伝説のストライカーを探せ!
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次の日。あのままキャラバンの屋根の上で寝ていた瑞貴は、土門と円堂より先に起きて寝袋を片づけてキャラバンから降りる。
(いよいよか……)
顔を洗って日課のトレーニングをするためにランニングを開始した。これからどんどん仲間が増えていくと同時に強敵も現れる。そのために自分もがんばろうと意気込んだ。
ランニングから戻ると瞳子が顔を洗っていた。
「おはようございます、瞳子監督」
「おはよう井上さん。早いわね」
「日課なので目が覚めちゃいました」
「そう。でも屋根の上で寝るのはやめなさい。風邪を引くわよ」
「はい……」
キャラバンの後部に隠れているキッチンを取り出し、朝食の用意を始める瞳子に瑞貴も一緒にキッチンに立つ。
「あの、監督。この戦いが終わったら、その……監督のことを『姉さん』って呼んでいいですか?」
「えっ?」
突然の申し入れに瞳子は驚いて目を見開く。瑞貴は元の世界にいたときから、瞳子のことは女性として尊敬し、こんな姉がいたらいいなぁって思っていたのだ。
「ダメ、ですか?」
「……好きにしなさい。ただし、この戦いが終わってからよ」
「はい!」
微笑んだ瞳子に、瑞貴は顔を明るくすると元気よく答えて調理を進める。
(姉さん、か……)
瞳子の脳裏に自分をそう呼んでいた子供たちが思い浮かんだが、首を振って打ち消し、瑞貴と一緒に調理を進めた。
朝食の準備が整うと時間を確認して瞳子が笛を鳴らす。
「起床! 出発の時間よ!」
起きた選手とマネージャーたちは顔を洗って朝食を食べ、北海道に向けてキャラバンを発進させた。
――それからとうとう周りの景色が雪で銀世界となる。
「ひゃっほぉ! ついに北海道だ!」
(……なんで雪が降ってるの?)
アニメでも見たが季節的におかしいだろう、と思った瑞貴は『超次元だから』という言葉で現実逃避をした。ちなみに今回の席は円堂と風丸の間である。
「ファックシュン! さ、寒いっス!」
「北海道ですからねぇ」
「確かに、シカゴくらい寒いな」
「瑞貴、そのお茶飲まないのか?」
風丸が指しているのは両手に包まれて持っているお茶。さっきの休憩所であるサービスエリアで買ったのだ。
「今は暖をとっているんだ。ただでさえ寒いし。ほら」
「っ!」
瑞貴は左手を風丸の頬に手を当てると、不意を突かれた風丸は顔が赤くなって茹蛸ぐらいに熱くなる。
「ありゃ、一郎太は熱いや」
「瑞貴、俺も俺も!」
円堂も暖が欲しいらしい。瑞貴は風丸から離した左手にお茶を持ち、右手で円堂の頬に触れようとすると、キャラバンが急ブレーキをかけて止まった。
「どうしたんですか?」
「人だ……」
古株の言葉で前を向くと、道端にあるお地蔵様の隣に凍えている、瑞貴たちと同じ歳ぐらいの少年がいた。足元にはサッカーボールがある。
それを見て目を丸くした瑞貴はすぐにキャラバンから出て、次いで円堂も一緒に出る。
「大丈夫ですか?」
「どうしたんだ、こんなとこで。乗れよ」
「あ、ああありありありがととと」
少年に積もっていた雪を払ってキャラバンの中に乗せる。瑞貴は男子の体を毛布で包み、一緒にカイロを渡す。
「はい。少しは体が温まりますよ」
「うん。ありがとう」
瑞貴の手際の良さに一同は感心した。席に座ったのを確認してからキャラバンは発進された。
「まだ寒い?」
「あっ、ううん。もう大丈夫」
「雪原の真ん中で何してたの?」
「あそこは僕にとって特別な場所なんだ……。北ヶ峰って言ってね」
「北ヶ峰? 聞いたことあるぞ。確か、雪崩が多いんだよな」
「あっ…うん……」
古株のひと言で少年は表情を暗くなった。隣にいた搭子は、古株に顔を向けていたから気づかない。