雪原の皇子(プリンス)!
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――学校の裏にある雪原へ向かうため階段で降りる、雷門イレブンと白恋中サッカー部。外はこれでもかというくらい寒い。
「うぅ~寒い~」
「これくらい普通だよ。動けばあったかくなるさ」
「オラのマフラー貸してやろうか?」
「け、結構です!」
雪野は鼻水が付いているマフラーを貸そうとしたが、目金は顔を引き攣らせながら遠慮した。それを見た空野は苦笑いする。
「きゃっ!」
「おっと」
雪で足を滑らせた音無春奈を、うしろにいた瑞貴が抱きとめる。
「大丈夫? 階段は滑りやすいから気をつけて」
「あ、ありがとうございます」
瑞貴に抱きとめられたことで春奈は頬を朱に染める。吹雪は微笑んで瑞貴の隣に立つ。
「井上さんは寒くない?」
「少し寒いですけど、空野くんが言った通り動けばあったくなりますから。ねっ?」
「あっ、うん……」
先に行っている空野に顔を向けて笑うと、空野は名前を呼んでもらえたことが嬉しくて顔を赤くする。
ゴゴゴゴゴ――……!!
大きな音が聞こえたかと思うと、屋根から落ちた雪が雪崩のような音を立てる。
「みぎゃ!?」
突然引っ張られたことに瑞貴は滑りそうになるが、なんとかふんばって腰に回された手を見る。次にその正体を見れば吹雪がしゃがんで瑞貴に抱きつき、体がガクガクと震えていた。まるで怯えているかのように。
「ビックリしたー。でもスゴい勢いだな。雪国ならではか……」
「スゴかったですね。瑞貴せんぱ……あ――っ!!」
雪から瑞貴へ視線を戻した春奈は、瑞貴に抱きついている吹雪を見て悲鳴を上げた。春奈の声で他のみんなも顔を向け、その光景に寒さとは別の意味で凍りついた。
一部は石化し、一部はまたしても黒いオーラを放ち、一部は同じくまたしても震えていた。
「大丈夫ですよ、吹雪くん。屋根の雪が落ちただけですから」
「や、屋根から……?」
「はい」
瑞貴は吹雪を落ち着かせるために背中に手を回して頭を撫でる。それがさらに引き金となって空気は悪くなるが、吹雪の様子がおかしいと気づいたのですぐに治まった。
吹雪は学校の屋根の一部の雪がなくなっているのを確認してホッとする。
「なんだ…屋根の雪か……」
「なんだ? どうかしたのか?」
「あ、いや、なんでもないよ」
「これくらいのことでそんなに驚くなんて、意外と小心者ね」
「ア~……アハハハッ」
夏未はその姿を見て言うと、吹雪は誤魔化すかのように後頭部に手を当てて笑う。