あみだせ必殺技!
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「先輩って抱き心地サイコーっスね」
「ちょ、成神くん!?」
「……成神、離れてやれ」
今度は源田が成神を引っぺがす。するとさっきまで成神と言い争っていた佐久間が「まったく」とぶつぶつ言いながら来た。そして瑞貴を見るとバツが悪そうな顔で目を反らした。
その様子になんとなく瑞貴は察した。あの試合で瑞貴にデスゾーンを喰らわせた内の一人なのだから気まずいのだろう。
「こんにちは」
「っ!」
瑞貴が声をかけると佐久間はビクッと体を震わせた。
「ご存知でしょうが、私は井上瑞貴です。あなたの名前をお聞かせください」
「て、帝国学園二年……佐久間次郎だ」
「FWの方ですよね。よろしくお願いします」
スッと差し出された手に佐久間は驚いたように瑞貴を見た。
「恨んで……ないのか?」
瑞貴は一瞬キョトンとしたが、何のことか察すると「ああ」と声を上げた。
「試合のことですか? 確かにあのときは少し怒ってましたが、実はサッカー部の目を覚まさせるにはちょうどよかったんです。それにあなた方と試合がキッカケでみんなに火が点いたんですよ。むしろ感謝します」
「っ!」
ニコッと微笑むと、佐久間はボッと頬を赤く染めてギクシャクしながらも瑞貴と手を重ねる。視線は逸らしっぱなしだ。
(嫌だったら嫌と言えばいいのに……)
そう瑞貴は思っていたが実際は逆だということに気づかない。
「同級生なんだから敬語を使わなくてもいいぞ。本当に律儀だな、お前」
「そうですか? じゃあみなさんのことを名前で呼んで構いませんか?」
「ああ」
「お、俺も!」
源田と話していると佐久間が声を上げた。敬語を使わなくていいとか、なんだか似たようなパターンにあってばかりだな。
「じゃあ幸次郎と次郎って呼ぶね。成神くんは健也って。私のことも名前でいいから」
名前を呼ばれたことに全員頬を染め、口に手を当てる源田。腕を組んで目を反らす佐久間。嬉しそうにまた瑞貴に抱きつく成神。反応はそれぞれだ。
「私そろそろ帰るね。じゃあまた」
「あっ、瑞貴先輩! メアドと番号を交換しましょう!」
「いいけど雷門の情報はあげないよ?」
「大丈夫っス。そんなつもりは全くないっスから!」
とりあえず成神と番号を交換し、成り行きで源田と佐久間とも交換することになった。
☆☆☆☆☆
次の日。学校は休みだったが午前中は部活があった。部活動を終えた瑞貴はいつものように制服で町を歩いている。すると前方に見知った人影があったので瑞貴は声をかけた。
「守!」
「おっ、瑞貴じゃないか。一緒に帰ろうぜ」
それからは尾刈斗中の試合のことや、染岡のことや、一年生のことなど他愛ない会話をしながら雷門中へ足を進める。
「これに勝ったらフットボールフロンティアに出場できるな!」
「守は前からフットボールフロンティアに出ることが夢だったもんね」
「ああ! でさ――……ん?」
「どうしたの、守」
「あれ、豪炎寺じゃないか?」
円堂が指した先には私服姿の豪炎寺がいた。こんなところで会うなんて珍しいなと思っていると、パシッと右手がつかまれた。
「追うぞ」
「えっ、あの、ちょっと」
円堂が瑞貴の手をとって豪炎寺に気づかれないように後を追う。
豪炎寺がいた通路とは反対側だったので横断歩道を渡らなくてはならないが、円堂は足踏みしながら豪炎寺を見失わないように信号を待つ。青になって車が通らないのを確認すると一気に進む。
すると豪炎寺は近くの施設に入った。円堂は入った場所を確認するべく視線を上に向けると、そこには『稲妻総合病院』と書かれていた。
「病院?」
なんでこんな所にと言いたげな円堂は我に返るとまた走り出した。
「あっ、ちょっと守! もう!」
制止の声を上げてもムダだと悟った瑞貴は何も言わなかった。
中に入ったのはいいが(いやよくないかもしれないが)すっかり豪炎寺を見失ってしまった。やっと手は離してもらえたが円堂を置いていけなかったのでそのままついてきた。
円堂はキョロキョロと頭を巡らせながら豪炎寺を捜す。
「んーと、確かこっちだったような……」
「もう帰ったほうが……――あれ?」
瑞貴は一つのプレートに目を向ける。
「もっと上の階だったのかなぁ?」
その間にも円堂は豪炎寺を捜しているので、踵を返そうとすると目の前の病室のドアが開き、中から豪炎寺が出てきた。
いきなりのことだったのでお互いびっくりした顔をする。
「お前ら……!」
「いやぁ、その……――ん?」
病室の中で眠っている女の子が見えると豪炎寺はそれを隠すようにドアを閉め、円堂と瑞貴を睨むように見る。これは瑞貴でも怖いと思った。
「何しに来た」
「ウッ、えっ、と……お前がここに入るのを見たからさ、怪我とか病気かなって。サッカー止めたのもそれでかなーって思って……」
しどろもどろに言う円堂。言い訳ではなくある意味正直に話しているので瑞貴は溜息を吐く。
「いや、もちろんお前があの一度だけだっていうのはわかってる! 俺も、誘いに来たわけじゃないんだ。なんか、俺、心配でさ……悪いと思ったんだけど。なんていうか……ごめん!」
円堂は勢いよく頭を下げとそれに少し目を丸くする豪炎寺。瑞貴も円堂の隣に立つ。
「結果的には私も守と同罪です。申し訳ありませんでした」
瑞貴も円堂と同じように頭を下げる。
「ちょ、成神くん!?」
「……成神、離れてやれ」
今度は源田が成神を引っぺがす。するとさっきまで成神と言い争っていた佐久間が「まったく」とぶつぶつ言いながら来た。そして瑞貴を見るとバツが悪そうな顔で目を反らした。
その様子になんとなく瑞貴は察した。あの試合で瑞貴にデスゾーンを喰らわせた内の一人なのだから気まずいのだろう。
「こんにちは」
「っ!」
瑞貴が声をかけると佐久間はビクッと体を震わせた。
「ご存知でしょうが、私は井上瑞貴です。あなたの名前をお聞かせください」
「て、帝国学園二年……佐久間次郎だ」
「FWの方ですよね。よろしくお願いします」
スッと差し出された手に佐久間は驚いたように瑞貴を見た。
「恨んで……ないのか?」
瑞貴は一瞬キョトンとしたが、何のことか察すると「ああ」と声を上げた。
「試合のことですか? 確かにあのときは少し怒ってましたが、実はサッカー部の目を覚まさせるにはちょうどよかったんです。それにあなた方と試合がキッカケでみんなに火が点いたんですよ。むしろ感謝します」
「っ!」
ニコッと微笑むと、佐久間はボッと頬を赤く染めてギクシャクしながらも瑞貴と手を重ねる。視線は逸らしっぱなしだ。
(嫌だったら嫌と言えばいいのに……)
そう瑞貴は思っていたが実際は逆だということに気づかない。
「同級生なんだから敬語を使わなくてもいいぞ。本当に律儀だな、お前」
「そうですか? じゃあみなさんのことを名前で呼んで構いませんか?」
「ああ」
「お、俺も!」
源田と話していると佐久間が声を上げた。敬語を使わなくていいとか、なんだか似たようなパターンにあってばかりだな。
「じゃあ幸次郎と次郎って呼ぶね。成神くんは健也って。私のことも名前でいいから」
名前を呼ばれたことに全員頬を染め、口に手を当てる源田。腕を組んで目を反らす佐久間。嬉しそうにまた瑞貴に抱きつく成神。反応はそれぞれだ。
「私そろそろ帰るね。じゃあまた」
「あっ、瑞貴先輩! メアドと番号を交換しましょう!」
「いいけど雷門の情報はあげないよ?」
「大丈夫っス。そんなつもりは全くないっスから!」
とりあえず成神と番号を交換し、成り行きで源田と佐久間とも交換することになった。
☆☆☆☆☆
次の日。学校は休みだったが午前中は部活があった。部活動を終えた瑞貴はいつものように制服で町を歩いている。すると前方に見知った人影があったので瑞貴は声をかけた。
「守!」
「おっ、瑞貴じゃないか。一緒に帰ろうぜ」
それからは尾刈斗中の試合のことや、染岡のことや、一年生のことなど他愛ない会話をしながら雷門中へ足を進める。
「これに勝ったらフットボールフロンティアに出場できるな!」
「守は前からフットボールフロンティアに出ることが夢だったもんね」
「ああ! でさ――……ん?」
「どうしたの、守」
「あれ、豪炎寺じゃないか?」
円堂が指した先には私服姿の豪炎寺がいた。こんなところで会うなんて珍しいなと思っていると、パシッと右手がつかまれた。
「追うぞ」
「えっ、あの、ちょっと」
円堂が瑞貴の手をとって豪炎寺に気づかれないように後を追う。
豪炎寺がいた通路とは反対側だったので横断歩道を渡らなくてはならないが、円堂は足踏みしながら豪炎寺を見失わないように信号を待つ。青になって車が通らないのを確認すると一気に進む。
すると豪炎寺は近くの施設に入った。円堂は入った場所を確認するべく視線を上に向けると、そこには『稲妻総合病院』と書かれていた。
「病院?」
なんでこんな所にと言いたげな円堂は我に返るとまた走り出した。
「あっ、ちょっと守! もう!」
制止の声を上げてもムダだと悟った瑞貴は何も言わなかった。
中に入ったのはいいが(いやよくないかもしれないが)すっかり豪炎寺を見失ってしまった。やっと手は離してもらえたが円堂を置いていけなかったのでそのままついてきた。
円堂はキョロキョロと頭を巡らせながら豪炎寺を捜す。
「んーと、確かこっちだったような……」
「もう帰ったほうが……――あれ?」
瑞貴は一つのプレートに目を向ける。
「もっと上の階だったのかなぁ?」
その間にも円堂は豪炎寺を捜しているので、踵を返そうとすると目の前の病室のドアが開き、中から豪炎寺が出てきた。
いきなりのことだったのでお互いびっくりした顔をする。
「お前ら……!」
「いやぁ、その……――ん?」
病室の中で眠っている女の子が見えると豪炎寺はそれを隠すようにドアを閉め、円堂と瑞貴を睨むように見る。これは瑞貴でも怖いと思った。
「何しに来た」
「ウッ、えっ、と……お前がここに入るのを見たからさ、怪我とか病気かなって。サッカー止めたのもそれでかなーって思って……」
しどろもどろに言う円堂。言い訳ではなくある意味正直に話しているので瑞貴は溜息を吐く。
「いや、もちろんお前があの一度だけだっていうのはわかってる! 俺も、誘いに来たわけじゃないんだ。なんか、俺、心配でさ……悪いと思ったんだけど。なんていうか……ごめん!」
円堂は勢いよく頭を下げとそれに少し目を丸くする豪炎寺。瑞貴も円堂の隣に立つ。
「結果的には私も守と同罪です。申し訳ありませんでした」
瑞貴も円堂と同じように頭を下げる。