あみだせ必殺技!
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「ホントなんですかね? キャプテン」
「噂だよ。噂」
宍戸が円堂に言うが円堂は微塵も信じていない。だがこの噂には一つだけ真実がある。それを瑞貴はそれを敢えて言わずに黙っていた。
しかし円堂とは逆にすっかりビビっている一年組。少林寺も栗松も冷や汗をかいている。
「あの~やっぱり、豪炎寺さん……」
「そうでヤンスね……」
「っ!」
しかし今の状態で豪炎寺の名は禁句ワード。案の定染岡が反応し、二人を怒鳴った。
「なんだお前ら! 豪炎寺なんかに頼らなくても俺や瑞貴がシュートを決めてやる。FWならここにいるぜ!」
染岡は勢いよく自分と瑞貴に指差した。――どうやら瑞貴のメインポジションはFWに完全に決まったようだ。
「オウッ! その勢いだ。なんか豪炎寺豪炎寺って、そりゃ染岡も怒るって」
半田も苦笑しながら言う。栗松は染岡の態度にすっかりビビッてさり気なく避けた。
「まっ、元からいるメンバーでがんばるってのもいいと思うけどね」
「そうだな」
「私も賛成」
松野の言葉に円堂も瑞貴も同意するが、宍戸が声を上げた。
「でもキャプテン、瑞貴さん。もしあのとき豪炎寺さんが来てくれなかったら、瑞貴さんががんばってくれてたとはいえ、俺たち廃部だったんですよ?」
そりゃそうだ。帝国学園の狙いは豪炎寺だったので彼のシュートが見れれば雷門中など興味がない。あの試合は元からそれが狙いだったのだ。
「今度だって、なあ……」
「うん……」
「負けられない試合だってキャプテンも言ってたじゃないですか。尾刈斗中……なんか怖そうだし……。やっぱり……」
心配が治まらない宍戸と栗松と少林寺。しかし円堂はみんなに言葉をかける。
「みんな、人に頼ってたら強くなんかなれないぞ」
「そうだ!」
染岡も同意して声を上げる。彼らの言葉は根本的なところは違うのだが。秋も春奈も心配そうに見る。
「さあ! 練習だ!」
「「「「「オウッ!!」」」」
☆☆☆☆☆
――練習が終わったのは夕方だった。瑞貴は家へ帰るべく歩いていたが今日の出来事を思いだして溜息をついた。
「あ~あ、竜吾に怒鳴っちゃった。みんなを怪我させるようなラフプレーについカッとなったとはいえ、やり過ぎたかな。それに一年のみんなは豪炎寺に頼ってばっかりだし、もうちょっと自分でやろうとやる気を出してくれたって……」
ブツブツ愚痴をこぼしながら角を曲がる、が――すぐに回れ右をした。何故なら……。
「あ――っ!! 雷門サッカー部の女子選手だ!」
逃げようとしたが背中と腰に強い衝撃が当たり、思わず前に倒れそうになったが、なんとか踏ん張った。振り向いて確認するとビシッと固まった。
「俺のこと、覚えてますか?」
「て、帝国学園サッカー部の人よね。ポジションはMF」
「はい! 帝国学園一年の成神健也って言います。健也って呼んでください!」
彼は嬉しそうに笑って背中に擦り寄る。
「おい! 何やってんだ成神!」
第三者の登場により成神健也は瑞貴から引っぺがされ瑞貴はホッと一息をつく。成神はむしろ好きだがいきなりのことだったので驚いただけだ。
「あっ! お前!」
引っぺがした第三者――佐久間次郎は瑞貴を見ると声を上げた。
「成神? 佐久間? どうしたんだ?」
続いて先程の角からまた人がやってきた。現れたのは帝国学園サッカー部のGKである源田幸次郎だった。
キャプテンである鬼道有人がいない面子なので少し珍しかったが、今はそれどころじゃない。
「離してくださいっスよー佐久間先輩」
「急に声を上げたと思ったら引っ付いているお前が悪いだろう!」
ギャーギャー言い争っている二人。すっかり蚊帳の外にされた瑞貴はどうすればいいか考えていると隣に源田が立った。
「久しぶりだな。すまない。仲間が迷惑かけて」
「あっ、いえ。ちょっと驚いただけですよ」
未だにやっている佐久間と成神。その様子は試合のときとは違い、中学生男子特有だった。帝国学園とはいえ中学生ということに瑞貴は少なからずホッとして微笑ましく見る。
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺は帝国学園二年の源田幸次郎。知っているとは思うがGKだ」
「はい。私は――」
「井上瑞貴だろう。試合前に律儀に謝ってきたからあのときは驚いた」
「アハハハ……」
瑞貴は頬をかいて笑う。自分にとっては当たり前のことをしたと思ったが、敵チームに頭を下げる者など普通はいないので結構印象に残っているだろう。
すると源田が手を差し出してきた。一瞬驚いて手と源田を交互に見つめると、源田は優しく微笑んでいた。
「あのときのシュートはスゴかったな。次は止めてやる」
「はい。お手柔らかにお願いします」
瑞貴も微笑んで源田と手を重ねる、が――。
「瑞貴せんぱーい!」
「わっ!」
「うおっ!?」
再び背中に当たった強い衝撃で瑞貴は源田の胸に飛び込んでしまった。
思わぬことに瑞貴と源田は頬を赤く染め、勢いよく瑞貴は源田から離れた。
「ご、ごめんなさい!」
「い、いや……気にするな」
お互い顔を赤くしながらうつむくと、面白くなさそうに見ていた成神が今度は正面から瑞貴に抱きついてきた。
「噂だよ。噂」
宍戸が円堂に言うが円堂は微塵も信じていない。だがこの噂には一つだけ真実がある。それを瑞貴はそれを敢えて言わずに黙っていた。
しかし円堂とは逆にすっかりビビっている一年組。少林寺も栗松も冷や汗をかいている。
「あの~やっぱり、豪炎寺さん……」
「そうでヤンスね……」
「っ!」
しかし今の状態で豪炎寺の名は禁句ワード。案の定染岡が反応し、二人を怒鳴った。
「なんだお前ら! 豪炎寺なんかに頼らなくても俺や瑞貴がシュートを決めてやる。FWならここにいるぜ!」
染岡は勢いよく自分と瑞貴に指差した。――どうやら瑞貴のメインポジションはFWに完全に決まったようだ。
「オウッ! その勢いだ。なんか豪炎寺豪炎寺って、そりゃ染岡も怒るって」
半田も苦笑しながら言う。栗松は染岡の態度にすっかりビビッてさり気なく避けた。
「まっ、元からいるメンバーでがんばるってのもいいと思うけどね」
「そうだな」
「私も賛成」
松野の言葉に円堂も瑞貴も同意するが、宍戸が声を上げた。
「でもキャプテン、瑞貴さん。もしあのとき豪炎寺さんが来てくれなかったら、瑞貴さんががんばってくれてたとはいえ、俺たち廃部だったんですよ?」
そりゃそうだ。帝国学園の狙いは豪炎寺だったので彼のシュートが見れれば雷門中など興味がない。あの試合は元からそれが狙いだったのだ。
「今度だって、なあ……」
「うん……」
「負けられない試合だってキャプテンも言ってたじゃないですか。尾刈斗中……なんか怖そうだし……。やっぱり……」
心配が治まらない宍戸と栗松と少林寺。しかし円堂はみんなに言葉をかける。
「みんな、人に頼ってたら強くなんかなれないぞ」
「そうだ!」
染岡も同意して声を上げる。彼らの言葉は根本的なところは違うのだが。秋も春奈も心配そうに見る。
「さあ! 練習だ!」
「「「「「オウッ!!」」」」
☆☆☆☆☆
――練習が終わったのは夕方だった。瑞貴は家へ帰るべく歩いていたが今日の出来事を思いだして溜息をついた。
「あ~あ、竜吾に怒鳴っちゃった。みんなを怪我させるようなラフプレーについカッとなったとはいえ、やり過ぎたかな。それに一年のみんなは豪炎寺に頼ってばっかりだし、もうちょっと自分でやろうとやる気を出してくれたって……」
ブツブツ愚痴をこぼしながら角を曲がる、が――すぐに回れ右をした。何故なら……。
「あ――っ!! 雷門サッカー部の女子選手だ!」
逃げようとしたが背中と腰に強い衝撃が当たり、思わず前に倒れそうになったが、なんとか踏ん張った。振り向いて確認するとビシッと固まった。
「俺のこと、覚えてますか?」
「て、帝国学園サッカー部の人よね。ポジションはMF」
「はい! 帝国学園一年の成神健也って言います。健也って呼んでください!」
彼は嬉しそうに笑って背中に擦り寄る。
「おい! 何やってんだ成神!」
第三者の登場により成神健也は瑞貴から引っぺがされ瑞貴はホッと一息をつく。成神はむしろ好きだがいきなりのことだったので驚いただけだ。
「あっ! お前!」
引っぺがした第三者――佐久間次郎は瑞貴を見ると声を上げた。
「成神? 佐久間? どうしたんだ?」
続いて先程の角からまた人がやってきた。現れたのは帝国学園サッカー部のGKである源田幸次郎だった。
キャプテンである鬼道有人がいない面子なので少し珍しかったが、今はそれどころじゃない。
「離してくださいっスよー佐久間先輩」
「急に声を上げたと思ったら引っ付いているお前が悪いだろう!」
ギャーギャー言い争っている二人。すっかり蚊帳の外にされた瑞貴はどうすればいいか考えていると隣に源田が立った。
「久しぶりだな。すまない。仲間が迷惑かけて」
「あっ、いえ。ちょっと驚いただけですよ」
未だにやっている佐久間と成神。その様子は試合のときとは違い、中学生男子特有だった。帝国学園とはいえ中学生ということに瑞貴は少なからずホッとして微笑ましく見る。
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺は帝国学園二年の源田幸次郎。知っているとは思うがGKだ」
「はい。私は――」
「井上瑞貴だろう。試合前に律儀に謝ってきたからあのときは驚いた」
「アハハハ……」
瑞貴は頬をかいて笑う。自分にとっては当たり前のことをしたと思ったが、敵チームに頭を下げる者など普通はいないので結構印象に残っているだろう。
すると源田が手を差し出してきた。一瞬驚いて手と源田を交互に見つめると、源田は優しく微笑んでいた。
「あのときのシュートはスゴかったな。次は止めてやる」
「はい。お手柔らかにお願いします」
瑞貴も微笑んで源田と手を重ねる、が――。
「瑞貴せんぱーい!」
「わっ!」
「うおっ!?」
再び背中に当たった強い衝撃で瑞貴は源田の胸に飛び込んでしまった。
思わぬことに瑞貴と源田は頬を赤く染め、勢いよく瑞貴は源田から離れた。
「ご、ごめんなさい!」
「い、いや……気にするな」
お互い顔を赤くしながらうつむくと、面白くなさそうに見ていた成神が今度は正面から瑞貴に抱きついてきた。