エースストライカーは誰だ!
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「イッテ~! ごめん、瑞貴!」
「これぐらい大丈夫だよ。さっ、仕切りなおそっ」
「オウッ!」
瑞貴が立ち上がって手を差し出すと、円堂はその手をつかみ、立ち上がった。
それから全員スノーボードに挑戦する。瑞貴や鬼道や一之瀬や土門などは上手に滑り、対して円堂や壁山や目金や栗松などは滑れていない。また白恋中サッカー部が雪玉を落とすと、搭子と瑞貴はその雪玉をよける。
「あたしこの特訓気に入っちゃった!」
「私も!」
女子選手同士が笑い合っていると、よけれなかった雪玉に埋もれた円堂が出てくる。
「絶対に風になってやる!」
「キャプテ~ン!」
うしろを振り向くと、斜面を上手に滑る吹雪がいた。
「楽しむんだよ! 楽しんだら、体のほうがついてくるよ!」
選手たちが滑る中、唯一人――染岡だけは参加していなかった。
☆☆☆☆☆
それからみんな夢中になり、終わる頃には夜になっていた。
夕食を食べようと、円堂と瑞貴たちは別の教室へ向かう。初めて経験した者が多いので、体を痛める者もいた。
「ハァ~イッテテテ……。風になるのって大変だな~」
「しっかりしなよ。あたしはだんだんコツがわかってきたよ」
「うん、搭子さん筋がいいよ。井上さんも初めてなのに上手だった」
「ありがとうございます」
正直瑞貴も疲れているが、吹雪の優しい微笑みに癒されていた。
「問題は全身のバランスの取りかただな」
「ああ。スピードに乗る感覚さえつかめば、一気に世界が変わると思うぜ」
「そうそう。その感覚わかるー」
鬼道と土門の会話を聞いた搭子が同意した。最後まで参加してなかった染岡は、風丸に特訓の感想を聞く。
「どうだった、風丸?」
「まだまだ体を思うように動かせない。エイリア学園が来るまでに、マスターしたいよ……」
そう言った風丸の表情は前髪でよく見えなかったが、雰囲気が暗かった。
「腹減って死にそうっス」
「がんばれ壁山! 晩飯はすぐそこだ!」
食事がある教室に着いて円堂は扉を開くと、エプロン姿のマネージャーたちがいた。
「「「いらっしゃーい!」」」
「ん? おぉー! メシの匂いだ!」
さっきまで死にそうとか言っていた壁山だが、ご飯の匂いを嗅ぎつけると恐るべき速さで中に入っていった。だが――。
「え~!? こ、これだけ~?」
並べてあった料理の量は育ち盛りの中学生男子たちにとって、余りにも少なかった。さすがの円堂も「も、もうちょっと欲しいな~」と言う。
「こうなったら、おかわりしまくるっス!」
「悪いね~、おかわりなしだ。腹八分目でがんばりな」
「「「「「えぇ――っ!?」」」」」
古株が見せてくれた炊飯器には確かにご飯がなかった。壁山のようにおかわりしようとした選手たちは不満の声を上げる。
「監督の指示よ。スピードアップのため、筋力強化を意識した食事を用意したわ」
「カロリー計算も完璧です!」
「それから、一度口に入れたら三十回噛むようにって」
「三十回!?」
「消化吸収率がよくなるんですって」
「確かにこのメニューは栄養があるし、特訓のあとにはもってこいかもね」
普段から料理のメニューを意識している瑞貴にとっては、この食事は今の状況に最適だった。
壁山は悲しみのあまり、涙目で椅子の背もたれを噛んでいる。円堂と瑞貴はそんな壁山の背を叩いた。
「「よし、壁山/塀吾郎! 勝つためだ、三十回噛むぞ!」」
二人がそう言うと壁山は渋々と椅子に座り、他のみんなも座り出した。
――夕食を食べ終えたみんなは、それぞれ自由時間を取っていた。瑞貴は学校の入り口近くで電話をしていた。
「うん、そう。それで今日からスノボを始めたんだ」
〈へぇ~。スノボでスピードがアップするんだ。俺もやってみたいな〉
電話の相手は入院している半田真一。病院じゃいつ電話できるかわからないので、できる時間に向こうがしてくれることになった。それに久々に連絡をくれたことに、瑞貴も嬉しかった。
〈俺も早くケガを治して、特訓してエイリア学園を倒すために力になるよ〉
「ムリは禁物だよ。ちゃんと治して真一たちとサッカーできる日を楽しみにしてる」
〈ありがとな……〉
瑞貴にとって、半田たちがケガを治してほしいのはエイリア学園を倒すためじゃない。一緒にサッカーがやりたいからだ。
〈そろそろ消灯時間だから、俺は病室に戻るよ。北海道は寒いから風邪引くなよ〉
「わかってる。じゃあね」
ピッ、と通信を切る。瑞貴はすぐに中に入らず、星空を見上げた。
「これぐらい大丈夫だよ。さっ、仕切りなおそっ」
「オウッ!」
瑞貴が立ち上がって手を差し出すと、円堂はその手をつかみ、立ち上がった。
それから全員スノーボードに挑戦する。瑞貴や鬼道や一之瀬や土門などは上手に滑り、対して円堂や壁山や目金や栗松などは滑れていない。また白恋中サッカー部が雪玉を落とすと、搭子と瑞貴はその雪玉をよける。
「あたしこの特訓気に入っちゃった!」
「私も!」
女子選手同士が笑い合っていると、よけれなかった雪玉に埋もれた円堂が出てくる。
「絶対に風になってやる!」
「キャプテ~ン!」
うしろを振り向くと、斜面を上手に滑る吹雪がいた。
「楽しむんだよ! 楽しんだら、体のほうがついてくるよ!」
選手たちが滑る中、唯一人――染岡だけは参加していなかった。
☆☆☆☆☆
それからみんな夢中になり、終わる頃には夜になっていた。
夕食を食べようと、円堂と瑞貴たちは別の教室へ向かう。初めて経験した者が多いので、体を痛める者もいた。
「ハァ~イッテテテ……。風になるのって大変だな~」
「しっかりしなよ。あたしはだんだんコツがわかってきたよ」
「うん、搭子さん筋がいいよ。井上さんも初めてなのに上手だった」
「ありがとうございます」
正直瑞貴も疲れているが、吹雪の優しい微笑みに癒されていた。
「問題は全身のバランスの取りかただな」
「ああ。スピードに乗る感覚さえつかめば、一気に世界が変わると思うぜ」
「そうそう。その感覚わかるー」
鬼道と土門の会話を聞いた搭子が同意した。最後まで参加してなかった染岡は、風丸に特訓の感想を聞く。
「どうだった、風丸?」
「まだまだ体を思うように動かせない。エイリア学園が来るまでに、マスターしたいよ……」
そう言った風丸の表情は前髪でよく見えなかったが、雰囲気が暗かった。
「腹減って死にそうっス」
「がんばれ壁山! 晩飯はすぐそこだ!」
食事がある教室に着いて円堂は扉を開くと、エプロン姿のマネージャーたちがいた。
「「「いらっしゃーい!」」」
「ん? おぉー! メシの匂いだ!」
さっきまで死にそうとか言っていた壁山だが、ご飯の匂いを嗅ぎつけると恐るべき速さで中に入っていった。だが――。
「え~!? こ、これだけ~?」
並べてあった料理の量は育ち盛りの中学生男子たちにとって、余りにも少なかった。さすがの円堂も「も、もうちょっと欲しいな~」と言う。
「こうなったら、おかわりしまくるっス!」
「悪いね~、おかわりなしだ。腹八分目でがんばりな」
「「「「「えぇ――っ!?」」」」」
古株が見せてくれた炊飯器には確かにご飯がなかった。壁山のようにおかわりしようとした選手たちは不満の声を上げる。
「監督の指示よ。スピードアップのため、筋力強化を意識した食事を用意したわ」
「カロリー計算も完璧です!」
「それから、一度口に入れたら三十回噛むようにって」
「三十回!?」
「消化吸収率がよくなるんですって」
「確かにこのメニューは栄養があるし、特訓のあとにはもってこいかもね」
普段から料理のメニューを意識している瑞貴にとっては、この食事は今の状況に最適だった。
壁山は悲しみのあまり、涙目で椅子の背もたれを噛んでいる。円堂と瑞貴はそんな壁山の背を叩いた。
「「よし、壁山/塀吾郎! 勝つためだ、三十回噛むぞ!」」
二人がそう言うと壁山は渋々と椅子に座り、他のみんなも座り出した。
――夕食を食べ終えたみんなは、それぞれ自由時間を取っていた。瑞貴は学校の入り口近くで電話をしていた。
「うん、そう。それで今日からスノボを始めたんだ」
〈へぇ~。スノボでスピードがアップするんだ。俺もやってみたいな〉
電話の相手は入院している半田真一。病院じゃいつ電話できるかわからないので、できる時間に向こうがしてくれることになった。それに久々に連絡をくれたことに、瑞貴も嬉しかった。
〈俺も早くケガを治して、特訓してエイリア学園を倒すために力になるよ〉
「ムリは禁物だよ。ちゃんと治して真一たちとサッカーできる日を楽しみにしてる」
〈ありがとな……〉
瑞貴にとって、半田たちがケガを治してほしいのはエイリア学園を倒すためじゃない。一緒にサッカーがやりたいからだ。
〈そろそろ消灯時間だから、俺は病室に戻るよ。北海道は寒いから風邪引くなよ〉
「わかってる。じゃあね」
ピッ、と通信を切る。瑞貴はすぐに中に入らず、星空を見上げた。