったさ!」

「えっ?」


突然叫び声が聞こえたので振り向くと、いつの間にか蹴球道場に来ていたようだ。その中で言い争いが聞こえる。


「だったら見せてみなさいよ! あなたの本気のサッカーを!」

「……いいだろう!」


声からして春奈と木暮のようだ。どうやら木暮がイタズラの仕掛けをしようとすると、春奈が見かけたらしい。自分が出ても意味がない、そう思った瑞貴はその場から離れる。

広場にある岩の一つに腰をかけた瑞貴は星空を見上げる。東京や北海道で見た空と同じようでどこか違う、そう思った。


ガサガサガサ――。


「ん?」


突然茂みが揺れたので、瑞貴が目を向けると人が現れた。


「なんなんだよ、あいつはー!」

「木暮くんじゃん」

「ゲッ! 雷門の副キャプテン!」

「ゲッて……。でも、私のこと知ってたんだ」

「まあ、フットボールフロンティアで優勝したから……」


瑞貴が微笑むと、木暮はキョトンとして顔を反らして呟く。


「よかったら隣にどうぞ」

「な――」


なんで、と言おうとしたが、木暮は瑞貴が表情に気づき、黙って隣の岩に腰をかける。


「……あんたさ、うちのサッカー部のキャプテンに歯向かっただろ」

「見てたんだ」

「というか聞こえたんだよ」

「そっか。木暮くんも雑巾掛けがんばってたね」

「そっちこそ見てたのかよ!?」


木暮が思わずツッコむと、瑞貴はナイスツッコミと思って笑った。


「……私ね、前の中学でチームメイトに裏切られたことがあるんだ」

「えっ?」


瑞貴は木暮に前の世界で去年起こったいじめについて話した。試合で点を決めたことで、今まで一緒に練習をしたサッカー部の先輩も、友達すら自分をいじめてきた。唯一人、幼馴染の加藤綾香を除いて。


「サッカー部のキャプテンも先輩も同級生も、今まで一緒にやってきたのが嘘のようにいじめてきて、指名してくれた監督も見てみぬふり……。誰も信じることができなかった。一時は励ましてくれる一番の親友さえも――……えっ?」


瑞貴の手の上に木暮の手が重なった。木暮のその行動に瑞貴は驚く。


「もういいよ」

「えっ……?」

「あんた、さっきから悲しそうな顔をしている。なんで俺に話したんだよ」

「……木暮くんなら、話してもいいかなって思ったんだ」


イタズラっ子だが、根は優しい彼に心に嬉しかった瑞貴は頭を撫でる。

てっきり拒否されると思ったが、大人しくされるがままになっている木暮に目を見開く。


「驚いた。嫌じゃないの?」

「なんか、安心するんだ……。今日初めて会ったのに、変な感じだな」

「そういうもんだよ。仲間とかだって、最初の出会いは人それぞれだけど、いつの間にか大切な人になってるの」

「……まるで姉ちゃんができたみたいだ」

「そっか。私も弟ができたみたいだよ」


瑞貴には元の世界にも弟がいる。音信不通なので会っていないが、今頃こんな風になったろうか、と瑞貴は思っていると木暮が抱きついてきた。
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